↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第2章:粛清国 ―― 嘘をつかない神が、いちばん、たちが悪い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/167

第2-3話「二人、いる」


 翌日。


 二人は、北の砦へ、案内された。


 国境である。


 外は、氷原だった。


 野良個体が、氷の向こうから、来る。


 昼も、夜も。


 砦の兵は、五十人。


 ――そのうち、生きているのは、十二人だった。


 残りは、召喚された、死者である。


 彼らは、戦った。


 疲れなかった。


 傷を、負っても、平気だった。


 ――消えて、また、出てくるだけだからだ。


 若者は、それを、見ていた。


 そして、気づいた。


 ――ヨルンが、いる。


 昨日、闘技場で見た、あの巨躯。


 右手に、大剣。


 彼は、砦の壁の上で、戦っていた。


 若者は、脳内の記録を、照合した。


 ――同一個体。


 そのとき。


 伝令が、走ってきた。


「南門が、破られました!」


「英霊を!」


「――ヨルン殿を、南へ!」


 選定官が、詠唱を、始めた。


 若者は、壁の上を、見た。


 ――ヨルンは、そこに、いた。


 まだ、戦っていた。


 そして、南門のほうを、見た。


 ――そこにも、ヨルンが、いた。


 二人。


 同時に。


 同じ顔。


 同じ甲冑。


 同じ剣。


 ――二か所で、同時に、戦っている。


 若者は、動けなかった。


 彼の視界に、情報が、重なる。


> 【照会】

> 召喚個体:EU-IS-0311。

> 現在の展開数:七。


> ――七。


 同じ男が、七人、この国のあちこちで、戦っている。


「――どういうことだ」


 選定官が、事もなげに、答えた。


「必要な数だけ、呼びます」


「同じ人間を?」


「はい」


「――それは、同じ人間なのか」


 選定官は、少し、考えた。


 そして、こう、答えた。


「同じ、記録です」


 若者は、南門へ、走った。


 そして、そこで、七人目のヨルンが、消えるのを、見た。


 消える前に、その男は、こう、言った。


「――また、か」


 昨日と、同じ、声で。


 同じ、言葉で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。