1-14 世界探索者教会 ①
場を仕切り直すため、ジョンがブラックオーの装備を解き、司祭服の男に話しかける。
「改めて助かりました。礼を言わせていただきましょう、神父様」
「フッ、この格好を見て間違えるのも無理はないが、私は神父などではない。――――牧師だ」
「あ、さいでっか……とはなんねぇぞテメェ! おう宗派答えてみろや! バプテスマか? まさかダンジョン派だとか言わねぇよな?」
ヴァン兄貴のその問いに、司祭服の男は心底嫌そうな苦々しい顔を隠そうともせずに答える。
「それこそまさかだ。警戒する気持ちはわかるが、あんなモドキと一緒にされては困るな」
彼はその表情を戻し、機動戦士月神部屋の4人に向き直る。
「さて、改めて自己紹介するとしよう。私はキレー・マルボ。世界探索者教会で牧師をしている」
「えぇ……? それ確かダンジョンが世界に出てきた頃に設立された新興のキリスト教会じゃなかった? なんかいつからかライバー活動を通じて教義を広めるようになったヤツ……」
ヴァン兄貴の指摘にキレーは感心した様子で頷く。
「よく調べているな。いや、誰かからその話を聞かされたのかな? ならば、我々がどういった組織なのかを少し話すとしよう。 何分、誤解が多い教会でもあってね、君達の視聴者含めて多くの人々に知ってもらいたいことでもある。だが、そうだな。せっかくの語らいの機会に立ち話というのも味気ない。ここは一つ、共同でキャンプを張らないかね?」
キレーの提案を受け入れた機動戦士月神部屋の4人は彼の案内により、近くにあった模造されたレストランへと向かった。そこにあった、屋内でありながらテラスのように設えられた席を使うことにし、ウルト以外の4人がそれぞれ椅子に座った。ウルトは店員が居ないことをいいことに店の中に用意された食器棚からコーヒーカップを人数分取り出し、備え付けられていたコーヒーメーカーで人数分のコーヒーを淹れた。彼はスカウトタンマツでコーヒーに危険がないことを確認したあと、それをお盆ごと他のメンバーが待つテーブルに置いた。キレーは出されたコーヒーを一口飲み、話を始めた。
「さて、改めて話を続けるとしよう。まずはそうだな、我々世界探索者教会の成り立ちから話すとしようか。とは言っても組織の母体自体は古くから存在していたのだがね」
「それは……実に興味深い話だね。私達でも知っているような組織なのかな?」
ノストラダムスの問いに、キレーは笑みを浮かべて答える。
「組織の名前自体は、一般には今も昔も知られていない。しかし、その概念ならば君達も聞けばすぐに分かるだろう。エクソシスト、つまりは悪魔や怪物と対峙する者の集まり、それが我々の組織母体だ。私は教会の仲間と共に吸血鬼とやりあったこともあってね、君とはそういう縁も感じて声をかけさせてもらった。ヴァン・ヘルシング卿、いや君達にならってヴァン兄貴と呼ぶべきかね?」
「えっ、そういう流れで俺達に声かけてきたのぉ!?」
「無論、君達の窮地を見逃せなかったということもあるのだがね。ともかく、我々はカソリック教会の中にあって、一般の神父達には対処できない怪物を相手取るため派遣されるものの組織だった……ダンジョンに世界が侵食される前はそれで良かったのだがね。ダンジョンにおいてとある存在が確認されてからは、そうもいかなくなったのだよ」
「それはもしや……天使を模したモンスターのことか?」
「配慮に満ちた表現、痛み入る。君は確か――ウルト、と呼ばれていたかね? 我々としてはアレらを天使を模した怪物――偽天使と呼んでいる。ダンジョンから現れて人々に害をなすアレを主の遣わした天使と認めるわけには行かない、というのが我々の教会としての立場だ。そのことを声高に叫び、カソリック教会から出奔したエクソシスト達が集まって設立した教会、それが我々――世界探索者教会なのだよ」




