表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/42

第15奉仕 夫婦喧嘩を終わらせました

「ルミナ、乗れ」


「わかりました」


「よォし!! 帰るぞォ!!」


 恐らく、ここから三十分程度でレムス家に着くのだろう。

 それまで暇だな……


「ルミナ、先程この馬車の中ではうなされていたな。どんな夢なのだ?」


「プライベートな夢ですので、秘匿させて貰います。」


「そうか……」


「…………」


「…………」


 会話が発生しない。

 まぁ、妥当だろうな。会って間もないし、お互いの好きな事も知らない。

 そんなもんだろう。人間関係なんて。


「……なぁ、ルミナ」


「なんですか?」


「ヤらないか?」


「その玉潰しますよ。去勢した方が良いんじゃないですか?」


 コミュニケーション方法『ヤる』しか無いのか?

 悲しいかな……ヤってばっかりやってるとこんなチンパンになっちまう。


 …………

 本当に暇だな。今は寝たくないし……

 モンスターでも狩るか。ここらに出てくるのは雑魚ばかりだろ。


「いきなり立って、どうした?ルミナ」


「……」


 俺はそこで、武器を忘れた事に気がついた。

 護衛用の専属メイドなのに、武器を忘れてしまっては本末転倒じゃないか。

 しょうがない、【糸】で倒すことにしよう。


 狙いはあの弱そうな緑スライムだ。


「ふっ」


 俺の【糸】は見事に緑スライムの弱点を貫いた。


 次は、突然破裂した緑スライムに怪しんで、死体に近づいたゴブリンに狙いを定める。


「んっ……」


 俺の【糸】は刃の様に鋭くなり、簡単にゴブリンの首を刎ねた。


「ちょちょちょ、何をしているんだルミナ」


「何って……モンスター狩りですけど」


「そんな事をしたらギルドに怒られてしまうじゃないか!!」


「そうなんですか? じゃあ辞めます」


「あ、あぁ……そうしてくれ」


 ……おかしいな、リノルと特訓をしていた時は幾らでも倒し放題だったのに……

 リノルが何らかのコネでも使ってたのか?


「あ、旦那様、そろそろ着きますよ」


「そ、そうか……」


 クオンはどうやら緊張した様子だ。まあ、離婚か存続かを掛けた一世一代の仲直りだからな。


「ほら、奥様がもうすぐそこに居ますよ」


 もしかしてあの人、俺らが本を買いに行っている間ずっと外で待ってたのか……?

 なんと言う精神の持ち主なんだ……


「おお……ミウ!!」


「…………」


「悪かった!! すまん!!」

「お詫びと言ってはなんだが、料理本を買ってきたのだ!!」


「ッ……!」

「…………ありがとう」

「でも、できれば物に頼らないで欲しかったな」


「そ、そう……なのか?」


 …………乙女心分かんねー。


「ありがとう!! ルミナ!! お前のお陰で仲直りする事ができた!!」


 元気に振り返るクオンに、俺は謙遜する。


「いえ、私のお陰じゃありません」

「あまり浮気しない様にしてくださいね」


「あぁ!! 勿論だ!!」

「ミウ!! 二人目を作ろう!!」


「なっ……『追撃(イクトゥス・コンティヌイ)』!!!」


 わぁ…………

 ミウさんすっごいビンタ強い。


「旦那様、奥様は真っ赤になって館に戻っていきましたよ」

「少々言葉遣いを改める事を推奨します」


「あ、あぁ……そうする……」


 それにしても、今日は大蛇狩りに仲直りの仲裁に、本当に疲れた。

 そろそろ休んでも良いよなぁ。この世界夜が無いからどのくらい起きてるのかとか感覚的に分かりづらいんだよな。

 腕時計なんて無いし。


「あ〜……クオン様、私の部屋は何処でしょうか」


「ん?あぁ、住み込みの契約だったか」

「三階の165室を使え」


「承知致しました」


 俺は中央階段を使い、三階へと登っていく。


 そう言えば俺の持ってきた荷物は何処に行ったんだ?

 メイドとかがもう自室に持っててくれてるのだろうか。

 どれ、行ってみよう。どんな部屋かな〜っと。

 165……こっちか。


 日差しが良く差し込むいい部屋で、小さなタンスと勉強用机の上には多肉植物が置かれていた。


「おお……日光が射している……ちょっと小さいけど、こんなもんか」


 いい部屋じゃないか……そして、俺の荷物がちゃんとある。誰が届けてくれたんだろ。

 さて、お隣さん居るかな……

 リノルに持たされたあれを配るか。

 リノル特性団子。


 …………死人が出るぞ。


 よし、止めておこう。

 う〜ん、でもご近所さん付き合いは大事だよなぁ。

 どうした物か……


「……あ、トルマがくれたお菓子がある」


 あいつ、妻の飯の不味さをちゃんとわかってるのか。

 ここはありがたく、それを配ってしまおう。


 まずは166号室からだ。

 ノックを三回し、中からメイドが出てくるのを待つ。

「すみませーん」


「何……誰?」

 戸を開けたのはとても可愛い猫のメイドであった。

 髪は薄桃色のロングヘアで、サラサラだ。メイド服にはピンク色の肉球が刺繍されている。

 下はというと、ガーターベルトでその美脚を覆い魅力を底上げしていた。

 身長も胸も俺よりも圧倒的に小さく、身長差なんて耳を含めないで十センチほどあるだろう。


 異世界名物獣人!!この世界にもやはり居るのか……!!

 これは夢が広がるなぁ〜!!

 にしてもこの子……何処もかしこもちっちゃいな。

 まぁ、それが萌えポイントではあるんですけどね。デュフフ。


「…………何?」


 薄桃色の獣人はギロリとした視線を俺へと向ける。


 あっ、やべやべ。獣人に夢中になりすぎて目的を忘れるところだった。


「こんにちは。私は今日からこの館で働くレオン様の専属メイドのルミナ・クラリスでございます」


「はぁ……あ! ミウ様が呟いてたのはあんたの事だったのね!!」


 呟いてた……? 何故ミウが?

 う〜ん……レオンに心配事でもあるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