1話:友達が欲しい。
こんにちは、柴燈烈夏と申します。この度は、「ぼっちで最強な俺はハーレムをつくろうと決意したが…。」を読んで下さり、ありがとうございます。ブックマーク登録して下さった方々にも感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。これからも頑張って小説を更新していくつもりですのでよろしくお願いします。たまに忙しくて小説を更新できない時もあると思いますが、その時は気長に待っていただけるとありがたいです。よろしくおねがいします。
僕の名前は、一宮元春。
この四月から高校に通うことになった、高校一年生です。
なんか、僕女子からもてちゃうし、男子とも仲良しで友達とか100人以上で、今まで付き合った女子も30人以上います────
最初に言っておこう。
上の文章は、俺一宮元春の妄想である。
実際の俺は、友達いないし、お弁当もいつもひとりで食べてるし、彼女とかいないし、それ以前に女子と話したことがないのである。
こんな人気のない俺。
実を言うと、高校に入学する前すごくワクワクしていたのだ。
なぜかというと、俺は世界最強10人組十傑のメンバーであるから、自分も強くなりたいなどの理由で近づいてくる輩は必ず1人や2人来るだろうと楽しみにしていたのだが、俺は入学してから一ヶ月経った今なお、誰からも話しかけられたことがない。
こんなの可笑しいと思わないか?!
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四月八日
「ルンルンルル〜、友達友達っ。友達、100人とかなったらどうスっかな〜。…で、もてまくりなんだよ。休み時間になると女子たちが俺に会いに、わんさか来たり〜。ふふふふふっ。あっはははははははははははははははは!!!!」
朝からテンションが異様なほど高かった俺。
その場に居合わせた俺と同い年の学生の心境はというと。
「おいっ、あれって確か、8歳で世界最強の10人組十傑のメンバー入りした一宮元春じゃないか?まさか、あんなに関わりたくないやつだとは思わなかったぞ!」
「ああ。俺もだ。」
「ねえ、なんかあの人目つきが犯罪者じゃない?」
「確かに!なんか、殺ったんじゃない?」
「待って、あの人見たことあるわ。えっと、確かー…そう!8歳の時に十傑に入った天才よ!」
「ウソ!あれが?!」
「コラ!そんな言い方したら、あの人に殺されるわよ!」
散々な言い草だが、当の本人である俺は────
(ん?なんか、みんなが俺に注目してる。やだなー、俺そんなにみんなと纏ってる空気違うかな。せっかく新入生代表挨拶で俺のお披露目会をやろうと思ってたのに。もう、みんなに俺のことバレちゃったよ。挨拶どうしようかな…。)
などと呑気なことを考えていたのだ。
すると突然────
「きゃあああっ!敵よ!誰か、助けてぇ!」
「うわああ、助けてくれえ!」
「いやああっ!」
俺は、素早く敵を倒す。
そして────
「ご無事ですか?」
「はっ、はい(照)」
なんてことも無く、
誰にも話しかけられることなく、
何もハプニングなど無く、
平和な初めての高校通学を終えた俺は何故かすごくショックを受けた────いや、何故かというのは語弊があったようだ。
実をいうと俺は、誰にも話しかけられないことをすごく気にしていたのだ。
そして、俺は分かった。
きっとみんな俺と何を話せばいいのかわかっていないんだ、それならば何かきっかけがあればいいのだが…。
何か、ないかね。
例えば、さっきの妄想の続きのように────
「あっ、あのよろしければお友達になって頂けませんか?」
「ずるいぞ!俺も、一宮くんと友達になりたいと思ってたのに!」
「大丈夫、俺もみんなと友達になりたいと思ってるから。」
「「一宮くん…。」」
「なーんてな。あっはははははははははははははははは!!!!」
いきなり笑い出す俺を見て、みんなはドン引きして立ち去って行った。
みんなは、今体育の評価中ですか?
と聞きたくなるくらいダッシュだった。
ひとり取り残された感じの俺は、寂しくひとりで通学路を歩いたのだ。
(なんか、俺避けられてる?)
