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少年にとって、新しい一日が始まった。そして、金髪の少年アダンにとっても、新しい授業の日だった。
休み時間、アダンはハイードと話をしていた。
「それで、どうだ? 授業は大変か、新入り?」
褐色の肌の少年は、面白そうに笑いながら友人に尋ねた。
「まあ、今のところは順調だよ。もちろん、大変なこともあるけどね。僕の担任はル・ルー先生なんだ。本当に優しい先生だよ」
「文学の先生か?」
ハイードは少し興味を示しながら尋ねた。アダンはうなずいて答えた。
「うん。生徒たちを助けることが大好きなんだ。それって本当に素敵なことだと思うよ」
そう話すアダンの口元には、小さくもどこか苦みを帯びた笑みが浮かんでいた。
「まあ、少しずつここでの生活に慣れてきているみたいでよかったよ」
ハイードはそう話し、さらに続けた。
「それで、今日はほかにどんな授業があったんだ? 俺なんて数学のせいで、もう少しで頭を地面に埋めたくなるところだったぜ」
ハイードの言葉にアダンは笑い、答えた。
「経済学の授業があるなんて知らなかったよ。お金の仕組みとか、世の中でどうやってお金が動いているのかを学ぶのって、なかなか興味深いね」
「それは確か選択科目だったはずだぞ。いくつかの中から選べるんだ。俺は音楽を選んだよ。実は、今作っているドロップを聴かせてやることもできるぜ」
その言葉を聞いたアダンは、心からの好奇心を浮かべてハイードを見つめた。何を言っているのかよく分からなかったのか、少し首を傾げていた。
その様子に気づいたハイードは尋ねた。
「もしかして、ドロップって何か知らないのか?」
アダンはただ首を横に振った。
「うーん……。どうして僕が知らないのか、理由は分かると思うよ……。父さんは、僕たちのような階級の人間が近づくべきものじゃないって考えているからね」
少年は少し悲しげな声でそう説明した。
「でも、それって音楽に関係するものなんだよね?」
ハイードはその発言に少し驚き、しばらく黙り込んでから答えた。
「そうだよ。実際にはエレクトロニック・ミュージックに関係するものなんだ。いつか曲を聴かせてやるよ。きっと気に入ると思うぜ」
それを聞いたアダンの顔には、ぱっと明るい笑顔が広がった。
そのとき、誰かが声をかけてきた。
「アダンちゃん!?」
その声を聞いたアダンは振り返り、誰が呼んだのかを確かめた。
そこにいたのは、一人の少女だった。
長い金髪を高いポニーテールにまとめ、大きな青い瞳を持つ少女だった。学校の制服である青いブラウスに、膝まで届く灰色のスカート、膝丈の白い靴下、そして淡いピンク色の低いヒールを履いていた。
「……ルシール?」
アダンは立ち上がった。
そして二人は互いに抱きしめ合った。アダンの瞳には、これまでにないほどの輝きが宿っていた。
「ルシール! どうしてここにいるの? いつからここに通っていたの?」
「もうずっと前からよ、おバカさん!」
金髪の少女はそう答えた。
「それより、あなたこそどうしたの? あなたがここにいるって聞いて、会いに来たかったのよ」
「うん、そうなんだ。ついに僕も学校に通えるようになったんだよ。ようやく家の外に出られるようになって、本当に嬉しいんだ……ほら、分かるでしょ?」
ルシールはそれを聞いて、小さく笑った。
アダンの顔にも、控えめな笑みが浮かんでいた。
「あなたのお父さんが、ようやく外出を許してくれるようになったこと、私も本当に嬉しいわ」
「僕も、こうして両親同士の会合以外の場所で君に会えることが、とても嬉しいよ」
少年は落ち着いた口調で金髪の少女に答えた。
「それじゃあ、私は友達と一緒にクラブへ行ってくるわね。またね、アダンちゃん!」
そう言うと、ルシールは友人の頬にキスをして、その場を去っていった。
アダンは今の出来事がとても嬉しかったようで、幸せそうな表情を浮かべていた。
その様子を見ていたハイードは、少し驚きながらも困惑していた。
「……今の子は誰なんだ?」
「ルシール・ベルヴィルだよ」
アダンは普段の彼からはあまり見られないほどの喜びを込めて答えた。
「僕たちは小さい頃からの知り合いなんだ。彼女のお母さんは父さんと一緒に仕事をすることが多いから、それで昔からよく知っているんだよ……。まあ、彼女の両親も決していい人たちとは言えないけどね」
「どういう意味だ?」
ハイードは興味深そうに尋ねた。
「彼女のお母さんは、実質的に彼女を見捨てているんだ。父さんの仕事の関係でパリに来ることはあるけど、娘の名前すら呼ばないことがあるし、名前を忘れてしまうことも多いんだよ。お父さんは市長なんだけど、街での地位を失うことよりも、父さんを怒らせることのほうを怖がっているんだ」
ハイードは驚きに目を見開き、それから尋ねた。
「なんてこった……。金持ちの家ってのは、どうしてこうもひどい家庭ばかりなんだ? 俺の家にもいろいろあるけどさ……。お前は父親との問題があって、彼女は両親との問題を抱えているなんて……」
アダンはただ肩をすくめて答えた。
「正直、僕にも分からないよ……。ただ一つ分かっているのは、ここなら幸せになれるってこと。それが僕にとっては――」
