第31奉仕 vs山の主②
「ルミナ!!」
「ガハッ……凄い衝撃……!」
その湾曲した竹のパワーは凄まじく、軽々しく俺を木に衝突させた。
だが奇妙なことに、俺が衝突したところには葉っぱで作られたクッションがあったのだ。
背骨が……いってえ……まさか、マジで漫画みたいに木に叩きつけられる日が来るとは……
それに……なんだ? この葉っぱは……? 少しばかり、クッションになっている。
まさか……舐めプか!?
ふざけやがって!!
俺をおもちゃとして楽しんでいる山の主は枝を伸ばして追撃を行う。
ヤバイ! 追撃が来ている……!
「10th.『ヴィビア』!!」
その時、枝から俺を護る様にシャベルの矛先が発射された。ハープンガンだ。
「5th.『アンニア=コルニフィキア』、4th.『アンニア=アウレリア』!!」
発射された矛先は一気に巨大化し、白く柔らかいクッションへと変貌した。
俺はその庇われた隙を狙って、散々傷つけられていた腹を【糸】と【裁縫】で痛みを伴いながら即時に修復する。
「……はぁ……はぁ……ありがとうございます、お陰でお腹を治療できました」
「気にすんな!! それより、4thが貫通される! 体勢を立て直せ!!」
「わかりました」
俺は駆け出し、クッションの上を飛び越えるように【糸の矢】で宙に飛び出す。
【糸の矢】!!
「なっ……!?」
だが、そこで待っていたのは最高点の光を放っている、ピンク色のチャージが完了した花であった。
ソーラービーム!?
身構えなければ……!
咄嗟に身を構える。
ビュン!!!
「ッハァ……!!」
なんとか消し炭にはならずに済んだ。だが、勢いが強すぎる!
まずい! このままだと……頂上から追い出される!!
糸……糸を使え!! 死ぬぞ! 俺!!
俺は必死の抵抗で糸を伸ばす。
「良かった……木の枝にしがみつけた……」
「ルミナ!!」
「私は大丈夫です! 今はセレナさんを!」
「でも……いや……おう!!」
……なんだ? さっきまでは気づきはしなかったが……霞が発生している……?
至って普通に見える、普通の白い霞だ。いや、少しだけ色が濃い。
なんだなんだ……?
山の主が生やしたたけのこの動きが……歪んで見える?
何かだ! 何かがおかしい!!
「くっ……【舞踏会】!」
「ルミナ! 動いて大丈夫なのか!?」
「ええ……一つ、気付きました。ここは……霞の中は……幻が発生している」
「すみません! それ以外はわかりません!」
「なるほど……分かった、ありがとよ!!」
今はその幻が、どの様な影響を与えているかはわからねぇ。
だが、やる事は変わらない。ただセレナを守るだけだ!
俺だって【舞踏会】を使っている。なんでも弾いてやる!
「シェイア!!」
山の主は得意技であろう枝伸ばしを使い、攻撃を仕掛ける。
枝伸ばし……! そんなのは【舞踏会】で充分に弾ける!
「よっしゃあ! ナイスだ!!」
マナの明るい声とは対照的に、俺には少しの違和感があった。
弾けはした……だが、手応えと俺の目からの情報……何か、ズレている。
ネトゲみたいな……同期ズレ……
なんだ? なんなんだ?
まぁ、十中八九は幻の影響……
「シィア!!」
山の主は葉っぱを手裏剣のようにして繰り出した。
風に乗せられて……あいつの葉っぱが……!
【舞踏会】……!
弾け……! 弾ききれ……!
「6th.『アンニア=ファウスティナ』!!」
マナはシャベルの柄を伸ばし、山の主の複数あるうち、一つの顔面にシャベルを咥えさせる。
アホマナ……! それが通る筈無い……!
「ギィア……!?」
だが、俺の予想とは裏腹に、山の主の体は削れている様だった。
「へっ……意外と、刺突は適応外なんだな! 1st.『コモドゥス』!!」
マナのシャベルの矛先が高速で回転を始める。
意外……意外だ……! 意外と通ることもあるのか……!
「ギィヤァァア!!」
「よし! このままいけば……いい感じに弱らせそうだぜ!!」
いや……このままだと、刺突に適応される。
何か、変化を加えた攻撃をしないと……!
「ギィ……シャッシャッシャッ!」
傷ついた体を再生させながら、笑いを隠せない山の主。
「くっ……もう適応されたか!!」
やっぱり……あいつ、笑っている。
これを戦闘ではなく遊びだと思っているんだ……!!
野郎……!
「シィ!! シャア!!」
その時、俺の目の前にたけのこがニョキッと生えた。
竹! もう、その手は見切ってる!!
「ぐっ……何!?」
俺は見切ったと思っていた。だが、その竹が顎にクリーンヒットしてしまった。
あの竹、見た目より当たるのが少し早かった。
やはり、同期ズレ……これが幻の正体だな……!!
「マナさん! この幻は、実際より遅れている!! 早めに相殺をしましょう!」
勿論、その事はマナにも伝える。
「おう!! わかったぜ!!」
この霞……全て【糸】で吹き飛ばす!!
【糸】をバツ印状に重ねて、吹き飛ばす!
ふぅ……視界良好!
霞を追い払ってもまだまだ攻撃の手は止まない。マナの目の前のたけのこが現れる。
マナは無言で回避するが、成長した竹が更に光り、そこから更に竹が育つ。
マナへ向かった竹はマナの右頬を掠めた。
「竹から……更に竹だと!?」
「ルミナ! 湾曲するかも! 気をつけろ!!」
「分かりました!」
その竹はやはり、光りながら湾曲し、それと同時に燃えている葉を沢山ポップコーンのように弾き出した。
竹……! と同時に燃えている……葉……?
「うわッ!!」
「なんだこれ……俺が吹き飛ばす! 1st.『コモドゥス』!!」
その燃えている葉は風をも考慮せず突き進み、斬るものを問わず斬る。
あの葉……本当に何なんだ? マナのシャベルの風圧を切り開いて進んでいる……?




