第26奉仕 謎のドリュアスが現れました
「ピシァァァア……」
うわッなんだこの生物。生物なのか……?
木に人面が……キモいな。
あ、ゲームで見たことがある。トレントって奴か?
リアル調にすればこんなキモいのか。
「……ここにもドリュアスか。ここは私に任せろ」
レオンから降りてドリュアスに立ち向かうセレナさん。
もちろん、レオンはそんなセレナさんのことを心配する。
「両腕と目が無い状態でも使える固有スキルなのか?」
「そんな事はない。だが、目と腕なんてただの飾りだ」
「ピシァァァア……!」
自分の腕である枝をセレナさんへと向かって伸ばすドリュアス。
「ドリュアスの攻撃方法はもうこの頭に入っている」
「何処から飛んでくるかも肌で感じ取れば良い」
セレナさんも先ほどのレオン同様滅茶苦茶な理論を展開し始める。
だが、ドリュアスの攻撃が頭に入っているのは確かなようで、ドリュアスの攻撃を回避し続けていた。
この世界の軍人ってこんなにレベルが高いのか?
シンプルに何を言ってるかわからん。凄いことを言ってる事しかわからない。
「『弓』」
そのスキルを発した瞬間、宙に何張もの弓が浮かぶ。
ふむ……弓の固有スキルか。
弓が浮いている。矢は自給自足か。
それにしても、弓が無数に出てくると言うのは中々……
まぁ、シンプル・イズ・ベストか。
「【自動照準】」
「ピシァァァア!!」
セレナさんはドリュアスが攻撃をし続けている間も、攻撃準備を整えていく。
「【燃える弓】」
おお、すげぇ。矢が一斉に炎を灯したぞ。
それに、弦に触れずに引いた……?
やれる事多くないか?リブラが高いのかな。
「『弓』」
凄い熱気だ。それに……あのドリュアスだった物ももう燃えカスと成り果てている。
アルクスが発射の合図らしい。
「さ、ドリュアスは片付けたわ。早く頂上に向かってちょうだい」
セレナさんはドリュアスが散った事を確認すると、再びレオンの背中に乗る。
「あぁ。分かった」
「にしても、強いんだな」
「……そりゃあね」
「行くぞ、オウロ、セレナ。ちゃんと掴んでるか?」
「ええ。大丈夫よ」
再び、ドラゴンの翼の様な物を生やしてレオンは登山を再開させた。
「それじゃあ、行くぞ」
さて、置いて行かれない様にしないとな。
あの最強、固有スキルのバフが多すぎるんだよ。ふざけやがって。
糸を駆使して登らないとな……にしても、頂上が遠い。
これも死山と呼ばれる所以なのだろうか?
言われた通り、掴む所も少ない。
なんとか糸を突き刺して登っていくしかないか。
「……鳥……?」
おかしい。この山に生物は居ないんじゃ……?
あぁ、そう言えばセレナに助けられた時は草の上だったな。
つまり……全然モンスターだらけじゃねぇか!!
その鳥は白い毛でくちばしだけが黒い普通の様な見た目の鳥だった。
だが、紫色の毒性のある液体を垂らし、威嚇と思われる物をする。
「やばっ、攻撃してきやがった」
「この俺に任せろ!! 俺の仕事はあんたの護衛だからなァ!!」
「マナさん……助かります」
にしても毒攻撃だなんて……厄介でカスな敵だな……
「キョエエェエエエ!!」
その瞬間、上空から鳥の鳴き声が聞こえる。
あっ、レオンが瞬殺した。
日差しが邪魔だなぁ。上が向けねぇ。
サングラスか何かがあれば楽なんだが……
「シィアァァ……!」
このうめき声は……またモンスターか?それでも、どうせ雑魚だろ。
【糸】で終わりだ。
刃の様に鋭くなった【糸】でドリュアスを切り飛ばそうとする。
「シィア!!」
「なっ!?」
だが、そのドリュアスは今までのドリュアスとは違い、【糸】を一瞬で認識し回避をした。
その後、ドリュアスは俺の口を伸ばした枝でぐるぐる巻きに封じて引き寄せる。
このモンスター……知性があるのか!?
「ルミナ!!」
先にシャベルの機能で登っていたマナが、俺が捕われていることに気が付き、急接近。俺の口を塞いでいるドリュアスの枝をシャベルで切り裂いた。
「ハァ……ハァ……よく気付きましたね、マナさん」
着地した俺とマナは少しの緑があるフィールドに着地した。
「まぁな……まともに立てる場所があって助かったぜ」
「まぁ、襲われたのはそれのせいでもあるんですが……」
「ハハッ! 確かに!」
「シィア!」
不気味な顔を浮かべながら、マナへと枝を伸ばすドリュアス。
「ふん! 威勢だけは立派だな!!」
「2nd.『ルキッラ』!!」
炎を保ったシャベルの矛先はドリュアスへと襲いかかり、その枝を粉砕する。
あのトレントは知性がある筈だ。我々人間の言葉はわからずとも、カラスの様に頭がいい。
群れてない事だけは大助かりか。
「シィア!!」
ふん! 予想通りだね!!
ドリュアスは根すらも伸ばし、マナを背後から攻撃する。だが、そんな事予想の範囲内だ。
「【糸の独楽】」
土の中から迫っていた攻撃を、土から出た瞬間に紫色の糸で縛り地面に叩きつける。
「え? おお! 土の中から根を伸ばしていたのか!!」
「危ねー気づかなかった。ナイスだ、ルミナ!!」
「いえいえ。それより、早く叩いて燃やしてください」
「任せな!!」
親指を立ててマナはドリュアスへと駆け出す。
「シェイア!」
それにドリュアスは枝を伸ばし、迎撃をする。
学習するのはドリュアスだけではなく、マナも同じだ。見飽きた枝攻撃なんて見切って、ドリュアスの懐に入り込む。
「それはもう見切ったぜ!! 貰ったァ!!」
「マナさん、不意打ちに気をつけて!!」
「なァに! もう勝てるっての!!」
「シァシァシァ」
ピンチだと言うのに、ドリュアスは不気味な顔で笑い出した。
笑ってる……?
なんだ?何もしてないように見えるが。
「オラァ!!」
ジャンプし、ドリュアスの顔面目掛けてシャベルを打ち込む。
「シァッ!!」
ドリュアスは声を上げて倒れた。
「はは〜!! 討ち取ったりィ!! さ、向かおうぜルミナ」
「ちょっと待ってください。あのドリュアスの様子が……」
「ああ? あのドリュアスはもうぶっ倒しただろ?」
「シェアッ!!」
ドリュアスはマナのシャベルを根っこで土中から奪う。
「あっ……クソ!!」
倒したと思っていたドリュアスはまだ生きていたのだ。燃えてなんかいなかったのだ。




