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第38奉仕 ラウィニウム帝国へ行くことになりました

「皆、準備はいい?」


 ごく普通の馬車に、俺らは馬車に乗っていた。運転はその辺のメイドに任せていた。


「はい」

 偶にはこう言う、ごく普通の馬車も風情があっていいよな。

 ついつい心地よくて向かってる最中に眠ってしまいそうだぜ。


「いつでも行けるぜ」


 マナも続いて喋り、ミノもコクリと小さく頷く。


「よし、それじゃあ出発よ!」


 ちょっとずつ加速していく馬車に、馬車の外から話しかけてくる最強がいる。


「ルミナ、命令を忘れるなよ」


「はい。まぁ、危険な事にはならなさそうですし、心配は無用ですよ」

「ただミウ様について回るだけです」


「そうか……メイドに言うのも変だが、楽しんでこいよ」


「わかりました。土産には期待しといてください」


「あぁ。わかった」

「ルミナが僕の命令を守ったのとお土産を楽しみに待ってるよ」

「それじゃあ、行ってらっしゃい」



「行ってきます」


 レオンが馬車の側から離れると、レオンは背を向けて屋敷へと戻っていく。


 おお……レオンがどんどん小さくなっていく。

 なんか新鮮だな。俺はあいつの専属メイドだからいつもそばに居た。

 でも今は臨時的にミウのメイドって事になっている。

 合法サボりってわけだな。


 土産……土産は何にしようか。

 まぁ、七歳頃なら……おやつでいいか。

 甘いまんじゅうみたいな奴。

 あぁ言うのあげとけば取り敢えず喜ぶだろ。

 それかドラゴン剣のキーホルダー。

 あれを貰って喜ばねぇ男児は居ないか? 否!!

 子供の頃の俺だったらお菓子よりもそっちのが嬉しいぜ。

 う〜ん……ドラゴン剣のキーホルダーの方がいいのかな。

 てかあるのか? この世界にそんなキーホルダーだとかドラゴン剣だとか。


「なールミナ、なんでお前は行こうと思ったんだ?」


 肩をトントンと叩き、俺に質問をする。


 本当はただ面白そうだとか、ミノやミウと仲良くなれたらとかそんな下賤な欲望だが……

 まぁ、よく言うならば……

「……私は世間知らずなもので。常識を学びに……それと気分替えですね」


「へぇ。真面目だな」

「にしてもルミナが世間知らずを自称するなんて意外だな!」


「恥ずかしながら、メイドの常識や一般常識しか叩き込まれてこなかったので」

「まぁ、メイドですので。最低限の常識を更に伸ばそうかなと」


「そうか……ふぁ〜……じゃあ、俺は寝るとするわ…………」

「昨日シャベルの機能を見直してたら寝るのを忘れちまって……」


 俺も良くやってたな。

 プラモデル作成に腕に縒りをかけて慎重に接着剤で部品をくっつけるとか。

 やってたな〜。懐かしい〜。


「そうですか……私も睡眠を取ることにします」


 俺も目を瞑り、意識を脳に任せる。


 あ〜……そうそう……この感覚……意識が浮くような……


ーーー夢ーーー


 胸のざわめきが醒めない気持ちの中で桃色の葉を吊り下げた木の下。

 出会って間もない女子……まぁ、髪を入学早々金髪に染めているし、誰に対しても軽いテンション……何故か退学になっていないのはその持ち前のコミュニケーション能力からだろうか?

 まぁ……俺は所謂『ギャル』に呼び出されていた。


「えっと……悟くんだっけ?」


「えっうん……まぁ、そうだけど」

 何のようだよ。美少女がこんなチー牛陰キャの俺を呼び出すとか……

 カツアゲならただじゃおかねえ……!


「あたし、お前の事が好きなんよね。一目惚れしちゃった」


 へ?


「付き合ってくれない?」


 おいおいおいおい!! マジか!? マジでか!? マジでこんな可愛い子と付き合えるのか!!?

「は、はい! 喜んで!」

「初デートとかって……いつにしますか?」


「あ〜ごめーん。あたしさ、ちょっと近い日は空いてないんよね」

「また今度話し合おうね。ばいばーい」


「あっ……SNS繋いでないんだが……」


 まぁいいや! いや〜ホントラッキー!!

 って……ん?


 その時、俺の足元がパッと消え失せて、大きな黒い穴が出現した。


 ウワァ!? 地面は何処行った!?

 落ちる!! 落ちる!! うわああああああああああああああああああ!!!


「ルミナさん、着いたわよ」


 俺はミウにトントンと優しく起こされる。


「あっ……あっ……わかりました」


「何が……? 冷や汗凄いよ、馬車の中は暑かった?」


 俺は額の汗を右手首で拭う。


「いえ……ちょっとばかし悪夢を……」


「あら……可哀想に……慰めてあげましょう」


「本当ですか? なら、是非──」


 ……なんか威嚇してる奴いるんだけど。

『ミウ様に慰めてもらったらボコボコにするぞ』って意思しか感じられない奴が居るんだけど。


「──いや、辞めときます」


「そう? まぁ、いいわ。挨拶をしに行きましょう」

「どうやら珍しい事に、女皇帝らしいよ」


 俺は立ち上がり、馬車から出る。

 馬車は何処かへと屋敷の方面へと走り去っていった。


「力を持ってるって事ね。強い人なら、無礼を承知の上試合を行ってみたいわ!!」


 拳と拳を打ち鳴らすマナ。


「ミノさんは戦闘狂ですか?」


「俺も戦いてェ!!」


 それ同様に、マナも拳を打ち鳴らしていた。


「マナさんもですか……」


 俺は絶対ごめんだね、強い奴と戦うなんて。

 命令でもない限りは絶対に強い奴とやり合うことは無いだろう。


「今日は、遠い場所から遥々、このラウィニウム帝国へお越しいただき、ありがとうございます、王妃陛下」


 階段上から降りてきた。

 かっこいい……クールなお姉さんだ……

 濃い青髪で、ぱっつんの短髪。軍帽を被っていて、軍服にロングスカートを足したような服。左肩から右肩に掛けて、刀を背負っていた。

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