第1-9話「また、来る」
八日目の、夜。
また、来た。
――四体。
若者は、四十秒で、片づけた。
村人は、今度は、拍手した。
彼は、腹を、割いた。
板が、入っていた。
同じ、板だった。
彼は、それを、道端に、投げた。
――十一日目の、夜。
また、来た。
――五体。
――十四日目。
――六体。
若者の手が、止まった。
彼は、道の真ん中に、立って、動かなかった。
「勇者さま?」
ヨナが、言った。
「――増えている」
「え?」
「三体。四体。五体。六体」
「増えている」
「――俺が、倒しているのに」
彼は、剣を、下げた。
「なぜだ」
「なぜ、減らない」
誰も、答えられなかった。
若者は、六体を、倒した。
五十八秒、かかった。
最後の一体が、倒れたとき、彼は、膝を、ついた。
初めて、息が、上がっていた。
エマが、水を、持ってきた。
彼は、それを、飲まなかった。
彼は、村を、見ていた。
柵が、直っている。
畑が、戻っている。
子どもが、増えている。
――七十三人。
彼が、隣の村から、二人を、助けたからだ。
そして、その二週間で、赤子が、一人、生まれた。
――七十四人。
彼の視界に、数字が、重なった。
――当該集落、在籍七十四名。
――前年比、プラス六。
――プラス、六。
六体。
若者は、その数字を、見つめていた。