ようやく自分が避けられてることを自覚した俺は、残りの通学路を歩いてる間ずっと、新入生代表挨拶で挽回しようと考える。
そして、学校に着くと真っ直ぐ職員室に向かう。
すると、担任の先生らしき人物と教頭先生の様なはげたおっさんに別の部屋にこれから行くと言われ、付いてきてくれも言われ、俺はただ頷いて彼らについて行った。
つれてこられたのはVIP会議室のようなだだっ広い部屋でソファーもしっかりある場所だった。
まあ、その部屋に入る前にここがどんな場所か、何をするための部屋か確認するためにドアの上を見といた。
そこには、校長室と書かれていたので、
俺はこの学校校長に対してだけはすごくいい場所だなーと先生にバレたら怒られそうなことを思っていた。
幸い、そんな事を口に出す俺ではないので怒られるとか気にはしていない。
校長室に入ると、校長らしき若い?!女が立ち上がり、俺にハグを要求する仕草をしてきた。
「やあ、君があの一宮元春君だね。ようこそ、この空浪学園に来てくれた。君を歓迎するよ、すごくね。」
「はあ…ありがとうございます。」
棒読みだったが、社交辞令としてお礼を言った。
「私の名前は、佐倉紫翠という。この空浪学園の校長をしている者だ。よろしく。」
そう言って、手を差し伸べてくる、佐倉紫翠校長。
「…一宮元春です。こちらこそよろしくお願いします。」
校長の手を握った俺に、校長は微笑んで言う。
「ハハッ、敬語じゃなくてもいいのだがな。君と私の立場は、君の方が上だ。だから、私が君に敬意をはらい、敬語を使わねばならないんだが…。」
そんなふうに校長は俺に、嫌味のような感じで言ってくる。俺は、それに笑顔でこう言った。
「いえ、佐倉紫翠校長殿、私はこの学校では、あなたよりも立場が下だ。なぜなら、貴方は校長。私は、ただの首席の学生だ。だから、ここでは私が十傑のメンバーであるなどという事は関係ないはずです。なので、校長殿は私に敬意などはらわなくてもいいのですよ。この学校の中では、ね。」
意味深に笑ってやった。
校長の嫌味に対するちょっとした対抗心のようなものだ。
校長は、俺の意図が分かったのか、フッと鼻で笑う。
「ああ。そうだな。この学校の中では、私が一番偉い。だから、この学校の外では、私は君に敬意をはらうこととするよ。一宮元春君。」
「そうですね。俺も、この学校の中では、校長殿に敬意をはらいますよ。では、そろそろ失礼してもよろしいですか?」
俺は、一刻も早くこの敬語を使わないといけない空間から抜け出したかった。
なぜなら、俺はいつも俺よりも上の立場の人がいないため、敬語を使ったことがない。
だから、変な敬語を使わないうちに早くこの空間から出たいのだ。
しかし、校長はそんな俺の勝手な都合など分かるわけもなく、俺に待ったをかける。
「待ちたまえ。」
「何でしょうか。」
だんだん敬語を使うことにいらだちを覚えてきた俺は、不機嫌な声音になってしまう。
だが、今の俺はそんなことを気にしてられるほど、精神に余裕はない。
校長は、俺の声音の変化に気づいたのか、微笑む。
「まだ、君に今日の新入生代表挨拶で言う事を書いた紙を渡していない。」
「大丈夫ですよ。そんな紙無くても私は、いえますよ。」
「ハハッ、それは頼もしい。ちょっと練習代わりに今、私の前で言ってみてはくれないか?」
「はあ?!いや……大丈夫ですよ。それに本番での楽しみが無くなるでしょう。」
一瞬、はあ?!嫌だし、なんで俺がお前に言わなきゃなんねーんだよとついつい本音が出てしまうところだったが、何とかそこは我慢出来るほどの精神があったようだ。
「ハハッ、それもそうだな。本番を楽しみにしているよ。」
校長がそう言い、ようやく俺は、退出する事を許された。やれやれだ。
「失礼しました。」
そう言って、俺は校長室を後にする。
俺が、校長室の近くにいないことが分かった校長は、教頭らしき人物へ話しかける。
「…全く、世界最強の10人組十傑の6番の席に入ってるからどんな奴かと思って見ていれば、まだまだ精神的にも子供じゃないか。そう思いませんか?教頭先生…。」
「ハハッ、確かにそうですね。彼は、まだまだだ。だから、成長するのが楽しみですね、校長先生。」
当の本人の知らないところで一宮元春は、校長、教頭先生が子供扱いされていたのである。
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入学式
(よしっ、次は俺の新入生代表挨拶だ!頑張らないとだな!)
