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第六話 国王派、貴族派、教会派

 我が国──『オーエス王国』の政界は、大きく分けて三つの大きな派閥によって構成されている。


 まず、国王派(コボル伯爵・マギナ家所属)で、2分の1以上(最大シェア)を持ち、自国第一主義、現行システムの安定運用を是としている。


 次に、貴族派で、4分の1のシェアを持ち、リベラル思想、特権階級による魔術コード独占を是としている。


 最後に、教会派で、4分の1のシェアを持ち、超過激グローバル思想、世界の宗教管理を是としている。


(……なるほど。あのチートスペックを持つアッセンブリ神父がこんな辺境に左遷されていたのは、この教会派内部のどす黒い権力闘争(派閥争い)に敗北した結果、失脚したのが原因かもしれないな)


 そんな膠着した環境に突如として投下されたのが、『国王派配下の騎士爵家に、三歳のドラゴン・スレイヤー(子爵)が出現した』という、にわかには信じられないニュースだった。


 当然、貴族派と教会派のトップは即座に「ただのタワ言だ」と公式フォーラムで反論(否定)したが、国王派のコボル伯爵が自ら真偽を確認し、即座に子爵位を叙任した情報が拡散されると、風向きは一変した。


 焦った両派閥のトップは一時的に共闘を組み、雇ったゴロツキ冒険者を使って俺を暗殺しようと仕向けた。


 だが、結果は前回述べた通り。


 相手にもされず、ダンジョン出口での待ち伏せすら不発に終わり、逆に永久追放(返り討ち)されるという悲惨な状況が流れる結果となった。


 これにより、中立を保っていた無党派層の貴族たちが一斉に国王派への所属を開始。


 さらに、貴族派や教会派の末端からも「今回の暗殺未遂、我が家は一切無関係です!」と国王派へ鞍替えする貴族が後を絶たない事態に発展した。


 面白くないのは、シェアを大破させられた貴族派と教会派の最高幹部トップたちだ。


 王都の贅を尽くした豪華な高層隠れ家(部屋)で、高級酒を煽りながら、彼らは深刻な対策の会議を執り行っていた。


「やはり、元凶である例のガキ(ルーカス)を暗殺させるのが一番手っ取り早い」


「だが相手はドラゴン・スレイヤーだぞ。極秘ルートで入手した戦闘情報によれば、ただのトカゲではなく、あの災厄指定のエンシェント・ドラゴンをワンパンしたそうだ」


「フン、騎士爵の子供が古竜を討滅できるなど、フェイクだ。そもそも騎士爵家の三歳児など上級魔法までしか習得できないはず。聖級以上の高位コードは、我ら一握りの高位貴族のみが独占しているのだからな。いくら前大戦の英雄ギャザーの倅とはいえ、出力限界リミッターがあるはずだ」


「……それが、敗走した冒険者の通信情報によると、奴は古代魔法や超古代魔法の魔導書を、まるで絵本代わりに読み解いているらしい」


「馬鹿な!? 古代魔導書はともかく、超古代魔導書など、エリートが集まる『国立魔導研究所』のエリートをフル稼働させても未だに解析できていない代物だぞ!」


「だが事実、その超古代魔導書を片手に、魔法を『無詠唱』で連発していたそうだ……」


 部屋の中に、一瞬の重い静寂が流れる。


「……ふん。どうせ、魔導書を手に持っているだけで古代魔法が発動しているかのように見せる高度なブラフだろう。ならば、魔法が発動する前に物理で肉薄すれば良いだけだ。どんな大魔導師であれ、詠唱や展開の隙に剣で接近戦インファイトを仕掛けられれば、簡単に撃破できる。幸い、相手の肉体はまだ三歳の脆弱な幼児だ」


「手駒は?」


「闇市場から仕入れた『獣人族の奴隷』を使う。奴らの物理身体能力は人族を圧倒している。すでに【隷属の首輪】によって、こちらの操り人形同然に仕上げ済みだ。奴なら、確実に標的を処理できるだろう」


