15話
次の事故物件のお話は、私が結婚した時のお話です。
私が結婚したのは、今から十数年前のことです。
同じ会社に勤めていた年上の彼女。娘がいるシングルマザーでした。
結婚したタイミングは娘が高校生になる時でした。
そんな中で、一緒に住む家を不動産屋で探していた時です。
私たちが住んだその場所は娘が通う高校と私たちの会社があるところの中間地点。娘は電車で通うのですが、駅も程よく近い場所にあり、理想的な場所でした。
2階建ての一軒家で間取りも十分。
家賃もそこそこだったので、私たちはここに住むことに決めました。
その時、不動産屋から言われたことがありました。
今思えば、これは違和感があることですが、当時はその意味に気づくことはありませんでした。
私たちが住んでいたところは空港施設の関係もあり、古い家は防音工事に補助金が出るようになっています。
「防音工事の関係で、最低でも二年は住んでほしい。途中で防音工事が入るので迷惑をかけることになるが、住んでくれるのなら、家賃を一万円下げる」
そのように言われました。
少なくとも娘が高校に通っている間は、そこに住もうと思っていたので、家賃が下がることは願ったり叶ったりです。
そう思い、住むことにしたのですが、私はこの時の言葉の意味を深く考えることはありませんでした。
この家は二年以内に、必ず住人が退去してしまうから防音工事ができていないということに。
そして、その意味をわかっていたのは、妻と娘でした。
その家に住み始めて、数ヶ月たった頃でした。
それまで、娘は二階の部屋に居たのですが、ある時から一階の居間で勉強するようになってきました。
それから少しして、今度は一階の私と妻が寝ている部屋で寝るようになりました。
娘とは血が繋がっていないので、少し照れ臭いような嬉しい気持ちでしたが、私が何も知らないだけでした。
二階に居たくない理由を。
そんな生活を続け、娘は無事に高校を卒業をし、大学に進学することになりました。遠方の大学だったので、娘は一人暮らしすることに。
私と妻の二人暮らしの生活の始まりです。
夏くらいになった頃。妻が体調を崩すようになりました。
血液検査など色々な検査をしましたが、原因は不明。
そんな体調不良の中で、妻は引っ越しの話を切り出すようになったのです。
妻の体調に不安がある中で、次の家を探すのは大変と思っていましたが、案外すんなりと決まりました。
探したのは貸家ではなく、中古の一軒家です。
ハザードマップを調べたりとかして、立地条件は悪くない。隣の家も近いけど、近過ぎることもなく理想的。
何より私的には裏に庭や畑があるのが一番の決め手でした。
話はとんとん拍子に進み、新しい家に移り住むようになったのは秋ごろでした。
引っ越してから妻の体調は徐々に良くなり始め、その時に初めてあの家のことについて話を聞きました。
「あそこの家ってよく金縛りに遭ってたんだよね。でも今の家は全然そんなことない」
それから少しずつ妻は話してくれました。
あそこの家で起こっていた怪異について。




