序章:十傑 VS 8歳の子供
「はあ?!8歳で十傑の7席になる?!バッカじゃねえのか、オマエ!」
荒々しい雄叫びのような声を発したのは、第8席の郷龍蜂であった。郷龍蜂は、身長230cm程でガタイが良く、獅子の様な男だ。
「そーですね。子供にこんな大変な仕事が出来ると思いませんし、それにその子供は我々が信用出来る強さを持っているのですか?」
大人びたよく通る声で意見したのは、第6席のレイ。レイは、スラリと細く、肌は白い、身長は174cm程だ。
「………。」
無言で頷く、第10席ガン・フゥー。
「確かに、心配だけど。でも、能力があれば問題ないよ、歳とかね。」
不敵に笑うのは、第3席藤堂嶺太郎。
他にも、十傑メンバーは居たのだが…。
嶺太郎が言葉を発し終わったのと同時に(まるで、機会を伺っていたかのように)ドアが開き、一人の少年が部屋に入ってきた。
その瞬間、空気がピリッと殺気に包まれる。
少年は、たじろぎもせず普通に歩き席に着く────と、少年の右隣の席から急に刃物が飛んでくる。
少年は、それを人差し指と中指の2本で挟み、取ったかと思うと同時に飛んできた方向に倍の速度で投げ返した。
それを隣の席の人物は避け、刃物は遂に第3席の藤堂嶺太郎の所まで来たが、藤堂はそれを素早くキャッチする。
そして、ニコニコしながら言った。
「まあ、合格なんじゃないの?」
9人中7人は頷いたが、第8席郷龍蜂と第6席レイは納得していないようだった。
「納得出来んわ!」
「私もです。」
7人は、やれやれと首を振りながら子供の方を見る。
子供は、笑っていた。戦いたい、戦ってもいいなら早く戦わしてくれという目だ。
そして、納得しない者は少年と戦うことになった。
「では、勝敗の決定の仕方ですが、相手を気絶させるか、相手の息の根を止めた方の勝ちとします。死んでも恨まないようにして下さいね。注意とかはめんどいのでナシで。ではまず、最初の対戦カードは…」
第8席郷龍蜂VS第7席予定一宮元春
「レディー、ファイっ!」
元気な第5席ユンが開始の合図を言ったと同時に、郷龍蜂は一宮目がけて拳を振り上げながら駆けてくる。
しかしその速さは、秒速0.5/㌔であった。普通の人間だったのなら、郷龍蜂が見えずに郷龍蜂に殺られるとこなのだが、あいにく一宮は普通の人間ではなかったのだ。身体を少しずらし、足を引きながらもう片方の足を上げ、郷龍蜂の顔めがけて思いっきり振った。
一宮の足は、見事に郷龍蜂の顔にヒットする。
それでも、郷龍蜂は頑丈だったのか、ダメージをくらったと思えないほど、一宮に攻撃を何度も仕掛けてくる。
だが、一宮は遊んでいるのかそれを軽々避けていく。
だんだんいらだちを覚えてきた郷龍蜂は、本気で戦おうと剣を何も無い空間から出現させる。
その剣は、幅85cm、長さは170cm程だ。
重さは剣が床についた瞬間、床にヒビが入るほどの重さだ。
相当重いのだろうが、郷龍蜂はその重さを感じさせない俊敏な動きを見せる。
一宮の頬が緩んでしまう。戦いを楽しむ獣の如き────。
遂に、一宮も自分の剣を出現させた。その剣は、スラリと長く、透明で美しかった。
その場にいた一宮以外の全員が息を呑むほどにその剣に見とれてしまう。
それは、郷龍蜂も含まれていて、隙が生じる。その一瞬を見逃さずに一宮は郷龍蜂が死なない程度に切る。
郷龍蜂は気絶し、倒れた。
勝敗は1分も経たずに決まってしまう。
それに目を見開く、十傑のメンバー。
だが、皆一宮と戦いという気持ちですぐにいっぱいになった。
「つっ、次は私ともお願いします。」
勝敗は郷龍蜂の時よりも遅くついたが、かかった時間は1分30秒とあまり変わらなかった。
そして、第6席に勝った一宮はそのまま第6席になり、レイが第7席となった。
一宮は、戦いが終わるとつまらなさそうにずっと大人しく会議が終わるまで椅子に座っているのであった。




