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1-21 輝く星の下で ①

機動戦士月神部屋の4人が次の部屋に到達する。部屋同士を繋ぐ通路を抜けると、頭上には満天の星空が、足元の大地には一面灰色の荒野が広がっていた。見渡す限り、草木など一つも生えていない。


「思っていたほど足場は悪くない。だが、見渡す限り荒涼とした景色だな……」


「おい! みんなアレを見ろ! 凄いぞ!」


ジョンがノストラダムスの声を聞き、指さす方へ振り向いて見上げた先、そこには美しい蒼き輝きを放つ母なる惑星――地球が空に大きく浮かんでいた。一行はその光景に目を奪われ、ヴァン兄貴が思わず声を上げた。


「ば、馬鹿な……月面、だと……!?」


「だろうな。先程の調査の時に軽く調べてみたが、星の位置や地形の再現度が高い。だが、こうしていつも通りに呼吸ができる以上、やはり本物の月面というわけではないのだろう」


「え、先にこんな場所だったってわかってたのウルト? なら何で先に言わなかったんだよ!」


「オレだって最初に見た時に驚いたからな。お前達にも同じ驚きを共有したかった。それに、こういう時のリアクションは、ナマで初見の方が美味しいと相場が決まっているだろう?」


「完璧な反論をありがとうよ! このいたずらっ子め!」


「自分だって人のことは言えないだろう」


彼らがじゃれあっている中、唐突に4人のタンマツからアラート音が響く。敵襲の合図を受けて、4人はすぐさま戦闘態勢に入った。荒野の地面が盛り上がり中から魚のヒレのようなものが現れる。それが荒野をかきわけながら4人の方へと迫り、接触寸前というタイミングで地面が一気に爆発し、辺りに灰色の砂利や砂が飛び散った。土煙が収まり、中から魚の頭部が付いた人間……サハギンが現れた。


「怖いか人間よ! 己の非力を嘆くがいい!!」


同時に飛び散った砂と砂利が寄り集まって人の手と頭の形を取る。他方では人型の霊体がフヨフヨと浮いてこちらへと迫ってきていた。そして、サハギン達が気を引いている間に接近していたのであろう、見た目麗しい金髪碧眼の少女が目の前に現れた。一見すると人間のようにも思えるが、その肌や目のの質感は生物のそれではなく、何より関節部分にあらわになった機械部品が彼女を人間ではないことを証明していた。ゴーレムの特異個体である。ゴーレムの少女が可愛らしくも、どこか機械を思わせる声で話し出す。


「お待ちしておりました、ニンゲンの皆様――であります」


ジョンが目の前の敵影とタンマツに表示されている情報とを見比べ、つぶやいた。


「サハギンとフロア・スペクター、それにレイスと特異個体のゴーレム……事前情報通りの編成だな。後は私達がどれだけやれるかだが……!」


「お待ちください!ワレワレはニンゲンの皆様と敵対するつもりはない――のであります」


その言葉にヴァン兄貴が反応する。


「ほんとかなぁ? なんで敵対しないのか、ちょっと言って見せてよ」


「もちろんであります。そもそも、ニンゲンさんはみんな偉すぎなのであります。毎日の食事や長時間の睡眠など、生存のために1日のリソースの大部分を使っているのであります。ゴーレムのワタシには考えられないのであります」


ゴーレムはその頬を赤らめながら続けた。


「なので、是非ワレワレにニンゲンの皆さんをお世話させて欲しいのであります。美味しい食事も、毎日ぐっすり眠れる日々も保証するであります。朝から晩まで、上から下まで――であります」


モンスターから発せられた意外な言葉に4人は困惑する。ノストラダムスが何かに気付いたのか、ゴーレムに問いかけた。


「食事睡眠の保証はしてくれる、と。なら、それ以外はどうなるんだ……?」


「ニンゲンさんは生きているだけでエライのであります。生存に必要な食事睡眠以外はストレス要因になるのであります。だから、必要ないのであります。全部ワレワレがお世話するのであります」


「やべーぞ! コイツら俺達をダメ人間にするつもりだ!」


ゴーレムはヴァン兄貴の言葉を否定することなく、笑顔を崩さぬまま4人へと語りかけ続ける。人でないゴーレムでありながら、その笑顔は狂気を孕んでいた。


「さあ! さあさあさあさあ! お世話させるであります! 死ぬまで絶対に死なせない――のであります!」


ジョンがブラックオーを起動しながら叫ぶ。


「あいにくとやりたいことはまだまだ尽きないのでね! その申し出は、全力で断らせていただこう!」


それが戦闘開始の合図となった。

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