第10奉仕 レムス家に帰ってきました
うう……揺れてる……キモッ……
「う〜……ん……?」
俺が目覚めると、そこはいつもと何らかわりのない綺麗な青空であった。
「あ、お坊ちゃま、ルミナ様がお目覚めになられましたよ!!」
荷台に乗っているオウロと、運転をしているレオン。
「おはよう。お目覚めの感想は?」
「あ……えっと……私、死んだんじゃ……?」
「良かったな僕がいて」
「お坊ちゃまは解毒もこなせるのですね。流石です」
「それで、気分は?」
「手も足も簡単に動くし、いい気分です」
「そうか……リブラとスキルツリーを確認してみろ」
「わかりました」
リブラとスキルツリー……?また何故急に……?
いつものあの周囲が暗いスキルツリーの空間へと訪れる。
そこで、スキルツリーは一段と伸び木の葉が新たについているのを発見する。
赤い実を覗けば、リブラは当たり前に10に上がっている。それで、得たものが──
「【材質変化】……?」
鋼鉄の糸とか、燃えてる糸とか、夢が広がるなァ〜!!
…………燃えてる糸は材質じゃないか。
「はい。確認しました」
「そうか。ちゃんと開放できていたか?」
「はい」
「なら良かった」
レオンは俺が思っているも心優しき少年らしい。
「今は家に帰っている途中だ」
「ルミナ、折角だし料理してみろ」
「承知致しました」
料理は『アンキラ』のお陰で、失敗することは無い。それに、一応リノルからも料理を習っていた。
……リノルの料理の出来は本当に酷かったが、教えてくれた内容は確かに正しい様だった。
「ルミナのスキル……『従者』はどうなってるんだ?」
「はい? どうなってるとは?」
「どうして武器として糸を使うのにスキルも【糸】を選択しているんだ? と聞いているんだ」
「左様でございましたが……手数は多い方が良いと思ったのと、カモフラージュ……ブラフを張れると思ったからでございます」
嘘も方便だ。
本当は武器の扱いが難しくてこれで楽をできないかと選択をしたんだが……
すぐにスキルだとリノルにバレたから結局は無意味だった。
「お坊ちゃま、糸の使い方が分からないからって物に当たらないでくださいね」
「分かっている!!」
「オウロ、交代だ! お前が運転しろ!」
「承知致しました」
そう言えば確かに、荷台にはオウロが乗っていて、レオンが運転をしている。
「さて……ルミナ、お前の戦いっぷりは実に見事であった」
「僕の専属メイドであると認めよう」
「光栄でございます」
「だが、お前に仕事は無いと思え」
「お坊ちゃま……それはどう言う事でしょうか?」
「もしかして知らないのか?僕が世界最強だと言うことを」
「いいえ、知っていますが……」
「何故仕事がないと?」
「僕が最強だから、護衛の必要がないって事だ」
「僕の『吸収』はモンスターの特徴も吸収してスキルツリーに追加できるの。それでスライムとかドラゴンとか、まぁ色々使えるわけ」
「はぁ……」
「それさっきも言った通り見た固有スキルもスキルツリーに追加できるから実質無限の固有スキルを持つんだ」
「それは……お坊ちゃまの成長が楽しみですね」
「そう? でもこの固有スキルのお陰でお父様にもお母様にも子供として扱われなくてさ」
「……嬉しい事じゃないんですか?」
「…………ごめん、この話はちょっと、お前に話すべき事じゃなかった」
「そうですか。辛くなったらいつでも悩みを打ち明けてくださいね」
世界最強と、世界から持て囃された子供は、ちゃんとした一人の、まだ両親に甘えたい時期の少年なのであった。
「お任せください、お坊ちゃま」
「は?」
「お坊ちゃまの事はこの私めが命を賭してお守りします」
「膝枕でもしてあげましょうか?」
「はぁ!? 要らねぇよ!!」
レオンは赤く染まった顔をそっぽへと向けてしまった。
「お坊ちゃま、ご自宅に到着致しました」
「お坊ちゃまの治療を信用している訳では無いのですが……ルミナ様は念のため正式に治療を受け次第、調理場においでください」
「わかりました」
「それでは、お坊ちゃま。お仕舞いください」
「わかってるよ。『収容者』」
荷台はレオンがそのスキル名を放った瞬間に、瞬時に手の中に吸い込まれていった。
「オウロさん、治療を受けれる所と調理場は何処ですか?」
「あ、まだ教えていませんでしたね。では診察室へご案内します」
「はい」




