2話:最悪な五月二十二日
五月二十二日────
その日は俺も忘れたいくらい最悪な日であった。
時は、朝の6時に戻そう。
その日の朝は、特別であった。
「おいっ、おーきーろー。」
俺は、寝起きで焦点が一致しない目を擦りながら、声のする方を見る。
声のする方は、俺のお腹の上だった。
「?!?!?!」
そう、俺の上に女の子が乗っていたのだ。
下手にその女の子が動くと、俺の大事なところを押されてしまいそうなそんな危ういところに少女はいた。
俺の目は、驚いた時にすっかり元に戻り────
いつもより冴えてたくらいだ────
少女の正体が佐倉花菜であることに気づく。
「おいっ、ボディガードが、主人の上で何やってくれやがってるんスカ?」
「ああ、起きたか。すみません。」
そう言って、佐倉は立ち上がり、そろりそろりと俺の身体の下の方にゆっくりと歩き、遂に俺の大事なところが佐倉花菜の足の餌食となってしまった。
「いっ────ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ%b+gx:6;6*%dyx%+dbjfb_ufbfj?!?!?!」
「あっ、すみません。」
悶え、苦しむ俺を軽蔑した眼差しで見たあと、佐倉は何事も無かったかのように俺の部屋から出ていった。
(このっ、鬼め!)
俺は、涙目で佐倉花菜を睨みつけ、佐倉花菜が出ていった後、何もする気が起きなくなって、再び寝てしまったのだ。
10分後、俺の身体が宙を舞っている感覚がし、目を開くと感覚通り俺は宙を待っていた。
「いい加減、起きろよ!糞ガキ!」
とても、主人に対して使う言葉とは思えないほど、佐倉花菜は俺に下品な言葉を使ってきたのだ。
そして、俺の身体は、地面に叩きつけられたのだった。
「いってえええてえええええ!(泣)」
世界最強10人組のNo.6である俺を佐倉花菜は、投げた────
その投げた相手が敵ならば、良くやったと褒めてやるところなのだが、投げた相手が主人である俺だ、褒めるどころか俺はぶち切れて佐倉花菜を叱った。
「馬鹿やろおおっ!主人を投げるボディーガードがいるかっ!俺はお前をクビにしようと思えば、出来るんだぞ!」
佐倉花菜は真顔で────
「じゃあ、クビにしてください。」
「えっ?そんな辞めたいの?!俺のことそんなに嫌いなの?!」
「はい。私は、一宮元春という人間がこの世で一番嫌いです。多分、あの世に行っても一宮元春ほど嫌いな人物はいないでしょうね。」
「そっ、そんなに?」
「はい。」
俺は、プルプル震えながら下を向き、佐倉花菜に言った。
「…分かった。明日から、もう俺のこと守んなくていいよ。」
真面目に言った俺を佐倉花菜は、ふっと鼻で笑った。
「フッ、冗談に決まってるでしょう?何をそんな直ぐに信じるんですか?それに私が貴方のボディーガード辞めたら、家族の生活費どうなるんですか。だから、私は辞めませんよ。」
「そっ、そっか。良っ、良かったあああ。」
俺が、叫びながら喜んでいると、佐倉花菜の頬はほんのり赤くなった。
佐倉花菜はそのことに気づいたらしく、プイっとそっぽを向く。でも、耳まで赤くなっていることに気づいた俺は少しだけドキッとしてしまい、ついつい言ってしまったのだ。
「なあ、佐倉…。」
「…何ですか?」
「お前ってもしかして、俺のこと好きなの?何だったら、付き合ってやってもいいぞ!」
佐倉花菜は、その俺の言葉を聞いた瞬間般若と化した。
カッという雷のような音も聞こえ、俺は恐怖というものに縛られる。
佐倉花菜の周りが殺気で満ちる。
「はあ?何ですか、アンタ自意識過剰ですか?何なんすか?会って間もない人を好きになるわけないでしょう?」
「…はっ、はいいいいィィィ!」
その後、俺は血の海に沈められた。
────ちゃんと、俺生きてますから!
