表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/42

第21奉仕 レムス家を出発します

 馬車に乗る俺と、馬車を引く位置に立つ。


「それでは、引きますよ、お二方。無いとは思いますが、振り落とされないでくださいね?」


「おう」


「オウロ……出発します!」


 馬車は簡単に進みだし、風景が流れていく。


 おおっ……相変わらずな速度だ。こんなにも重量があるのに、それを簡単に引くとは。

『ラベース』……相変わらずの移動特化なこった。

 便利で羨ましい〜。『アンキラ』ではこんな事できねーからな……


「ルミナ、ファウス=トゥルス王国に着いたら、ちょっとオウロを休めさせた方がいいか?」


「当たり前でしょう」


「……それもそうだ」


 ……会話が長続きしねぇ。


 どんな時も空は青い。爽やかな風が吹き抜けてきている。


 あ〜あ、空から女の子降ってきたりしねーかなぁー。

 この変な異世界だったらあり得るだろ。天候女の子。


「ルミナ」


「はい?」


「『退魔の秘薬』って、どんな物だと思う?」


 レオンも暇を持て余したのだろう。唐突に質問を投げかける。


「え〜……そうですね……」


 そんな事聞かれてもなぁ……

 そうだな……秘薬って言うからには薬なのかな……

 退魔……浄化か?


「……ずばり、不浄を直す薬です」


「ふむ……どうしてだ?」


「『退魔』の名が付いているので、そう考えました」


「……まあ、そりゃそうか」

「ありがとう、ルミナ」


「いえいえ……」

 これ、俺が秘薬を知ってる事にならない? 大丈夫?


 ……会話がまた尽きた。もういいや、外でも眺めよう。


ーーー八十分後ーーー


 外は緑で生い茂っている。砂漠化で悩んでいるエジプトに差し上げたいほどだ。


 まぁエジプトの事情なんか知らないけど。


 ……んん……?


 平原のずっと奥に、赤い何かが見える。


 ここらの生物は擬態とかの為に大体が緑色の筈なんだが…なんだ? あれ。


「お坊ちゃま、あれ見てください。赤い物がありますよ。」


「……ほんとだ。あれは……なんだ……?」

「……オウロ!」


「はい! 何でしょうか、お坊ちゃま」


「今どのくらいの地点に居る?」


「はっ! 残り百四十キロメートルでございます」


「ふむ……何分くらいで着けそうだ?」


「百四十分くらいであります!」


 こいつ、分速一キロで走れるんだ……車か何かか?


「……体力は?」


「まだまだ底は見えません!」


 そんなオウロに俺は心配して『本当に大丈夫なのか』の旨を遠回しに伝える。


「もう八十分走ってますよ?」


「体力は『滑走(ラベース)』のお陰で減りは緩やかでございます。なので大丈夫です!」


「そうなんですか? 凄い……」


「よし、オウロはこのまま、ルミナはあの赤い物を警戒しろ」


「わかりました」


 俺はレオンに言われるがまま、赤い何かを警戒する。


 う〜ん……何なんだろうアレ。

 見えないな……てか、あれ追跡してないか?俺たちの事を。


 赤い何かは確実に馬車を追跡していた。今はお互いに要警戒って事だろう。


 赤い物……ファンタジーで赤い物と言えば赤竜とかだ。


 赤竜とはちょっと戦いたくないな……強そう死にそう。


ーーー六十分後ーーー


 恐らく一時間ほど警戒してあの赤い何かを見ているが、変わらずこちらを追跡している。


「オウロ、結構走ったよな? 今どのくらいだ?」


「残り80kmです!」


「お坊ちゃま、赤い物は未だこちらを追跡しています。どうしますか?」


 俺は未だ赤い何かが馬車を追跡を続けているということを伝える。


「僕らはこれから国に入る。国に入れたらもう気にする必要はない。放置しておけ」


「わかりました」


 頼む……このまま順調に、何もしないでくれ……!

 あわよくばどっか行ってくれ!


 ……ん? なんだぁ?


 何か赤くメラメラと波打つ丸い物が馬車へと急接近している。


 って、あれ炎じゃねぇか!!


 攻撃に気がついた俺は水の【糸】でバリアを張るように防御を作る。


「攻撃か?」


 そんな【糸】に気がついたレオンは馬車に座り腕を組んだまま聞く。


「見たら分かるでしょう? お坊ちゃま、あの赤い物は赤竜です! 火を吐いてきてますよ!」


「じゃあルミナ、あの水の糸でかき消せ」


「もうやってます!!」


「よし、そのまま引き続き頼むぞ」


「はい!」


 連続で炎を吐き続けるドラゴンに少し苛立ちを覚えていた。


 くそ……あのドラゴン、滅茶苦茶火飛ばしてくる……キリがねえ!

 だが……今はこのまま耐えるしかねぇ……!

 あと八十分、このまま耐え切る……!


ーーー


 あいつ、炎しか吐いてこねえ。

 もう百二十分とか経過してるんじゃね?

 作業ゲーだ。つまんねー。

 やるならアクションゲームをやりたいよ俺は!


「どうだ?どんな感じだ?ルミナ」


 定期的に同じ質問をするレオンに、俺もまた定型文で返す。


「攻撃が火しか来なくてですね、このままだったら余裕で捌き切れます」


「そうか……もう結構時間も経ってる。オウロ! あとどのくらいで王国に着く?」


「はっ! あと二十分でございます!」


「そうか! あともう一踏ん張りだな!」


 てか……近づいて来てね?

 ……来てる来てる!! なんならもう突進してくる距離!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