第18奉仕 ミノとの決着をつけました
俺はその言葉を発すると、周囲に糸が現れ始め、それをトランポリンのようにして、俺はミノの周りを跳ね出す。
「なっ……速い……!? 跳ねすぎよ! ちょっと!」
お前の周囲10mはもう俺の領域だ!!
「ちょっ……ええ!? 何処から拘束が!?」
ミノは瞬き一つの間に、【糸】で両手と胴体を拘束され宙に浮く。
ふんッ!! 慌てふためくお前の姿、笑いもんだぜ。
「さて、お仕置きの時間です」
「くそ……こんな糸、すぐに解いて……!!」
「無駄ですよ。その糸は非常に靭性が高い翡翠の糸でございます」
「今『参った』と降参するのをオススメします」
「何を……『打撃』!」
飛び出してきた肉球は、特に意味も見いだせず自然的に消滅する。
「あなたがどんな行動をしても、ぐるぐる巻きにしてしまえば問題無いですねぇ」
「さ、お仕置きの準備を」
「なっ……何をするつもり……?」
「お尻ペンペンでございます」
「……はぁ?」
「ふざけてるの?」
「本気と書いてマジと読みます」
「………………」
「さぁ! 痴態を晒したくないなら降参なさい!!」
「ふん!! 来なさいよ!! あなたが叩こうとした瞬間、私は『打撃』で叩くわ!!」
「では……行きますよ」
「……ッ……糸!?」
「んグッ!?」
ミノのうるさい口を【糸】で塞ぎ──
「はい、せーの!!」
パァン!!
──俺が叩くタイミングをずらす。
「んん!!」
よし!『イクトゥス』の発動タイミングをずらせた!
「うべ……ちょ、ちょっと……辞めなさい!!」
「降参をしてみては?」
「……『打撃』!!【炸裂】!!」
肉球は再び飛び出してくるが、今度は炸裂して消える。
「そんな無駄打ちしても、状況は変わりませんよ?」
「お前クソムカつく!!」
「なんとでも言ってください。二発目、行きますよ!」
「【回転する打撃】!」
だから何度攻撃しても無駄だって言ってんだろ!!
お前はもう降参するか気絶するか、その二択しかねえよ!!
「【目標】!!」
なんだ……?聞いたこと無い技だが……
俺の頭にウィークポイントと取れる、何か印のような物が浮かび上がる。
だからなんだ。お仕置きはまだまだ続ける。
「甘い!!」
なっ……回転したのか……?
ミノは拘束されている中、スキルで回転して俺の頭に表示されたウィークポイントを蹴り飛ばす。
「……まさか反撃を決められるとは……」
蹴り飛ばされた俺は、頭から血が出ているのを確認し、立ち上がる。
クソ!! くらくらする……
「【空破】!」
糸が破られただと!?
あれ、内部攻撃か……? いや、ただの内部攻撃で破られる代物では無い!
じゃあ、内部攻撃+何かの飛び道具と考えた方が後々にも役立つ……!
「もう拘束の手は二度と喰らわないわよ!!お尻ペンペンなんて御免だわ!!」
「くっ……ふふ。意外とすぐにまた捕縛されたり」
「ほざくな!!」
お〜コワコワ。殺意MAXだよあの人。
ちょっと煽っただけでこれか。
「ふんっ!」
ミノはまたいつも通り俺の顔面目掛けて拳を構える。
そう何度も同じ手は喰らわねえよ!!その綺麗な顔面、【糸】で赤く染めてやる!!
一方俺は、【舞踏会】で【糸】を発生させ、下に引っ張られて、ミノの攻撃を回避する。
「そんなアクロバティックな避け方しても無駄よ!!」
なっ……! このスピードで追撃だと!?
糸で移動しないとまずい!!
即座に俺は、一か八かの【糸の矢】で右方向に十メートル程移動した。
「ちっ……ギリ避けられたか……でも、今度こそその顔面で爪を研ぐ!!」
「やってみなさ……は?」
加速速すぎるだろ……!! どうやって加速した……?
「ふんッ!!」
「やばっ……!」
加速したミノはそのまま、俺の左目に拳を叩き込む。
あぐっ……痛っ……クソ! クソ! 片目やられたろ…!
