第22奉仕 赤竜と戦う事になりました
「お坊ちゃま、来ます!!」
「わかった」
「ギャオオオオオ!!!」
赤竜は馬車へと突進し、レオンを食べようと顔を突っ込む。
「何事ですか!?」
「オウロ! 戦闘だ! もうこの際馬車は捨てろ!」
「わかりました!」
オウロさんは馬車から抜け出すと、すぐさまレオンの元へと駆け寄る。
「ギャオオオオオン!!!」
「【糸】!!」
鋭い鋭い糸だ……斬れるだろ、流石に。
だが、予想外な事に目の前の赤竜へと向かっていった【糸】はプツン、と切れてしまった。
なっ……マジか……!
硬いな、こいつ…流石赤竜ってとこだ。
「ギャオオオオオ!!!」
赤竜は俺に突進攻撃を仕掛ける。
突っ込んで来るか……! いい選択肢だな!
「ルミナ、危ない!!」
「お坊ちゃま、来ないでください。私はメイドですよ?」
かっこつけたは良いものの……突進されたらどうも避けるしか無いな…
【糸の矢】を使い、俺は上空へと回避する。
「ふんっ!」
「ルミナ、危ない! 退いてろ!」
「僕が一撃で殺す!」
「わかりました!」
オウロさんの方へ飛ぶか……!
再び【糸の矢】で移動をする。今度はオウロさんの居る方だ。
「ガアウ!!」
「お坊ちゃま! 大丈夫ですか?」
「ああ! 大丈夫だ! 今、チャージが完了した!」
「【暗明光閃】!!」
レオンはその右掌を突きだし、黒く光を発し、エネルギーが渦状となって纏わりついているビームを放った。
かっけえ!! いいなあ……俺もそんなの使いたい。
「ギャオオオオオン!!」
「よし、倒したぞ。二人とも、行くぞ」
「はい」
相変わらずのチートスキルだな。
だが、これでもう終わり……なんだ?
終わりだと思っていたドラゴンの体がモゾモゾと個別に動き出し、何かが赤竜の肉を食い破る音が聞こえる。
「お坊ちゃま、危ない!!」
俺はその赤竜の肉を食い破って出てきた何かからレオンを守るためにレオンを突き飛ばす。
「えっ?」
それはなんと、小さな赤竜だったのだ。その赤竜は俺の右腕に噛みつく。
「うッ……この!!」
右腕に付いた赤竜を逃さんと、糸で切り刻む。
次々と死んだ赤竜の中から肉を食いちぎりモゾモゾと出てくる八体の赤竜たち。
うわ、キモッ!!
その這いずり出た赤竜は徐々に肥大化して元の赤竜とは遜色ないサイズまで成長した。
徐々にデカくなってる! キモ!!
「グルルルル……」
「ギャウ!!!」
「ギャオオオオオ……」
「くっ……ルミナ、行けるか?」
レオンにそう言われ、俺は一応推測はする。
「まだソフトシェルなら……でも、もう硬くなっちゃってるので無理です!」
「逃げましょう、お坊ちゃま! ルミナ様をお連れください!」
オウロのその提案に、レオンは顎に手を当て、目を瞑り考える。
「いや……世界最強が逃げるわけには……世界の名が廃れる……!」
「お坊ちゃまの主力は発動に時間が掛かり過ぎます! 一旦退きましょう!」
「ぐっ……いや! 僕は絶対に退かない!!」
頑なに退かないレオンに、赤竜は大きく口を開いて咆哮をし、炎の弾を作り出す。
「ギャオオオオオ!!」
「……わかりました、お任せください。お坊ちゃまは私がお守りします」
「ルミナ様まで……了解です。一緒にお坊ちゃまを守りましょう」
「二人とも……よし、またチャージは完了した。行くぞ!」
「【暗明光閃】!!」
レオンから放たれたそのその光線は、一気に五体も片付ける。
貫かれた赤竜はほとんどが灰となって消し飛んでいった。
「……どうやら、一度増えたドラゴンはもう一回倒せばそれで終わりみたいですね」
「このままチャージして全部倒しちゃいましょう!」
「ハァ……ハァ……二人とも、すまない……体力が……」
「次のチャージには……ちょっと時間が掛かる……!」
レオンは膝をついており、息切れを起こしている。
あのレーザーは体力消費が激しいのだろう。
「わかりました。それまで耐えきります!」
「ギャオオオオオ!!」
「ガウウ!!」
「グルルル…………ガン!!」
「ッ……【糸の結界】!」
これだけのドラゴン……捌き切れるか……?