「なるほど。……その方向で行きましょう」


 ◆


 ──王都でそんな不穏な暗殺談話がされているとはつゆ知らず、俺は領地の実家でのんきに『タルトタタン(キャラメリゼした林檎のケーキ)』を調理していた。


 本日分の主神へ捧げる定期お供えだ。


 さっそく完成したケーキを祭壇に設置してお祈りを捧げた瞬間、突如として周囲の空間の時間が完全停止。


 世界がモノクロに反転し、久しぶりにダイレクトの『神託オラクル』が脳内へ直接落ちて来た。


『ルーカスよ。貴族派と教会派が裏で徒党を組み、主を暗殺しようと陰謀を画策しておるぞ。気を付けるのじゃ』


「最高管理神様直々の警告ですか。相手のジョブクラスは魔導師ですか?」


『いや、接近戦インファイトのスペシャリストたる獣人族の奴隷じゃ。【隷属の首輪】という悪質な強制によって、無理やり暗殺実行をさせられておるようだな』


「なるほど、首輪付きの物理アタッカーですか。貴重な情報、ありがとうございます」


『うむ。主が死亡されては、この地球の素晴らしき高次元グルメが食べられなくなるからな。我の威信にかけても死守せねばならん。ではな』


 オラクルが終了すると、世界の再生ボタンが押されたように時間が再び動き出した。


 俺は即座に『魔導通信プライベートチャット』を開き、ルビィへ連絡をとった。


 事の詳細を伝え、安全のためにしばらくマギナ邸へは近づかないようアナウンスする。


『えっ、ルーカス大丈夫なの……!? 暗殺者なんて……!』


「ああ、問題ない。僕もとある武術を完全に習得しているからね。多少は物理の心得がある」


『……本当に? 無茶しないでよ?』


「約束するよ。すべての一件が片付いたら、またダンジョンのテスト環境で新しい魔法の試し打ちをしよう」


『……分かった。約束ね!』


 通信を切った俺は、固有スキルを用いて広域索敵魔法『サーチ』を常時パッシブ起動状態へとセット。


 一定以上の敵対殺気が領地内に侵入してきましたら、強制的に俺の意識を覚醒させる割り込みアラートを組み込んで、ベッドに入った。


(さて、果報は寝て待て。今日のところは就寝するか)


 ◆


 一日目、二日目、三日目は何事もなく過ぎ、四日目の深夜──俺が組んだ『サーチ魔法』の防壁に、ついに強烈な敵対シグナル(割り込み)がヒットした。


 俺は音もなく跳ね起きると、『ストレージ』から自身のサイズに最適化された小太刀を実体化。


 いつでも神速の抜刀ができるよう、部屋の中央で完全な戦闘体制を整える。


 室内に、張り詰めた沈黙が流れる。


 ガタッ、と部屋の窓の外からあからさまなノイズ(音)が響いた。


 だが、俺のサーチ魔法がマークしている本命の座標は、全く別の死角──天井の梁の上だ。


(おとりか。惑わされるな、敵の本体は……!)


 次の瞬間、左斜め上空の闇から、一切の気配を殺した超高速の暗殺刃が振り下ろされた。


 それに対し、俺は完全に合わせた神速の抜刀──『居合』の一閃を切り上げた。


 キィィィィンッ……! ズシャッ!


