第九話 極限状態の元一流たち
超古代遺跡の探索や、あの大規模な魔物氾濫の駆逐など、数々の大功によって十歳にして侯爵の地位へと上り詰めた俺は、王都における新たな拠点の強化について検討していた。
新しく豪華な侯爵邸を建てるか、あるいは既存の邸宅を買い取って引っ越すことも考えたが、いま住んでいる伯爵邸でも十分に広い。
何より、あの素晴らしすぎる大浴場を手放すことなど、俺には到底考えられなかった。
そこで、邸宅の購入に回すはずだった潤沢な資金を使い、新たに優秀な使用人を雇い入れることにした。
早速、家令のアルゴルに相談してみたところ、かつて彼らが囚われていた奴隷商の元に、片腕を失って奴隷に落ちた「元凄腕のドワーフ鍛冶師」が売れ残っているという情報を得た。
俺は興味を惹かれ、そのドワーフを直に見定めるため、王都の裏通りにある奴隷商の商館を訪ねることにした。
奴隷商は俺の顔を見るなり、かつてアルゴルたちを買い叩かれた苦い記憶から一瞬だけ嫌そうな顔を浮かべた。
しかし、すぐに商売人特有の卑屈な笑みを貼り付け、揉み手をしながら擦り寄ってきた。
「これはこれは、ルーカス・アルマギナ侯爵閣下! 畏れ多くも、このような薄汚れた場所に自ら足を運ばれるとは、一体いかなるご用命で?」
「ここに、身体の一部を欠損したドワーフの奴隷が売れ残っていると聞いてね」
「おや、閣下も物好きでございますな。手足の欠けた奴隷など、重労働はもちろん、何の役にも立ちますまい」
「まあ、とにかく見せておくれよ。話はそれからだ」
俺は奴隷商を促し、日の当たらない地下深くの、満足に食事も与えられていないような劣悪な牢獄へと案内させた。
「そこの檻にいるドワーフがそうでございますが……」
鉄格子の向こうには、すっかり痩せ細ったドワーフの男と、その傍らで静かに息を潜めている、片足を失ったハーフリングの小さな少女がいた。
俺がドワーフの容態を詳しく確認しようと、鉄格子へ一歩近づいた──まさに、その刹那だった。
──パサッ。
衣服がかすかに擦れる極小の音と同時に、俺の視界の端、完全に死角となっていた真下の暗闇から、信じられない速度で小さな手が伸びてきた。
前世の記憶を保持し、常人離れした動体視力を誇る俺の目でさえ、その手の軌跡を完全には捉えきれなかった。
気がついた時には、鉄格子の隙間から突き出された少女の指先が、俺の上着の裾をガシッと完璧に掴み取っていたのだ。
(──嘘だろ!? 俺の索敵術式に、一切の兆候すら引っかからなかった……!?)
魔物の大群を一瞬で消し去った俺は、十歳児の姿をしていながらも、常時周囲への警戒と探知の魔術を怠っていなかった。
俺の間合いに入れば、どんな熟練の戦士であっても、その呼吸や微細な殺気すら見逃さない自信があったのだ。
冷や汗が背中を伝う。
見れば、少女の目は固く閉ざされており、意識は完全に朦朧としていた。
つまり彼女は、狙って俺の隙を突いたのではない。
飢餓で死にかけている極限状態の中、本能だけで、この場で最も強大な存在(俺)を察知し、その警戒網の死角を完璧に見切ってすがりついたのだ。
片足を失っている身でありながら、その身のこなしは神速そのものだった。
(片足を失い、ここまで衰弱していながら、俺の反応速度を上回る隠密術理と速度を叩き出すとは……。おいおい、とんでもない『本物の化け物』がこんな場所に眠っていたぞ……!)
