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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第2章:粛清国 ―― 嘘をつかない神が、いちばん、たちが悪い

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第2-1話「氷の国」


 北へ行くほど、木が、低くなった。


 やがて、木が、なくなった。


 デストルディア粛清国。


 地の底から、湯気が、上がっている。


 白い蒸気が、灰色の空に、まっすぐ、立っていた。


 その柱が、地平線まで、何十本も、並んでいた。


 人々は、それを「神の柱」と呼ぶ。


 旧世紀の人間なら、地熱井、と呼んだだろう。


 城門で、二人は、止められた。


 騎士が、四人。


 黒い甲冑。胸に、一本の縦線の紋。


 彼らは、若者の紋章を、確かめた。


 そして、跪いた。


 それから、エマを、見た。


> ---「番号を」


「――ない」


 若者が、答えた。


 騎士の一人が、剣に、手をかけた。


「連れだ」


「勇者様」


 騎士長が、言った。


 低い声だった。


「当国では、番号なき者は、入城できません」


「なぜだ」


「――律法に、そう、書いてあります」


「変えろ」


「変えられません」


「なぜだ」


 騎士長は、まっすぐに、答えた。


「我らの神は、約束を、破らないからです」


 若者は、しばらく、黙っていた。


 そして、言った。


「――なら、俺も、入らん」


 彼は、背を、向けた。


 騎士たちが、動揺した。


 三十分後。


 王の使者が、馬で、駆けてきた。


 そして、こう、告げた。


「――例外を、認める」


「ただし、一度だけである」


「その者が、二度目に、当国の土を踏んだとき」


「――我らは、それを、焼く」


 若者は、うなずいた。


 エマは、何も、言わなかった。


 彼女は、その言葉を、憶えた。


 ――百年後に、それが、正確に、実行されることを、


> このときは、まだ、誰も、知らない。



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