 確かな手応え。


 着地してバックステップを踏んだ暗殺者と正対する。


 月光に照らされたそのシルエットは、しなやかな漆黒の体毛を持つ『黒豹の獣人』だった。


 その首元に巻かれているのが、主神の言っていた【隷属の首輪】だろう。


 現在、その獣人の右腕からは、俺の居合によって正確に切り裂かれた鮮血が滴り落ちていた。


 黒豹の獣人は、驚愕に目を見開いたまま固まっている。


 ただの魔法使いのガキと聞かされていた標的が、剣のスペシャリストである自分を遥かに領駕する速度のカウンター攻撃(斬撃)を放ってきたのだから当然だ。


 俺は三歳児特有の低身長ローアングルという当たり判定の小ささをフルに活かし、相手の足元へのスライディング刺突から、一転して胸元への超高速の切り上げへと繋げる。


 獣人は完全に防戦一方、俺の繰り出す地球の古流武術に完全に圧倒されていた。


 だが、さすがは接近戦のプロ。


 即座に気持ちを切り替えたのか、その剣筋から一切の迷いが消え、命を賭した超高密度の突きが俺の頭部へと繰り出される。


「──『身体強化アクセラレーション』」


 俺は無詠唱で自身に最高倍率の身体強化を強制バフした。


 バフによって極限まで処理速度が高まった俺の動体視力の前では、獣人の決死の刺突すら、まるで静止画の一コマのようなスローモーションに映る。


 俺は最小限のステップでその切っ先を紙一重でかわすと、すれ違いざま、カウンターの刃を相手の喉元へ──ではなく、その首に巻かれた【隷属の首輪】へと正確に叩き込んだ。


 パキン、と硬質な破壊音と共に、禍々しい首輪が床へと転がり落ちる。


「まだ戦闘を続けますか? 獣人さん」


「……がはっ、吾輩の、負けだ。首を撥ねようと思えばいつでも出来ただろうに……なぜ、首輪を狙った?」


「貴方は【隷属の首輪】の強制によって、無理やりヘイトを向けさせられていただけでしょう。その原因が消去された以上、僕たちがこれ以上交戦する意味メリットはありません」


「……しかし、首輪が壊れても、吾輩の肉体には未だ主人の『奴隷紋』が刻まれて──」


「なら、その不要な奴隷紋も一括消去してあげますよ」


 そう言って、俺が目の前で指をパチンと鳴らす(無詠唱による呪詛解体魔法の発動)。


 直後、獣人の首、手首、そして胸元に刻まれていた赤黒い奴隷紋が、水に溶けるように綺麗に消滅した。


「これで、貴方は完全に自由です」


 獣人は驚愕のあまり絶句し、室内の姿見(鏡)に映った自身の真っ白な肌を確認してガタガタと震え始めた。


「さあ、自由になったところで、今後はどうしますか?」


「……俺を騙し、奴隷に落としたあの連中に……復讐したい」


「それはどこの所属(誰)ですか?」


「『教会派』の連中だ。裏で奴らを牛耳る、人間絶対主義を掲げる超過激な秘密教団……」


「なるほど、悪質なカルト教団ですね。いいでしょう、手を貸します。その前に、まずはその怪我の修復からですね」


 再び指をパチンと鳴らすと、上級治癒魔法『エクストラ・ハイ・ヒール』が無詠唱で発動し、彼の右腕の裂傷が一瞬で完全修復された。


「その教団のアジトの場所(座標)はどこですか? 案内してください」


「ま、待て、いくら規格外とはいえ、子供をこんな血生臭い復讐に巻き込むわけには──」


「まあ良いから。ついでに、君にその首輪を発注した貴族派の黒幕の居場所も教えてくれると、一度に片付いて嬉しいのですが」


「……教団の拠点は、この国と隣国が接している『アルース山脈』の中腹にある古代遺跡だ。そして、俺を買い付けた貴族派のトップは──王都に邸宅を構える『トムキャット侯爵』だ」


「ターゲットのアドレス(座標)の特定、完了。では、まずは山脈のカルト教団から潰しに行きましょうか。中にまだ、囚われている他の奴隷はいますか?」


「いや、俺が最後の売れ残りだった。今は幹部連中しかいないはずだ」


「それは素晴らしい。巻き込み(誤射)を気にせず、最大火力フルバーストを出せますね。……僕の手を握ってください」


「手……? なにを──」


「行きますよ。──『空間転移テレポート』」


 ◆


 視界がホワイトアウトし、次の瞬間──俺たちの足元には、極寒の風が吹き荒れる広大な山脈のパノラマ(空中)が広がっていた。俺は即座に『飛行魔法フライ』を起動し、二人の身体を空中に固定する。


