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第37奉仕 聞いてはいけないものを聞いてしまいました

「ミウ様、いつラウィニウム帝国に行くの?」


「ん〜……もう少しこうしてましょ」


「そう? じゃあミウ様、なでなでして」


「いいよ。ミノはほんと、私の手が好きだね〜」


「うん……ミウ様の手、大きくて気持ちいい……」


 中で何が起こっているんだ……!?

 なんだろう。如何わしいことをしているようにしか聞こえない。


「いつもゴロゴロ言っちゃうね〜」


「あっ……また出てましたか?」


「うん。出てたよ」


「恥ずかしい…………ん?」


 あっやべ。気づかれたか……?


「誰よ!? 部屋の前で何をしてるのよ!!」

「姿を現しなさい!!」


 しょうがない……覚悟を決めるか……


「私です。ミノさん、ミウ様」


 俺は扉を開けながら、姿を現す。


「ルミナ……あんた、どうして盗聴してたのかしら? 何処から聞いてたのかしら!?」


 見幕が凄い……

 小さな体に見合わない眼力だ……


「その……ミノさんと仲良くなりたいなと……」


「そう! で、何処から聞いてたのかしら!?」


「いつラウィニウム帝国にいつ行くのかって所からです」


「そうなのね。さっき聞いたものは全て忘れて!! いい!?」


「はぁ……」


「いい!?」


 ミノの顔が徐々に赤くなっていくのがわかる。


「ミノ、そんなに威嚇しないの」


「……うっ……はぁい……」


「ルミナさん、ごめんなさいね、うちのこが」


 うちのこ!?

「はは……大丈夫ですよ」

「それで……ラウィニウム帝国とはなんですか?」


「つい最近できた帝国よ」

「クオンの代わりに私が行くことになったんだ」


「そうなんですね。どうしてですか?」


「あの人、国の管理で忙しいとかなんとか言って私に押し付けたのよ」

「まぁ、忙しいのは本当なんだろうけど……」


「……そうですか」

「もし宜しければ、私も行かせてはくれませんか?」


「あら、ルミナさんも気になる物とかあるのかしら?」


「いえ、興味が向いたのです」


「そう。それじゃあ、レオンに許可を取らなきゃね」


「許可……ですか?」


「うん。主人不在で行くならね」


「なるほど……取ってきます」


 許可取りねぇ……

 まぁ、大丈夫だろう。

 …………大丈夫か……?

 徐々に不安になってきたな……


「お坊ちゃま」


「なんだ?」


「便利ですね。呼べば後ろから出てくるの」


「ミウ様の遠征に同行しても宜しいでしょうか?」


「えっ? あ〜……いいぞ」


 まじか。いいんだ。


「ただし、一つ命令がある」


 命令、と聞いた瞬間、俺の背筋が凍りだした。


「はい? なんですか?」


「大怪我をしないで帰ってこい」


「わかりました」


 な〜んだ、命令と聞いて少しヒヤッとしたが……

 その程度なら大丈夫だぜ。


「では、ミウ様に報告をしてきます」


「あぁ。わかった」


 あ、ラウィニウム帝国から帰る時に手土産とか持ってった方がいいのか?

 うん。一応手土産を買ってから帰るか。


 コンコンコン。

「ミウ様、失礼します」


 そこには、ミノを膝に乗せて髪を三つ編みにするミウと、顔が真っ赤なミノの姿があった。


「…………ミウ様? 何をしているのですか?」


「何って、ミノの髪型を弄ってるだけよ」


「ええ……どうして……?」


「だって……こんなにサラサラで長いのに、この子は結びもせずに……」

「色んな髪型ができるのよ! 誰だってこの子の髪を結びたくなる」

「ほら見て! 三つ編み!! 可愛いでしょ!?」


「ええ……まぁ……可愛いですけど……」

「もう辞めて上げてください。彼女の顔が真っ赤になってます」


「あら、じゃあ残念だけど、もうお終いね」


 ミウはミノの髪を解き始める。


「あ、私もルミナさんに疑問があるの」


「はい、なんですか?」


「どうして部屋に入る前にコンコンコンってするのかしら?」


「えっ? そう言う礼儀ですよ?」


「そうなの? そんな礼儀、初めて聞いたわ」


 もしかして……

 この世界、ノックの概念がないのか!?

 いや……多分そうなんだろうな。

 そうじゃないと、王様の妻がそんな質問投げかけて来ないもんな。


「あ〜……まぁ、マイナーな物ですので、あまり気にしないでください」


「そうなの?じゃあ、そうするわ」


 ふ〜……助かった。

 俺の頭、ナイス!!


「それで、いつ出発するんですか? ミウ様」


「未定ね。だけど、一週間以内には出発するわ」


「なるほど。そうですか、了解です」

「では、失礼します」


「は〜い。よろしくね、ルミナさん」


 一週間以内か。準備……は必要ないな。

 武器の手入れだけしておこう。


 その時、俺の左腕から紫色の読めない文字が浮かぶ。


『三秒後、マナが訪れる』


 ……なんだ? 二度目の予知がこれか。

 なんか……ショボいな。


「よォルミナ!!」

「聞いたぜ!! ラウィニウム帝国とやらに行くんだろ!?」


 何処から聞いたんだ? 盗聴か?


「ええ……まぁ……行きますが……それが?」


「俺の役割を忘れたか!? 俺もついていくぜ!!」


「あ〜……私の護衛ですか」


「そう!!」


 護衛の護衛って、今思えば意味わからんな。


「てか、何処から聞いたんですか?」


「あ〜、聞いたってより聞こえてきたって感じだな!!」


「なるほど……そうですか」

「まぁ、それならミウ様に報告してくださいね」


「おうよ!!」

「ミウさんよォ!! ご挨拶に来たぜ!!」


「キャア!? 誰よあんた!! なに勝手に入ってきてんのよ!!」


「俺はマナ・ファウス=トゥルスだ!! よろしくな!!」


「自己紹介をしろって意味じゃないわよ!!」


「え? じゃあどういう意味だ?」


 …………先が思いやられるな。こりゃ。

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