しかし、アダンがその言葉を言い終える前に、ボールが彼の顔面に直撃した。
あまりの衝撃に、金髪の少年は顔を押さえ、痛みをこらえた。
「うわっ! ごめん! 本当にごめん!」
その直後、二人のいる場所に一人の少年が駆け寄ってきた。
長い黒髪に、非常に明るく鋭い青い瞳を持つ少年だった。制服を着ていたが、袖はまくり上げられていた。下唇には二つのピアスがあり、左の眉にも一つのピアスをつけているのが目を引いた。
サッカーボールは少年の近くまで転がってきたが、彼はそれを拾うよりも先に、金髪の少年を助けようとした。
「大丈夫か? 怪我してないか? くそっ……。よかったら保健室に行こうか?」
アダンは鼻を軽くさすりながら、少し恥ずかしそうに答えた。
「だ、大丈夫だよ。本当に何でもないから」
「本当に? でも……」
少年は心配そうな表情で話した。
「本当に大丈夫だって。もっとひどい衝撃を受けたことだってあるからさ」
アダンはボールが当たった顔から手を離しながら答えた。
それを聞いた少年は、少し安心した様子を見せた。そして彼に尋ねた。
「それじゃあ……君がアダン・ヴォーブランだよね?」
「うん、僕がアダンだよ。こっちにいるのは友達のハイード・スラハファ」
金髪の少年は少し身体を向け、ハイードを紹介した。
ハイードは軽く手を上げて挨拶した。
そしてアダンは、目の前の少年に尋ねた。
「それで、君の名前は?」
「ルカ。ルカ・コヴァチだ。よろしくな」
黒髪の少年は、ごく自然で落ち着いた口調で答え、手を差し出した。
二人は握手を交わした。
「なあ、君のこと、どこかで見た気がするんだけど」
そのとき、ルカはハイードに話しかけた。
「音楽の授業を受けているか?」
「そうだけど、それがどうかしたのか?」
「くそっ、やっと思い出した!」
ルカはそう言って声を上げた。
「俺たち、同じクラスじゃないか!」
ハイードは目を細めた後、再び目を見開いて答えた。
「そうだ! 今やっと顔を思い出したぞ! いつもギターを持ち歩いている奴じゃないか!」
ハイードは驚いた様子で叫んだ。
「そういえば、今日はどうしたんだ? いつも肩にギターを担いでいるのを見かけるのに」
「ははっ、教室に置いてきたよ。壊したくないからな」
ルカは面白そうに答えた。
その後、アダンはハイードの隣に座り直し、ルカに話しかけた。
「ねえ、よかったら僕たちの隣に座って話さない?」
ルカは小さく微笑み、ボールを手に取ると、アダンの隣に腰を下ろした。
「そういえば、俺の妹は君の大ファンなんだ」
「えっ、本当に? ありがとう」
アダンは少し照れくさそうに答えた。
「妹さんは何歳なの?」
「十二歳だよ。ものすごく明るくて元気な子なんだ」
ルカはそう話したが、その唇には少し苦みを帯びた笑みが浮かんでいた。
「へえ、僕にも姉がいるんだ」
今度はハイードが話し始めた。彼もまた、姉について話すときには少し憂いを帯びた表情を見せていた。
「もうすぐ大学に進学する予定なんだけど……まあ、いろいろと問題があって、入学が遅れているんだ。生化学を専攻するつもりらしいよ」
「わあ、お姉さんはきっとすごく頭がいいんだね!」
アダンは嬉しそうにそう言った。
ハイードはそれを聞いて笑った。しかし、その瞳にはわずかな悲しみが残っていた。
「そうだよ……。俺の姉貴は本当に頭がいいんだ」
「僕も、年上の兄弟がいたらよかったのになあ。きっと一緒に過ごせたら楽しかったと思うよ。でも、結局僕は一人っ子なんだ。まあ、それにも何かしらいいところはあるんだろうけどね?」
アダンの言葉に、ハイードとルカは思わず笑ってしまった。
その様子を遠くから、白い衣をまとった謎の男が静かに見つめていた。
三人の少年が一緒にいる姿を見て、男の口元には小さな笑みが浮かんだ。
「守護と再生が、混沌と出会ったか……。これは興味深いな」
男は三人を眺めながら、静かに続けた。
「この二人は、アダンと共に世界の秩序を守るうえで、大きな助けとなるかもしれない。黒猫と共に歩む者……。盾によって守護を担う者、そして時を糸のように操り、壊れたものを修復する者……」
男はそこで視線を金髪の少年へと向けた。
アダンは二人の少年と一緒に、楽しそうに笑っていた。
その姿を見つめる男の瞳には、どこか悲しげな色が浮かんでいた。
そして、自分自身に語りかけるように言った。
「あの少年は、黄金のような心を持っている。だが、その心は怪物によって苦しめられている……。彼がたった一人で耐え続けていることが、本当に悲しい。せめてエキビョウ……カオスが、彼のために咆哮し、彼を解放してくれることを願うばかりだ」
そう言うと、白い衣の男は奇妙な煙となり、その場から姿を消した。
一方、アダンの内側では、カオスのネウマであるエキビョウが、ようやく自分の契約者であるアダンに喜びが戻ってきたことを感じ取り、幸せそうに喉を鳴らしていた。
「お前は本当に大きな心を持っているな、子猫ちゃん。そして、心の中に傷を抱えた者たちを見つける才能にも恵まれている。どうか、その輝きを失わないでくれ」
猫のような存在は、アダンの心の中でそう語りかけた。
そしてアダンは、エキビョウの言葉を聞いて、ただ小さく微笑むのだった。