「なっ……空中転移だと!? バカな、ここは王都から数百キロ離れた……!」


「で、教団のアジトはどこですか?」


「あ、あの灯火がついている、谷間の遺跡だ……!」


「どれどれ……魔力視でスキャンしたところ、中で悪徳幹部たちが盛大に酒盛りをしていますね。……よし、じゃあ『』きますか」


「逝く……?」


「ええ。一括物理削除です。──超古代・極大禁呪『メテオ・ストライク』」


 俺が脳内の全並列処理を駆動し、禁呪の無詠唱実行をした瞬間。


 夜空の彼方から、大気を激しく摩擦して赤黒く燃え盛る『超巨大隕石』が召喚され、圧倒的な重力加速度を伴って遺跡へとストレートに打撃した。


 ズドォォォォォォォォンッッッ!!!


 天地を揺るがす大爆発と、山脈全体を激しく揺らす大質量兵器の衝撃波。


 すべてが沈静化した後、眼下を見下ろすと──そこには、教団のアジトはおろか、遺跡ごと直径数百メートルにわたって奇麗に消滅した、広大なクレーター(空白地帯)だけが残されていた。


「……(獣人が完全に白目を剥いてフリーズしている)」


「よし、教団の駆除完了。じゃ、次(王都)へ行きましょうか」


「……あ、ああ……(完全に思考停止している)」


 ◆


「こ、ここだ……。貴族派の首魁、トムキャット侯爵の王国内の邸宅。……恐らく今頃、俺からの『暗殺完了報告』の情報を待ちながら、教会派のトップと祝杯を挙げているはずだ」


「了解です。では、周囲に一般人が巻き込まれないよう、陰陽術の結界『人払い・認識阻害の術』を敷地に固定して……と。よし、行きます。──『局所地震ローカル・クエイク』」


 ズズズズズズズズッ……!!


 トムキャット侯爵邸の敷地境界線の内側“だけ”に、ピンポイントで直下型の大地震が発生。


 豪華絢爛な侯爵邸が、まるでトランプの塔のようにガラガラと音を立てて瓦解していく。


「おっと、流石に高位の防壁魔法を持っていた黒幕たち(生き残り)が数名いますね」


「……ルーカス様、ここからのとどめは、吾輩にやらせてくれ」


「分かりました。残党に気をつけて」


 黒豹の獣人は、崩壊した瓦礫の中から発覚した生存者のうめき声を正確に捕捉し、その鋭い刃で次々と息の根を止めていく。


「貴様ぁっ! なぜ【隷属の首輪】を嵌められた奴隷が、自由に動いている!?」


 瓦礫の中から血塗れで現れたのは、高級なローブを纏った老人──今回のシステム構築(黒幕)のトップ、トムキャット侯爵その人だった。


「トムキャット、年貢の納め時だ。観念しろ」


「ええ、観念した方がいいですよ。すでに僕が周囲に超高密度のカモフラージュ結界を展開しているので、外部からの応援は一切届きません」


「ガ、ガキが……何を言うかと思えば……一体何者だ!?」


「どうも。初めまして。今、あなた方の間で絶賛大炎上中の『最年少ドラゴン・スレイヤー』こと、ルーカス・マギナ子爵です」


「な、何だと……!?」


「ちなみに、貴方がそちらの教会派のトップとつるんで『三歳のガキ(僕)を暗殺する』と酒を酌み交わしながら密談していた音声は、すべてこちらに完全録音してありますので」


「いつの間にそんな事を……!?」


「あらかじめ、この部屋の座標に『式神(盗聴魔法)』を忍ばせておいたんですよ。……ほら、この通り」


 俺が懐から陰陽術の護符を取り出してアクティベートすると、「がはは、あのマギナ家のガキめ、今頃は獣人の刃でミンチになっている頃だろう!」という、トムキャット侯爵と教会派トップの醜悪な会話音声が、寸分違わぬ高音質で再生された。


「証拠データの保存も完了しました。じゃあ、あの世へ先に逝ってらっしゃい。──獣人さん、どうぞ!」


「うむ。──フンッ!!」


 ドシュッ!!