当初の目的はドワーフの鍛冶師だったが、俺はこの少女の異次元にすら到達している暗殺と隠密の才に戦慄し、即座に二人とも買い取ることを決意した。
「おい、奴隷商。この二人は俺が貰う。金は言い値で構わん、今すぐその鍵を開けろ」
◆
二人を急ぎ屋敷へと連れ帰った俺は、寝台に寝かせると同時に、帝級神聖術の最高峰である超回復魔法『生命再誕』を発動した。
清らかな神聖の光が二人を優しく包み込み、ドワーフの失われていた右腕と、ハーフリングの左足が、寸分の狂いもなく完璧な肉体として再生していく。
やがて目を覚まし、失われていたはずの手足が元通りになっていることに気づく二人。
さらに俺は、二人の首元に刻まれていた『奴隷紋』の呪詛構成を瞬時に読み解き、その魔術契約を完全に消去して、彼らを苛烈な隷属契約から解放した。
世界最高の神殿の教皇ですら不可能なはずの奇跡を、目の前のわずか十歳の少年があっさりと成し遂げたという事実。
プロの領域に生きてきた二人だからこそ、その圧倒的な底知れなさに、本当の意味での恐怖と、深い敬意を抱くのだった。
◆
ドワーフの男は、新しく生えた自身の右腕を何度も驚いたように握り締め、驚愕の声を上げた。
「……夢じゃねえ。腕が、指の細かな感覚まで完全に元通りだ……。おい小僧、いや、閣下。俺のこの命と残りの人生、すべてあんたに捧げてやる。頼む、俺に最高の武器を打たせてくれ!」
男は力強く床に膝を突いた。
一方、ハーフリングの少女はしなやかな動作でベッドから床へと着地し、新しく生えた片足の感覚を確かめるように軽く足踏みをした。
驚くべきことに、床を踏み鳴らす足音が一切響かない。
彼女は超一流の暗殺者として、無表情のまま、俺の前で完璧に美しい臣下の礼を捧げた。
「……失われた足だけでなく、私の中にあった全盛期の身体のキレまで完璧に戻っています。主殿、私はこれよりあなたの影となり、牙となりましょう。いかなる過酷な命であっても、どうぞお下しください」
「よし。ドワーフのおっさんは、俺の専属の鍛冶師だ。お前は……その徹底的な気配の無さを活かして、俺の『隠密給仕──すなわち、メイドを兼ねた絶対の護衛』になってもらう。……あ、ちなみにさっき牢屋で俺の裾を掴んだあの速度、めちゃくちゃビビったからな?」
「……お恥ずかしい限りです。本能の行いとはいえ、主殿のお召し物を汚した我が無礼、万死に値します」
「いや、死ななくていいから。これからうちでしっかり働いて、その分を返してくれればいいよ」
◆
ドワーフの鍛冶師はオルグ、そしてハーフリングの少女はニアと名乗った。
専属メイドとなったニアの初仕事は、手足が完璧に再生した翌日から始まった。
彼女は、仕立ての良い小さな特製のメイド服に身を包み、完璧な作法で俺の身の回りの世話をこなし始めた。
ある日の午後、俺は書斎に籠もり、超古代遺跡から回収してきた数々の貴重な書籍の写本と整理作業に追われていた。
すると、ふと視界の端から、すっ……と温かい紅茶のカップが差し出された。
ドアが開く音も、部屋を歩く足音も、衣服が擦れる音すら、一切しなかった。
「うおっ!? ニア、お前いつからそこにいたんだ!?」
驚きのあまり椅子から飛び上がりかける俺に対し、ニアは無表情のまま、美しく完璧なお辞儀を返した。
「失礼いたしました、主殿。三分前に入室し、温かいお茶をお淹れして、こちらで待機しておりました。……気配を完全に消すことが身体に染み付いておりまして、決して主殿を驚かせる意図はございません」
(いや、三分前って、俺が盛大に鼻歌を歌いながら大真面目に書籍をチェックしていた時じゃねえか。めちゃくちゃ恥ずかしいわ!)