その後、ちゃんと制服に着替えた俺はまだ不機嫌な佐倉花菜と車で学園へと向かう。
空気はピリピリしてて最悪だった。
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学園着
「いってらっしゃいませ、一宮様。」
「…ああ、行ってくる。」
「……。」
佐倉花菜には、何も言わない俺の執事。
それは、きっと佐倉花菜が俺のボディーガードだからなのだろう。
ボディーガードすなわち仕事中に話しかけてはいけないという執事なりの気遣いだと俺は思っている。
学園では、相変わらず誰も俺に話しかけては来ない。
最近、俺はそのことに気付き、友達百人つくろう計画を諦め始めている。
佐倉花菜もこんな俺のボディーガードをしてるくらいなのだから、友達いないのだろうと同情の目で見ていたら────
「花菜あああああっ!」
「あっ、亜紗美。おはよう。」
「おっはよー!花菜っ!」
ぴたっと────
いや、かなりベッタリ佐倉花菜にくっつく女子、名前は亜紗美…
確か亜紗美という女なら前ダンスパーティーで一緒に踊った記憶がある。
確か、苗字は杏藤だったはずだ。
────それにしても、やけにこの女は佐倉花菜にベタベタし過ぎだと思う。
いくら、友達に近い存在だとしても節度を持つべきだと俺は考える。
「あっ、こっちは杏藤亜紗美。私の親友です。」
俺は、この佐倉花菜の発言にびっくりし過ぎて腰がストンと落ち、ゆかにへたれ込む。
「なんで、こんな性格悪いやつには親友が出来て俺には出来ねーんだよっ!くそやろぉっ!」
「ほおほお。それは、聞き捨てなりませんね…ご主人様?」
天使のような微笑みで、指をバキバキ鳴らす佐倉花菜に俺は、ぼこぼこにされたのだった。
「ぎっいやああああああああああああああああああ#・;;d/+u・:-jbubgf7hfjk:c~r#@+;yjetjk?!?!?!?!」
そして、俺は世界最強10人組の1人であるにもかかわらず、保健室に連れ込まれるのだった。
10分後、保健ケガの手当を終えた俺は、保健室の先生に解放される。
「はあ…。ひどい目にあったな、ってか佐倉の野郎…手加減なしかよっ!────っ!!痛っ!」
ぼやきながら俺は、廊下を1人寂しく歩く。
すると、その時────
ジリリリリリリッ
街全体の警報が鳴り出す。
「ん?何だ?」
『緊急事態っ。緊急事態っ。東のスルヤ区に敵。一般市民の方は急いで安全なところに避難してくださいっ!繰り返す。東のスルヤ区に敵。一般市民の方は急いで安全なところに避難してくださいっ!』
その放送が終わった瞬間、教室にいた生徒達がざわつく。
「きゃああ、どうしよう。逃げなきゃ!」
「まっ、待てっ!我々は、何のためにこの学園に通っているのだ!このように敵が攻めてきた時に一般市民を守るためだろ!」
「そっ、そーね!」
「やるぞ!敵から一般市民を守るぞ!」
俺は、馬鹿かっ、死ぬだけだぞと教室の扉を開けて、注意しようとした。
だが、俺のポケットに入っている端末が鳴る。
ピリリリッ
「はいよ、誰だ?」
『俺だ。』
「俺だと言われても分かんねーよ…と言いたいところだが、時間もないしな。どうした?郷龍蜂。」
『今しがた入った情報なんだが、お前の住んでる街に敵が現れたそーだな。』
「…そのようだな。」
『そいつを殲滅しろってよ。ただし、気をつけろ。そいつらは、俺達が今までに遭遇したことがない敵のようだ。どんな技を使うか分からんからな。』
「はっ(笑)郷、お前が俺の心配するなんて、珍しい事もあるもんだな。俺、死んじゃうんじゃね?」
『ハハッ、止してくれ。お前が勝てねー相手とか、5人しかいねーだろ?』
「そーだな。じゃあ、切るぞ。」
『ああ。』
電話を切った瞬間俺の顔が変わる。
これからの俺は、戦闘モードである。
今まで纏っていた空気が変わり、廊下すれ違う生徒、先生誰1人俺には気付かない。
そして、校舎7階の窓から飛び降りる。
そのまま壁を蹴り、街の方まで飛んでいく。
東のスルヤ区に着いた時には、もう住民の避難は終わっているようで敵しかいなかった。
「ハハッ、じゃあ始めようかね。お前ら全員、皆殺しだ。」
そう言って、俺は左手の親指を立て、下に向ける────
そして敵と戦おうとした瞬間、生徒と先生が到着するのであった。
「皆さん、つきました。住民の避難は済んでいるようです。私たちは、このまま敵の殲滅を行います。いいですね。」
「「「「はいっ!」」」」
(えーー、ちょっと待てよ!お前ら、入学してからまだ、一ヶ月と少ししか経ってねーのに戦えねーだろ?無駄死には、よしてくれ!)
そう思った俺は、担任の先生らしき人物のところに飛ぶ。
「おいっ、アンタ!」
「アンタとは、失礼な言い方ですね!誰ですか。」
「ああ?俺は、十傑が一人一宮元春だ!この敵は、俺1人で殲滅する。そういう要望もあったしな。」
「しかしっ!1人より大勢で戦った方がいいのではないでしょーか?」
1人の生徒が俺に反論してくる。
俺は、反論してくる暇があるなら、さっさと逃げろと思う。
しかし、俺はあえてそんなことも言わず、その生徒を無視して、先生を睨みつける────
が、先生は引かなかった。
「皆さん!敵を殲滅しなさいっ!今すぐに!」
「おいっ、てめー。血迷ったのか!生徒が死ぬんだぞ!」
「ねえ、」
「なんだよ!」
「あなたさっきから、私たちのこと無能と言ってるわよね!」
「それっぽいことは言ってるな?」
その瞬間、左頬をビンタされる。
「私たちを見くびるな!私たちは、あんな敵に屈しないし、負けないわ!」
「……死んでもしんねーぞ。」
「あなたに心配される筋合いなんてないわ。」
「あっそ。好きにすれば…。」
俺は、生徒と先生を避難させることを諦め、敵の方へ向かう。
敵は、郷の言ったとおり、見たことのない虫型ばかりだった。
「うげっ、気持ち悪。」
その虫型の敵を切ると、緑色の液体が飛び散る。
それは、ベタベタしていて、匂いが独特であった。
俺は、まずいっ!と思った。
この匂いのせいで、どこに隠れても敵に見つかる可能性が高い。
俺は、この液体を拭くが、ベタベタしてちゃんと取れない。
(クソっ!油断してたか!)
そんな俺の目の前に、1人の大剣を持った男が現れた。
「貴方が、1番この中で強いですよね?現十傑第6席の一宮元春さん。」
そう聞いてきたので俺は、不敵な笑みで応える。
「へぇ、俺の事知ってんだ?」
(本当に、今日は最悪な日だな。めんどくせー。)
一応2話は終わりです。3話は、一月二十日に投稿できるように頑張りたいと思います。これからもよろしくおねがいします。