 黒豹の獣人の神速の爪が閃き、トムキャット侯爵の首がゴロリと地面へ転がり落ちた。


「……生き残りの残党は?」


「全てとどめを刺した」


「そうですか。……で、貴方はこれからどうするのですか? 自由の身になったわけですが」


 俺がそう問いかけると、黒豹の獣人はその場に深く膝を突き、騎士の最敬礼を取った。


「もし許されるのであれば……吾輩を、貴方様の忠実な従者(家臣)として雇用していただきたい。貴方のように潔白で、一点の曇りもない真っ直ぐな目をした貴族を、吾輩は初めて見た。その規格外すぎる力が、いつか道を踏み外して暴走しないよう……一番近くで、盾として見守りたいのだ」


「……ふふ、分かりました。では、僕が子爵になって初めての『第一従者(初期メンバー)』として承認します。君の名前は?」


「──『パイソン』とお呼びくだされ、ルーカス様」


「了解、パイソン。君には将来、我がマギナ子爵家に組織されるであろう『私兵騎士団』の初代団長グランドマスターをやってもらうよ。……まあ、まだ構成員はパイソン、君一人だけなんだけどね」


「ハハッ、身に余る光栄にございます……!」


「よし、それじゃあタスクも全部片付いたし、実家へ帰ろうか」


「御意!」


 ◆


 今回の反逆派閥瓦解を経て、俺の手元にはあまりにも莫大な戦果が残ることになった。


 頭の中で情報を展開し、今回獲得したタスクの処理結果とリソースを一つずつ精査していく。


 まず、襲撃の実行犯であった暗殺者パイソンの無力化。


 これについては文句なしの【成功】だ。


 彼の脳内にある思考と行動制御に直接介入し、その牙を完全に抜くことに成功した。


 次に、そのバックにいた『教会派』の超過激秘密教団についてだが、彼らの本拠地であるアジトは、上空から降らせた極大戦術魔法『メテオ・ストライク』によって、地形ごと綺麗に消滅を【完了】した。


 これで面倒な追撃の可能性は根絶されたと言っていい。


 さらに、今回の陰謀の元締めである貴族派首魁、トムキャット侯爵を仕留める事にも無事に【完了】。


 彼という存在を社会の表舞台から、そしてこの世界から完全に消去させておいた。


 その過程で、彼らが反逆を企てていた決定的な密談の音声──すなわち、言い逃れの通用しない国家反逆罪の確定物証ファイルも確実に【取得】済みだ。


 これ一つで、残党の息の根をいつでも止められる最高のデバフ兵器となる。


 そして個人的に最も大きな収穫となったのが、新規従者の獲得だ。


 黒豹の獣人であり、元私兵騎士団長という一級品の戦闘スペックを持つ『パイソン』を、俺専用の絶対遵守の忠臣として配下に組み込むことに成功、【取得】が刻まれた。


 これらの結果がもたらす影響は絶大だ。


 王国内に根を張っていた『貴族派』と『教会派』、その双方の最高幹部は、中枢を同時に破壊されたことで完全に瓦解した。


(よし。これで当面の障害は一斉に排除できたな。しばらくは邪魔の入らない快適な環境で、新しいスキルの構築にリソースを割けそうだ)


 俺は脳内で完璧に片付いた情報を静かに閉じ、水面下で進む世界のアップデートを迎え撃つべく、次の最適化へと意識を向けるのだった。


 ◆


 こうして、オーエス王国を揺るがしていた不健全な派閥──『貴族派』と『教会派』の最高幹部ネットワークは、一晩にしてほぼ完全に瓦解した。


 さらに、翌朝ルーカスから国王派(コボル伯爵)へと提供された「密談音声入りの護符」が決定的な物証となり、国家反逆罪として両派閥に対する徹底的な大規模粛清(解体・粛清・資産没収)が執行されることとなるのだった。

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