◆
先の魔物氾濫において、俺は文字通り数千、数万の魔物を仲間と共に斬り伏せた。
その過酷すぎる激戦の結果、俺の愛刀は刃こぼれだらけの満身創痍となり、半ばから折れかけていた。
俺は、右腕の感覚を確かめるように何度も腕を回しているオルグを、屋敷の地下にある最新鋭の鍛冶場へと案内した。
そこで俺が異空間収納から取り出したのは、刃がボロボロに欠け、魔物の血と脂で曇りきった一振りの刀。
あの地獄のような戦場を共に生き抜いた、俺の唯一無二の相棒だ。
刀を受け取った瞬間、オルグの目が一瞬で鋭い職人のそれへと変貌した。
「……おい小僧、いや閣下。こいつは驚いた。片刃で、この薄さ、そしてこの絶妙な湾曲。この大陸の武器じゃねえな。しかも、これほどの刃こぼれを起こしていながら、芯が完全に活きてやがる、折れてねえ。奇跡のような鍛造技術だぞ、これは」
「魔物氾濫で限界まで魔物を斬りまくったら、そんな風にボロボロになっちゃってね。オルグ、これ、直せるかい?」
問いかける俺に対し、オルグは新しく手に入れた右腕でずしりと重い頑丈な鍛冶槌を握り締め、不敵にニカッと笑った。
「直せるかって? 俺をナメるなよ。腕を失った俺の絶望を救い、こんな見たこともねえ極上の獲物を目の前に出されて、火を熾せねえドワーフがいたら、そいつはただの鉄屑だ。……時に閣下、あんたのその便利な収納の中に、超古代遺跡で採れた珍しい鉱石なんかは眠ってねえか?」
言われた俺は、遺跡の探索中に壁が壊れた際、なんとなく収納に放り込んでおいた建築物の破片をいくつか取り出してみせた。
「これは超古代遺跡の深部で拾った壁の破片なんだけど、何かの役に立つかな? 必要なら山ほどあるけど」
「──な、何だと!?」
破片を見た瞬間、オルグは眼の色を劇的に変えて大声を上げた。
「こ、これは神代の金属、オリハルコン! そしてこっちの輝きは、最高純度のミスリル銀じゃねえか!! 上等だ、これ以上の素材はねえ! 元の刀が持つ最高の持ち味をすべて活かしたまま、前より頑丈で、前より凶悪な『最高の神刀』に叩き直してやる!」
俺は、あの遺跡の壁がそんな伝説級の鉱石で出来ていたのかと、ようやく合点がいった。
伝説のオリハルコンやミスリル銀がふんだんに使われていたからこそ、あの遺跡は何千年も風化することなく、現世にその姿を留めていたのだろう。
オルグは提供された伝説の鉱石を前に、職人としての最高潮の魂と技術を注ぎ込み始めた。
ミスリル銀は、刀のしなやかさと魔力伝導率を極限まで高めるために使用される。
魔力を流せば青白く美しく輝き、先の戦いのような激戦であっても絶対に刃こぼれしない強靭な柔軟性を付与する。
一方のオリハルコンは、刀の「硬度」と「芯の強さ」を絶対的なものにするために組み込まれた。
世界一の硬度を誇るこの金属を混ぜ合わせることで、どんな装甲や魔物の硬皮であっても、まるで温めたナイフでバターを切るかのように切り裂く究極の鋭利さが生まれる。
オルグの手によって完璧に叩き直された刀は、片刃の美しい曲線を保ちながらも、刃文がうっすらと青銀色の輝きを放ち、刀身全体が神秘的な光を宿す、世界に二つとない至高の神刀へと生まれ変わったのだった。
◆
その頃、超古代遺跡での大功績により、わずか十歳で侯爵にまで大出世したルーカス。
当然ながら、そのあまりにも急速な台頭を面白く思わない、無能な門閥貴族たちが裏で動き出していた。
彼らはルーカスを所詮は子供だと激しく侮り、その寝込みを襲うべく、密かに手練れの暗殺者を送り込んできたのだ。
