第7奉仕 世界最強のお坊ちゃまを守ることになりました
「お前さあ、そんなに驚くことか?」
「……まあ、しょうがない事なんだろうが」
こいつが……レオン!?
もっと公爵の様なものかと思っていたが…このガキがレオン!?!?
ま……まじか。
「……コホン、失礼。それでは、お坊ちゃま。これから何処へ行かれるのですか?」
「これから行く場所は沼地だ」
「沼地……? それはまた何故ですか?」
解答に面倒くさがっていたレオンに代わり、オウロさんが解答をする。
「お坊ちゃまのリブラを10に上げる為に『沼の大蛇』を倒す必要があるのですよ」
なんと、レオンはこんなにも幼いのにもうリブラは9に到達しているらしい。
「沼の大蛇……ですか」
それは、俺のリブラを10に上げる為に必要な奴でもあるのだ。
いい感じにドサキルを狙えないか、とも考えたが、そんな事をしたら俺は殺処分になるだろう。
もしかしたら、レオンのスキル次第では二人とも解放できるかもしれない。
「お坊ちゃま、あなたのスキルを教えてもらっても宜しいでしょうか?」
「なんでだ?」
「知っていた方が連携を取りやすいからでございます」
「ふむ……まぁ良いだろう」
「僕のスキルは『吸収』。口にした物や目にした物を吸収しスキルツリーに追加すると言う物だ」
はあ? ぶっ壊れじゃねーか!
おい!! 神!! このスキルこのガキじゃなくて転生者である俺につけるべきだろ!!
「勿論、その固有スキルの解放にはリブラを上げる必要があるんだが……」
なんだ、欠点があるのか。
「その解放度は『吸収』と連携している」
「はぁ!?」
「どうした?メイド」
「……なんでもございません」
「あと物を食べればリブラが上がっていく」
「はぁ!?」
「…………メイド?何か文句でもあるのか?」
俺としたことが、ついつい感情があらわになってしまった。
だが、俺は今本当にこの世界の神に問いたいものだ。何故こいつに、このスキルを与えて俺には『アンキラ』なのか。
「こほん。私としたことが、自己紹介を忘れていましたね」
「私はルミナ・クラリスと申します。レオン様、是非『ルミナ』と及びください」
神よ…お前は『アブソルプティオ』を与える相手を間違えた。
「……失言は無かったことにしてやる。ルミナ、ついてこい」
「ありがとうございます」
「お坊ちゃま、一つ宜しいでしょうか」
「なんだ」
「私のリブラを10に上げる為に倒す必要があるモンスターもその沼の大蛇なんです」
「ほう。お前に譲れと?そう言いたいんだな?」
「ご恐縮ですが、その通りでございます」
「ふむ…僕は食べればそれで良いしな。手間も省ける。良いだろう。」
「感無量でございます」
「早く行こう。オウロ!」
「ハッ!!」
なんだなんだ?何が始まるんだ?
「ルミナ様、お乗りください」
「え…?」
「戸惑うのもわかりますが、お乗りください」
「は、はい」
俺はレオンがオウロを呼んだ時にまさか……とは思っていたが、オウロこそが移動役らしいのだ。
「最高速度で飛ばしますぞ! お坊ちゃま!」
「分かったから。どうせ僕の方が速いんだから先行っといていいよ」
「左様ですか…なら、もう行ってしまいましょう。ルミナ様、ちゃんと掴まっててください!!」
「はい。承知致しました」
「『滑走』!!」
「『ラベース』……?」
「うわあ!!!!」
なんと、そのおじいさんが発動させたスキルは、足にスケートブーツを作り出したのだ。
この世界にはスケート、なんてスポーツはないのだから、恐らくは凄い偶然だろう。
偶然なんかでは終わらせてはいけないほど、一致しているがな。
「凄いスピードですね」
「あ、あまり喋らない方が良いですよ。舌を噛みますから」
「……ありがとうございます」
にしても……『ラベース』ってのは地面を凍らせるのもセットなのか。
本当にスケートだな……
「おい、オウロ。もう少しスピードは出せないのか?」
「おや! お坊ちゃま!! お速いご到着で!」
レオンは『アブソルプティオ』により、オウロの『ラベース』をコピーしたらしく、猛スピードで追いつく。
いいなぁ……俺もそんなスキルが欲しかった。
「オウロ、それが全開なのか?」
「いえ……ただ、これ以上出してしまうとルミナ様が振り落とされてしまいます。」
俺はそのおじいさんの言葉に少々イラつき、糸を使って俺をオウロさんの体に縛り付ける。
「…………安心してください。オウロさん」
「私はそんなにヤワじゃないです」
「こっ……これは……?」
「糸で私とオウロさんの体を縛り付けました」
「最高速度で、どうぞ」
「……承知致しました、後悔はしないように」
後悔……? そんな事するわけ……
「MAXで行きますよ!!」
オウロさんのフルパワーは、確かに物凄いスピードであった。
そのスピードは、正に自動車、いや、体感で言えば新幹線並みであった。
「さて、着きましたよ。ルミナ様」
「ちょっ……ちょっと……待って……」
うぷ……今にも吐きそうだ……世界が回っている……
「だから『後悔はしないように』と申したんですが……ねぇ」
酔うことについて全く考慮してなかった……
「オウロさん……袋……」
「大蛇の肉を入れる用しか用意しておりません……その辺の草むらにでも吐いて来るのはいかがでしょうか」
も、もう無理……
「オロロロロロロロロロロロロロロロ…………」
「ルミナ、酔ったのか?」
「お、お坊ちゃま……はい、お恥ずかしながら……」
「そうか。早く酔いを醒ませ」
「そんな事…言われてmオロロロロロロロロロロロロロ……」
「ハァ…ハァ…お坊ちゃま、酔い止めとかって…」
「酔い止め? 無いぞ」
「そうですか…ハァ…ハァ…行きましょう」