「新入生代表挨拶、一宮元春。」
俺の名前が呼ばれ、俺は元気よく返事をし、キビキビと階段を上る。
「はい。」
そして、壇上に上がると、俺は胸ポケットから紙を取り出し、白紙の紙を広げ、それを読んでいるかのようにすらすらと新入生代表挨拶を読む。
「桜の舞う季節、私達第37期は空浪学園に入学しました。
私は、中学一年生の頃から空浪学園に通いたいと思っていました。
そして、私は空浪学園に入学するという目標を達成しました。
なので、これからの私の新しい目標は、まず空浪学園で勉学に励み、首席を維持し、次に友人をたくさん作り、三つ目に部活に精を出し、最後に悪には絶対に屈しないという目標…
いや、私自身の意志をここに掲げます。
第37期新入生代表一宮元春。」
俺は、全てを出し尽くしたため、壇上にから降りる時にニヤニヤが止まらなかった。
それを目撃したみんなの心境はというと。
(ヤベー、悪には絶対に屈しないとか言っときながら、自分が悪になっちゃってんじゃねーか。)
(やっぱり、一宮元春は、怖い人なんだ。)
(絶対一宮元春とは関わりたくない。)
俺は、目つきが悪いせいで昔から勘違いされていた。
例えば…
あれは、6歳の頃────
ガッシャーン
何かが壊れる音がしたと思い、見に行くと一人のメイドが割れた花瓶を片手に持っていた。
「どうしたの?」
俺が、尋ねるとそのメイドは土下座して俺に詫びる。
「申し訳ありません。元春坊ちゃまのお気に召していた花瓶を割ってしまいました、本当に申し訳ありません。どうか、クビにはなさらないで下さい!」
あまりにも、必死に謝るメイドを見て俺は、可愛そうだと思ったし、それに俺はその割れた花瓶がお気に入りだったわけでもないので許すと言ったのだが…
「大丈夫だよ。僕は、気にしていない。」
「はっ!!本当に申し訳ありません、本当に申し訳ありません、申し訳ありません、申し訳ありません!」
そんな感じで何回も何回も謝られた。
一時間以上謝られていて、花瓶を割ったことにこんなに謝るなら、謝罪で一時間以上使ったことに対して、謝って欲しかった。
この話で、何を言いたいのかというと、俺は怒っていないのに目つきが悪いせいで、怒っていると勘違いされたということを伝えたいのだ。俺は、あの時若干泣きたくなった。
ええーとっ、話を元に戻すぞ。
俺は、壇上から下り、自分の席に座った瞬間、隣の人達がビクッと肩を震わしたのだ。
それに気づいた俺の心境は、というと。
(フッ、やれやれ。新入生代表挨拶をしてる時の俺ってそんなにかっこよかったのかな…、男も惚れるほどに。)
もちろん隣の席の人達は、そんな事など考えている訳などなく────
(どっ、どうしよう。一番関わりたくない人が隣だよ!)
(ヤベー、コエー。どうか、一生話しかけられませんように!)
俺の妄想とは違い、現実は辛く、悲しいことばかりだ。俺は、何もしていないのに…。
そして、入学式が無事に終わり、自分の教室まで案内された俺達は、担任の先生に自己紹介をするように言われた。
「このクラスの担任の小森紗世です。よろしく。皆さんのクラスは、特別優秀な人材の揃ったクラスSSクラスです。来年もこのクラスに残れるように頑張ってくださいね。じゃあ、自己紹介をしてね。」
サラリと恐ろしいことを最初に言っていた気もするが。
それは、置いとくか。自己紹介についてだが、俺には自分の自己紹介を考える時間などないようなものだった。
なぜなら、俺の名前は一宮元春。
イから始まる苗字だからだ。
順番は二番目に回ってきた。
考える時間のなかった俺は、普通に良くある自己紹介をする。
入学式の時に新入生代表挨拶をしたから大丈夫だと思ったしな。
「一宮元春です。好きな食べ物は、オムライスとかです。趣味は、強い人と戦うことです。よろしくお願いします。」
俺は、好きな食べ物がオムライスという点で皆にギャップをもたせられたと思った。
しかし、皆は好きな食べ物がオムライスということよりも趣味が強い人と戦うことの方が印象に残ったようだ。
(どどどーすんだよ!体育絶対、血の海になるぞ!)