ある夜、俺の寝室に、敵対貴族が雇ったプロの暗殺者集団(五〜六人)が、音もなく窓から忍び込んできた。
彼らは、「いくら戦場の英雄とはいえ、十歳のガキだ。寝込みを襲えば一撃で終わる」と確信していた。
暗殺者たちがベッドへと音もなく近づいた、その瞬間。
彼らの背後の闇から、すっ……と、深い溝が刻まれた特殊な漆黒の短剣を手にしたニアが姿を現した。
侵入者たちも裏の世界で生きてきたプロであったが、ニアの持つ隠密の技術は、彼らの警戒を遥かに凌駕していた。
さらに、ニアの短剣の刃には、彼女が独自に調合した“微手にかすっただけでも即座に全身の神経を麻痺させる猛毒”が周到に塗布されている。
足音はおろか、絶命の悲鳴すら一切上げさせることなく、ニアはまるで夜の闇の中で踊るように、暗殺者たちの首筋や手首を正確無比に切り裂いていった。
「……我が主殿の心地よい眠りを妨げる羽虫め。塵に還りなさい」
一瞬にして全滅していく暗殺者たち。
しかし、その中の一番の強者であったリーダー格の男だけは、ニアの刃を間一髪の直感で察知し、窓ガラスを破って外の広大な庭園へと必死に逃げ延びた。
庭園の芝生へと飛び降り、冷や汗を全身から流しながら逃亡を図ろうとする暗殺者のリーダー。
しかし、その行く手を遮るように、パジャマ姿のまま、新しくなったばかりの刀を無造作に下げた俺が、静かに立ちはだかっていた。
◆
「おいおい、夜中に人の家でバタバタと騒ぎ立てるなよ。近所迷惑だろう?」
俺は子供の体でありながら、周囲の空気を圧するほどの圧倒的な覇気を放った。
暗殺者はその威圧感に気圧され、「この、化け物め!」とヤケクソになって武器を振りかざし、突進してきた。
だが、俺は静かに居合の構えを取る。
暗殺者が俺の間合いに足を踏み入れた瞬間、夜の闇を切り裂く神速の一撃が、ミスリル銀特有の美しい青い軌跡を伴って一閃された。
──【一閃】
俺が放ったあまりにも速すぎる一撃は、暗殺者が防御のために掲げた特製の堅牢な盾や、超硬度の剣ごと、その身体を一刀両断にして戦闘不能へと追い込んだ。
オリハルコンがもたらす究極の硬度と、ミスリル銀による完璧な魔力伝導。
それらが一体となり、俺の魔力が刃の隅々にまで寸分の滞りなく行き渡った結果の破壊力だった。
「……すごいな。オルグの奴、本当に前より何倍もキレる刀に仕上げやがった」
◆
戦いが完全に終わった後、背後からニアが音もなく駆け寄り、俺の前で深く跪いた。
「主殿にお手を煩わせてしまい、大変申し訳ありません。私の力不足です……」
本気で悔しそうに肩を落とすニアに対し、俺は刀を鞘に収めながら優しく微笑んだ。
「いや、お前が寝室で残りの連中を瞬時に片付けてくれたおかげだよ。本当に助かった、ありがとう」
そう言って、彼女の頭をポンポンと優しく叩いて労ってやると、ニアは無表情ながらもどこか嬉しそうに目を細めた。
その後、刀を見事に修復してくれたオルグへのご褒美として、俺は前世の地球に存在した最高峰の酒を再現し、彼に手渡すことにした。
前世の記憶がアカシックレコードと繋がった際、俺の頭の中にダウンロードされていた至高のウイスキーの製法。
それを魔法と錬金術の粋を集めて完璧に再現し、じっくりと熟成させておいた特製の酒樽をストレージから取り出す。
グラスに注がれたのは、光を浴びて美しく輝く琥珀色の液体。
独特の、泥炭で燻されたスモーキーな芳しさと、果実のように深い芳醇な香りが室内に一気に広がっていく。
ドワーフのオルグは、これまでに見たこともないその見事な酒の香りを嗅いだ瞬間、ゴクリと喉を鳴らした。