いや、やってみるしか無い!!
張り巡らせた結界に引っ掛かった赤竜の爪や体に対して【糸】で対処を繰り返す。
「【氷刃】!!」
その時、俺の背後からスキル名と氷の刃が三発放たれる。
氷の刃……オウロさんか!
でもごめん。オウロさん、それ【糸】と相性悪いから辞めて!!
「ギャオオオオオ!!」
「くっ……! 捕縛!!」
急接近してきた一体の赤竜を即座に【糸】で捕縛する。
「ガヴッ……グウウウウ……!!」
「ゴオオ……オギャアアン……!!」
他二体の赤竜はその捕らわれた仲間を助けようと【糸】に噛み付く。
「やばい……オウロさん、千切られそうです!」
「あれはどうですか? 軟度が高くなるあれ!」
「もうやってます……!」
「そうですか……糸を更に出すのは如何でしょうか?」
「それだ!!」
今度は軟度ではなく、粘度が高い糸で…ぐるぐる巻きに!
「ギャウ…………オオオオオオ!!」
【糸】でぐるぐる巻きになった赤竜は最後の抵抗か、炎を吐き糸を溶かそうとする。
【糸】はもちろん、ただの糸のため、炎により燃えていく。
「お坊ちゃま、後どのくらいですか!」
「残り四十%だ!」
「わかりました! 全力でお守りします!」
「ギャオン!!」
一体の赤竜が俺へと突撃する。だが、その間にオウロが現れた。
「このオウロ、火力ではルミナ様やお坊ちゃまには負けますが、スピードなら!!」
オウロは『ラベース』を使い、赤竜の周りをぐるぐると回り、翻弄。そこに凍った蹴りを何度か打ち込んだ。
「この通り」
オウロ……強いぞ! このジジイ!!
亀の甲より年の功って事ね……!
「あっ……! ルミナ様! 危ない!」
オウロに言われた時には既に遅し、あと一体の赤竜が俺の背後を取っていて、その爪が俺へと振り下ろされていた。
「えっ?」
「ルミナーーーーーーーーーーッ!!!!」
やべっ……余所見してた。
なんだ、何の攻撃だ?
わからない……あー、もうゲームオーバーか。
二度目の人生……思ったよりも短かったな……
「6th.『アンニア=ファウスティナ』! 5th.『アンニア=コルニフィキア』! 2nd.『ルキッラ』!!」
誰だ……? 少女の声……? 幼い女性の声だ。
「【流山火花(スキンティッラ=ルキッラ)】!!」
「なっ……」
あんなに硬かった赤竜の爪を一発で……?
それに……なんだ?あの武器……シャベルじゃないか。しかも矛先が燃えている……?
「ギャオ!! グオオオオ!!!」
「5th.『アンニア=コルニフィキア』、8th.『ドミティア』!!」
「【神痛電撃(フルメン=ドミティア)】!!」
……なんだ? あのシャベル、刃先の素材がコロコロと変わっていく…
変な……多機能シャベル……?
変な武器だな……いや、俺が言えたことじゃねぇや。
「凄い……赤竜をワンパン……」
赤竜を叩き潰したのは幼く小柄な女性で、頭だけに甲冑をつけており、青いオーバーオールに黒いサラシを胸に巻いており、赤髪を短いツインテールで纏めていた。
その右手は潰れた赤竜に刺した多機能シャベルを杖代わりにしていた。
「よぉ! 俺はマナ! で……お前らは……って、聞くまでも無さそうだ」
「世界最強とその家来……みたいな感じか?」




