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第13奉仕 夢を見ました

「…………奥様、真っ赤になって何処かに行ってしまわれましたよ? まぁ旦那様は頬が真っ赤に染まってますが」

「……まずは立ち上がったらどうですか?旦那様」


「う……うう……どういう事だミウ……俺に呆れて居たんじゃないのか……?」


 クオンは状況とミウの態度に困惑したのか、その場で泣き崩れてしまった。


「………………」

「泣くぐらいなら!! 立て!! 節操無し!!」


「うっ……痛い!! 蹴らないでくれ!!」


「どうするんですか? 旦那様。このまま行けば離婚とかですよ?」

「元々の時点で危うかったと思いますし、この一件でお二方の亀裂は裂罅になりました」

「別れたくないのなら謝りに行くのが身のためですよ」


「そうだよな……でもどう謝れば良いのかわからん……!!」


「はぁ…………」


 シンプルに『ごめんなさい』でいいだろ。

 だが……目の前の筋肉バカは、もっと重要な事に捉えていそうだ。


「早く立ってください。謝りに行きますよ」


 だが、『ごめんなさい』の一言で許してくれるかと言われれば、確かに許してはくれないだろう。

 他にも誓い的な言葉が必要そうだ。


「…………奥様の居場所がわかる物とか無いんですか?」


「……ない」


「はぁ……」

「奥様は料理が好きと仰っておりました。料理本を用意して謝罪と同時にプレゼントしてみては?」


「そうだな!! そうしよう!!」

「だが、男の俺には女が好むような料理本はわからん……」

「ルニナ!付いてきてくれないか!!」


「…………ルミナです。旦那様、何回名前を間違えるんですか?そろそろ怒りますよ」


「済まない!! ルミナ、付いてきてくれ!!」


「はぁ……良いですよ。街に出ましょう」


 とは言っても、俺も男だから女子の好みなんてわからねぇんだよな……

 まぁいいや。なんか表紙がキャ〜ワウィ〜の選んどきゃ大丈夫だろ。


「では、行こう。俺は服を着てくる。」


「はい。外でお待ちしております。」


 俺は中央階段を通り、ゆっくりと階段を降りて外で待つ。

 辺りに移動手段の様なものは見当たらない。クオンのスキルが移動系なのだろうか?


「待たせたな。行くとしよう」


 少し遅れてきたクオンは、白い軍服の様な物を羽織っていて、ズボンもしっかり履いてきていた。

 だが、上半身露出スタイルは変わらずだった。


「…旦那様、移動方法はなんでしょうか」


「徒歩だ」


「えっ……と……モンスターに出会った時は……?」


「お前が護れ」


「私、お坊ちゃまのメイドなので帰りますね。一人で行ってください」


「あ〜分かった分かった! 馬車で行こう!! な?」


「はぁ……最初からそうしてください」

「それじゃあ、私は街に着くまで寝てますから。着いたら起こしてください」


「館の主を使う気か……まぁ分かった。今回だけはその不敬には目を瞑ってやろう……」


「ありがとうございます」


 この世界、常に昼だから目を瞑っても光が差し込んでくるんだよな……

 寝づらいったらありゃしない。


 俺は目を瞑り、羊を数える。


 羊が一匹……羊が二匹……三匹……四……


 意識が沈んでいく。




「悟ー、ご飯よー」


「…………」


「……ここに置いとくからねー」


 俺はババアの声を無視して、テレビゲームに集中する。

 ババアの作る飯はいつも不味くて、一口食うだけでもう限界。


 お、メイドが出てきた。うっひょ〜エロカワイイなぁ〜。

 あ〜あ、俺にもこんな彼女が居りゃ少しはマシな人生だったのにな。


「悟……ちょっと、話があるんだけど……」


「勝手にドア開けんじゃねぇ!! クソバ──」

「なっ……なんで包丁持って……」


「ママね、もう限界なの」

「もうこれ以上、悟を養う事はできないの!!」

「死ね!! 悟!!」


「──イナ。」

「ルミナ!!」

「起きろ、ルミナ!!」


「…………あっ……つ、着きましたか?」


「い、いや……着いちゃねぇが……」


「お前、凄い冷や汗掻いてるぞ……どうかしたか?」


「い、いえ……少し夢を見ていました」


「そうか……まぁ、怖い夢なんざ誰でも見る」

「あまり気にすんなよ!!」


「…………はい……ありがとうございます」


 あれは怖いなんてもんじゃない。

 トラウマだ……

 ヒステリックを起こした奴は何をするか分かんねぇからな。


「さて……ルミナ、どの様な店に行けば良いと思う?着くまでに話し合っておこう」


「どの様なって……シンプルに本屋では?」


「本屋って……どんな店だ……?」


「は? 本を売っている店ですけど」


「外装は?」


「お店側の自由です」


「そうか……中々見つけづらそうな店だな……」


「……もしかして、街に出たことが無いんですか?」


「あぁ、無いぞ? それがどうした?」


「…………そうですか。私もです」


「おう!! そうか!! クラリス家は厳しいからなァ〜」


「…………はい」


 行く機会はあったが、俺は家で寝ている方を選択した。

 だが、その眠るという娯楽も今、禁じかけられている。

 あのババアめ……


「ほら、着いたぞ。ルキナ」


「ルミナです。旦那様はいつ名前を覚えてくれるんですか?」


「ハッハッハ!! まぁ、そのうち覚えるさ」


「全く……ほら、本屋を探しに行きますよ」


「ああ!! 行くとしよう」

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