「ほう……。こいつは、俺たちが普段飲んでいるエールやワインとは、そもそも格が違いやがる。この焦げたような、だが驚くほど甘く深い香りは、一体全体何なんだ……?」
オルグがグラスを一気に煽る。
カッと喉を焼く強いアルコールと、その直後に口内いっぱいに広がる極上のコクと風味に、ドワーフの巨漢は驚愕のあまり目を丸くした。
「──美味い、美味すぎるッ!! なんだこの酒は! 樽の芳しい木香と、このガツンとくる力強い破壊力……! 俺たちドワーフがいつも煽っている、ただ強いだけの安酒とは何もかもが違いすぎるぞ!」
至福の表情を浮かべるオルグに対し、俺は不敵に笑ってみせた。
「『ウイスキー』という、ある国に伝わる最高の名酒さ。オークの木で作った樽の中で、じっくりと寝かせたんだ。……刀の素晴らしい修復の礼だよ。オルグ、その樽、お前に丸ごと全部やるよ」
「いいのか、閣下!? ──よし、決めた! これからあんたの武器を作る時は、それが世界一の神剣だろうが何だろうが、この両腕が千切れて吹き飛ぶまで、魂を込めて叩き続けてやるからな!!」
オルグは大喜びで、まるで宝物でも扱うかのように大切そうに酒樽を抱きかかえるのだった。
◆
驚くべきことに、その翌日も全く同じように、深夜の暗殺者が邸内へと送り込まれてきた。
夜中、静まり返った俺の寝室に潜入した不届きな暗殺者たち。
彼らが獲物を手にベッドへと近づいた瞬間、暗闇の中から専属メイド服を身にまとったニアが、冷徹な壁となって立ちはだかった。
暗殺者たちのリーダー格が、無言のままニアに向けて鋭く精密な突きを放つ。
しかし、ニアが逆手に構えていたのは、刀身に深い溝が幾重にも刻まれた特殊な短剣──あのソードブレイカーだった。
──キィン!
夜の静寂に、小気味よい金属音が響く。
ニアは絶妙な角度で相手の刃をソードブレイカーの溝へと噛ませ、その強力な力をいなして受け流しながら、相手の体勢を完全に崩し去った。
次の瞬間、足音が一切響かないハーフリングとしての無音の特性を最大限に活かし、ニアの身体はすでに暗殺者の視界から完全に消失していた。
彼女は超人的な身のこなしで、相手の真後ろ──完全な背後へと回り込んでいたのだ。
無防備に晒された背中へと、ニアのソードブレイカーが吸い込まれるように深く突き刺さる。
「……終わりです」
刃に仕込まれたニア特製の強力な麻痺毒が瞬時に全身へと回り、暗殺者は悲鳴を上げる暇さえ与えられず、そのまま崩れ落ちて物言わぬ人形となった。
◆
捕らえた暗殺者の生き残りたちは、すべて証拠と共にセマフォ殿下の元へと引き渡した。
あとは王家の暗部や、あの切れ者である殿下自身が容赦なく裏で動き、根こそぎ処理してくれるだろう──そう思っていたら、案の定、わずか数日で事件は完全な解決を見た。
裏で糸を引いていた犯人は、かねてより俺の存在を敵視していた、カイル子爵一派であったという。
「……さて。あの二人の実力、合格と見て良いかな、アルゴル?」
書斎の椅子に深く腰掛けながら俺が尋ねると、傍らに控えるアルゴルはフッと不敵な笑みを漏らした。
「ええ。ですが、実力はともかくとして、我がアルマギナ侯爵家の使用人としては、まだまだ及第点といったところです。これから私の手で、徹底的にしごかせていただきますよ」
「はは、頼むよ。手柔らかにね」
こうして、ルーカス侯爵邸に、新しくも非常に頼もしい仲間が二人、加わったのだった。
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