16話
新しい家に引っ越しする際に風水のことも少し勉強しました。
なので、前に住んでいたあの貸家は怪異が起きやすい条件が揃っていることに気づくことができました。
大きな道路沿いだけど、少し奥にあり、表からは見えにくい。さらに家の裏手は草だらけで、水はけが超悪かった。
貸家とはいえ、長く住むとなれば、多少は草むしりなどもするが、裏手の方はいつも水はけが悪くいつも水が溜まっていた。
悪いのは立地だけじゃない。家の中も風水的に悪かった。
まず、玄関。
鏡が合わせ鏡になっていた。
右手側に大きな鏡があり、左手側に靴入れの備品として鏡がある。
そして、玄関の真っ正面に二階へと続く階段がある。
これも風水的には良くない。悪い気が上にいってしまうようになっている。
他にも悪いところはありました。風水的というよりは私があまり行きたいと思わない場所。
そこは詳しく言えば、特定されてしまうほど、特徴がある場所だった。
少し言えることがあるとすれば、そこの家は仕事場と家が一緒になっていた。ということくらいです。
あの家は怪異を呼ぶ家だった。
だから、妻と娘は異変を感じとっていた。いや、私も異変を感じとっていたのだと思います。
まずは私の話から。
行きたくない部屋のことを私たちは『シベリア』と呼んでいました。
そのくらい寒い部屋。今考えると寒気がするといった方が正しいのかもしれません。
その中でも、特に嫌に感じるところがありました。
おそらくそこの部屋は仕事場の物置として使われていた場所。日の光が一切入らない場所で、日中でも暗い部屋。
物置なのに物を置きたくないと思うほどに、寒気がするような部屋でした。
私の場合は特に何かあるというわけではありません。
ただ、嫌だと感じるだけです。
次は妻の話です。
妻は二階にほとんど上がろうとはしませんでした。今考えると娘もほとんど上がってはいなかったと思います。
よく二階に上がっていたは私だけです。
二階は日当たりも良いので、洗濯物を干す部屋になっていました。
その二階からは家の裏手が見えるのですが、木がポツンと一本立っているところがありました。
その木の周りを囲むようにして、土が盛られている。
一度だけですが、私はその木の近くまで見に行ったことがあります。と言っても十数メートル先にある木です。
ただ、水はけが悪いので、長靴を履いてじゃないといけない場所。
パッと見はただそれがあるだけの場所。でも何かここにはあるのかもしれないと思うほどに妙に目立つように立っている。
体調が良くなった妻に聞いたことがありました。
「あそこの家の裏手にある木ってなんか変じゃなかった?」
「えっ、うん……」
あまり語りたくなさそうな妻。それ以上は聞こうとは思いませんでした。
金縛りの話だったり、それ以外の怪異のことでも普通に話すのに、話したがらないその場所のことは深く聞こうとは思いませんでした。
次は娘の話です。