(やだ。死にたくないよ。)
(一宮元春とクラス変えて欲しい!)
(怖い。怖い。一宮元春君、どうしてこの学校に来たのよ!)
俺の事を皆はこの時はまだ勘違いしていたようだ────
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現在、五月十日
「はあ〜、友達欲しいーな。なんで、一ヶ月経った今の今まで誰も俺に話しかけてこねーんだよ!全部、全部、何やっても首席の俺に頼ってこねーで、2番目やそれ以下の奴らに頼ってる訳?!意味分からーん!」
屋上で俺は、叫んだ。
今は、昼休みでご飯を食べたり、昼寝したりする時間だ…俺にとっては、な。
だが、皆は友達がいて、友達と会話したり、運動場で互いの能力を高めあったりしている。
部活が一緒の奴らとつるんで、自分の能力を高めている奴もいる。
俺は、部活に入るとかそれっぽい感じのことを入学式の新入生代表挨拶で言ったにも関わらず、まだどこの部活にも所属していない。
いや、所属できなかったんだ!
なぜなら、部活見学をさせてもらえず、先輩達には君の能力はもう十分ありすぎてこの部活で学ぶことなんて1個も無いよ、的なことを言われた気がする。
とにかく、俺はこの学園の奴らに避けられている。
毎日帰り道は、1人で寂しく泣きながら帰ってるんだ。
そして、最近はあまりにも虚しすぎて迎えをよんでいる。
そんなある日、俺の前に変なちっさい小動物みたいな奴が現れた。
どんな奴かというと、ズバズバ言ってくるやつだ。
「どもっ、今日から貴方の護衛を務めさせていただきます、佐倉花菜と申します。よろしくおねがいします。」
右目に眼帯をし、後ろ髪を1本の三つ編みにしていて、大きなタレ目で目の色は淡い緑色の少女は俺に笑顔で言ってきた。
いきなり男子トイレの入り口のところで言われた俺は、たいへん驚いた…どころの話じゃなかった。
「ちょっ、ちょっと?!なんで?!なんで、今なの?、しかもいきなり過ぎるし、意味わかんないし、なんで君みたいな女子なの?!そもそも、君のいうこと信用出来んの?!%fvsafvh#fsfb~%:hds#・*vn(s%*;.d…。」
「アハハ〜、最後らへんなんて言ってんのか、分かんないし、無駄に声大きいし、そんなんだから友達ひとりもできないんですよ。まあ、あなたの見た目が怖いってのもあると、思いますけど。」
「はあ?!おっ、俺友達百人いるし?」
「は?あなたみたいな人に、友達出来る分けないじゃないですか。それに、現にこうしてトイレに一人で来てるじゃないですか?普通は、友達と一緒に固まって来るもんでしょ?」
俺は、何も言い返せなくなり、その場に体育座りをし、埋まりながら、半泣きで言った。
「友達が一人でもいいので、欲しいです!」
「全く、しょーがない人ですね。私が友達になってやりますよ。」
「え?ヤダ。」
「はあ?!」
佐倉の目に影がさし、佐倉の周りが殺気で満ちる。
俺の額から冷や汗が流れ落ちる。
佐倉は、心に余裕のない俺を追い詰めるように────
「じゃあ、もう一生あなたに友達なんて出来ませんね。」
ゲスい笑みを浮かべながら、佐倉は悪魔のように言ったのだ。
「いっ、嫌です。お願いします。俺とお友達になってください。」
俺は、土下座して頼んだ。
佐倉が放っていた殺気は無くなり、笑顔で言う。
「はい、喜んで。」
俺は、調子に乗ってしまい────
「ふん、俺がお前の友達になってやる事に感謝すんだな?」
「やっぱ、友達解消でお願いします。主人とボディガードの関係のままでいましょう。」
「えええええ?!スっ、すみません!すみませんんんん!謝るから、俺と友達になってください!」
「嫌です。」
俺の友達百人いるという妄想が、現実になる日まで相当長いことだろう。もしくは、もう一生来ないのではないかと────
「やっ止めてくれえええええ!友達が、本当に欲しいーーーーでーーーす!」
1話を最後まで書いておらず申し訳ありませんでした。二話以降もこんな感じですが、よろしくお願いします。1話はこれで終わりです。二話以降も読んで下さるとありがたいです。よろしくおねがいします。