「……次は……なんだ? この糸……水?」
「水は切れない……なるほど、やるじゃない!!」
「…………」
レーザーなら動きも制限できるし沢山張ることができる。
さて、これじゃあ決め手に掛けるか……?いや、レーザーを飛ばすか。
「厄介な……!! でも間を潜れば問題ない!!」
「今度こそこれが通用する……!」
【蜘蛛の糸】……! だけど殺したらダメ、それなら……
寸止めだ!
「ふあ!? 前が封じられても、後ろが……!」
勿論、後ろに後退しようとする事は丸わかり。【舞踏会】で既に封じておいたのだ。
「もう封じてますよ。さぁ、降参をしてください」
「くっ……【空破】!!」
飛んでくる肉球!! 水は破れないか! だが…飛んでくる!!
今際の際の悪足掻きか…!
軟度MAXの糸で…弾く!
「…掛かったわね!! バカが!!」
「は?」
糸をすり抜けて来た……?! やべえ!!
「グボッ……ゲホッゲホッ……」
内部攻撃……ただの内部攻撃かよ……!!
気持ちわりい……内蔵が痛い……
「ハァ……ハァ……終わりだ! ミノ!!」
「私は攻撃を止めないわよ!! さぁ! 降参しなさい!!」
「……【糸】!」
水の糸は、ミノの右手の甲を貫き、レーザーとして点在する。
「ぐっ……なんの! 【空破】!!」
「……チッ」
【糸】で肉体を動かせ! 負けちまうぞ! 俺!!
大蛇の時同様に、俺は【糸】で補強した体をどうにかして動かす。
「……まだ動けたの? でもまだまだ行くわよ!!」
「クソ……棒立ちで打撃を放ってくるな!!」
「うるさい!!」
まだ糸はあいつの右手の甲に刺さっているな……ちょっと痛いだろうけど……許せ!
「あっ……! 引っ張るな!!」
クソ! 敏感だ……! 力が掛かったことに丁度良く感知して引っ張りやがった!!
あっちが力を掛けてもこっちも力を掛けるのみ!!
右手の甲を貫通していたレーザーは更に右手をズタボロに切り裂いて進む。
「ぐぅ……腕が……!! 痛い!!」
「降参をしろ!しないならもっと痛くなるぞ!!」
「ッ……ミウ様、ごめん!!」
ほっ……降参してくれるか……
「ふんッ!!」
「なっ……何をしてるんだお前!!」
ミノはあろうことか、右腕を第二関節の部分で切り落とし、右腕を自由にした。
「痛い……けど、もうこの右腕は使えない。だから切断した」
「それともう一つ聞いたこと無い? 猫は液体って……」
ミノの体は会話途中からバキッ、ボキッと心配になるような鈍い音を鳴らしながら、全身の関節を外して糸の拘束を抜け出す。
き……キモ!! 全身の関節を外して糸の合間を縫って出てきやがった!!
覚悟の決まり方がおかしい……! 涙目になって恥を晒してまで勝ちたいか!?
「一ついいか?」
「何よ」
ミノはあまりの痛さに両目に涙を貯めながら、一つ一つの関節を丁寧に元へ戻していく。
「どうしてそこまで勝ちたい?」
「そんなの……ミウ様の名誉を守りたいから……!」
「そうか。お疲れ」
「え?」
その瞬間、ミノの片足が【糸】によって持ち上げられ、ミノの体は宙に浮く。
「わっきゃあ!!」
「すまん、お前が理由を話している間に片足を糸で縛らせて貰った」
「なっ……そんなの卑怯よ! ズルい!! 早く降ろしなさい!!」
「良いよ。だが、負けを認めろ! ミノ!!」
「負けは認めないわ!!」
「交渉決裂だな……ほら、お前が早く降参しないと、お前の痴態が皆の目にどんどん深く刻まれるぞ」
「くっ……私の負け! 負けよ!! お願い降ろして!!」
「交渉成立……まいどあり」
は〜……なんとか勝てた……
怖い相手だった……身体能力高いし五感も良いし。
「第一試合、終了!! ミノ・ラインの降参により、勝者、ルミナ・クラリス!!」




