第30奉仕 vs山の主①
セレナが戦っていた相手は、ドリュアスではあるが、とても悍ましい姿だった。複数の人面がその木の体からびっしりと浮かんでいた。
「シィア!!」
その山の主はとても信じられない速度で枝を伸ばす。
初っ端からこの速度の枝を……!
【糸】!
パキンッ。
俺はその枝を完全に切ったと思った。折れた音がしたからだ。
だが、実際には違ったのだ。
なっ……糸が……鋼鉄の糸が……
折れた……!?
「シャア!!」
更に、山の主は枝を伸ばして攻撃をする。
「5th……それに……2nd!」
「【鬼露】!!」
大きくしたシャベルでシャベルから現れた炎の塊を叩き、火花の川を差し向ける。
これなら、山の主には有効打になる!
「シィア!!」
だが、山の主は既に適応していたのだ。
「怯みもしねぇだと……? 既に効かねえって事か……」
「私の【糸】も弾かれました。どういう事ですか?」
その問いに、すぐにマナがアンサーを出す。
「ドリュアス・コンミクスタ……それは、諸説あるが…全ドリュアスの融合体だ」
「こいつは……俺らが戦ったあのドリュアスの能力も持っている」
「あの山の主には、適応能力がありましたが……そういう事ですか……」
「あぁ!! 一応、突破する方法もあるんだが……」
「なんですか?」
マナは少し間を置いてから答えを出す。
「……いや、現実的な方法ではない」
「いいです。早く教えてください」
大分躊躇ったあとに、攻略法を出した。
「…………莫大な火力だ」
……なるほど。
俺やマナでは突破できないな。
唯一の希望は……セレナか。
「わかりました。セレナさんが充分に溜める時間を稼ぎましょう」
「おうよ!」
肝心のセレナはスキルで隠れていて、話すことすら命取りになる。だから、沈黙続きなのだろう。作戦は伝わったはずだ。
「シャア!!」
掛け声はしたが……どっから……?
まさか……背後から根の攻撃!?
だが、振り返ってもそこは何ら変哲のない森だった。
「違う! 下だ!!」
下か……!
マナに従い、俺は下を向く。
たけのこ!?
「うわッ!!」
一気に成長して竹に……!?
「竹が輝いてる……? 気をつけろ! ルミナ!!」
「はい!」
【水糸の刃】で切って無効化してやる!! 竹が光るとかかぐや姫かよ!
【水糸の刃】で竹を攻撃する。だが、パシュンっと【水糸の刃】は崩れてしまった。
もう水には適応済みかよ!
「シィア!!」
竹から枝ッ!?
「ッ……!」
避けるのが遅れて、俺の腹にそのまま枝が突き刺さってしまう。
「ルミナ!!」
「くッ……気にしないでください!」
いっ……てぇ……! 腹が……!
それに、なんだか……力が抜けて……
「枝が……育っている……?」
まずい! このままだと腹を貫かれてしまう!!
「ふんッ!!」
俺は枝に向けて手刀を放つ。
「はぁ……はぁ……良かった……打撃は未適応……みたいですね」
「そうなのか! だが……何れは必ず適応される…打撃はヤバイ時の最終手段だ!」
「はい。そのつもりです」
ドリュアスから何か力を感じる。
「ッ……何か来るぞ!!」
…………何も来ない……?
「ッ……足元だ! 泥になっている!!」
「……なるほど」
「シィシィア!!」
ペッと山の主は球体の何かを吐き出した。
こんどは……球体……? なんだ? あれは……
ッ……なるほど! 蜂の巣だ!!
「【蜘蛛の糸】!」
糸が効かずとも……弾く事なら……!
蜂の巣は【蜘蛛の糸】に触れると【蜘蛛の糸】を破壊するが、その代償かのように跳ね返った。
よし、できた!!
「くっ……厄介ですね、この泥沼……中々抜け出せない……!
「クソッ……7th.『ハドリアヌス』!!」
「よし!! 俺は抜け出せたぜ!」
「マナさん! 私が抜け出すまで、セレナさんの護衛を!!」
「おう!!」
「セレナ!! まだチャージは完了しねえのか!?」
そこで、今まで声すら上げなかったセレナが声を上げる。
「ええ……まだ、まだ奴を貫くには値しないわ」
「そうかァ!! 安心してチャージしとけ!! 俺が護ってやるよ!!」
「……助かるわ」
よし! 俺も脱出できた!
いつでも来い……!!
「シャッシャッシャッ」
なんだ……? 笑っている?
笑っているのか? あのドリュアス。
舐めやがって……!
「枝を伸ばすのはもう……効きません!!」
簡単に回避してやる!!
「なっ……花……?」
だが、枝を伸ばした先に出たのは、ピンク色で色鮮やかな黄色い雄花と雌花を持った花だった。
光っている……ヤバイ気配が……漂っている!!
ヒューーーーッ…………
その花は日光を吸収し、チャージ音を響かせる。
防御を取れ……!!
チャージ……が、止まった……?
ビュン!!!
「くッ……!!」
その花から放たれたビームを身を捩って回避する。
危ねえ……!! なんとか避けれた……!
栄養吸収からのチャージビームだと……? なんでもありか……!?
「6th.『アンニア=ファウスティナ』!!」
「オリャアアア!!!」
マナのシャベルは柄を伸ばし、広範囲を薙ぎ払う。
薙ぎ払い! それなら確かに、広範囲で攻撃を裁ける!
「竹を俺の目の前に生やしても……意味ねえよ!!」
マナの前にのこのことたけのこが生える。
先ほどの花同様に、たけのこが光っている。
まさか……竹からも撃てるのか? あのビームは……
「マナ!! 危ない!!」
「ッ……?」
その光っていたたけのこは、湾曲して俺の腹部へと突き刺さる。
違う……! 湾曲して俺に飛んできたか……!
まずい! 糸でなんとか衝撃を和らげねぇと……!




