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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第1章:城壁の外 ―― 帳簿に、載っている。ただし、守られていない

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第1-6話「配給」


 その夜、村は、二人を、囲炉裏に、招いた。


 鍋が、出た。


 薄かった。


 麦と、根菜と、少しの肉。


 七十人が、それを、分けた。


 村の老婆が、匙で、量を、計っていた。


 ――一人ぶんずつ。


 ――正確に。


 エマが、それを、見ていた。


「――どうして、量るんですか」


 老婆は、手を、止めなかった。


「今年は、三人、増えたからね」


「増えた?」


「生まれたのさ。三人」


 彼女は、匙を、掬った。


「だから、来年は、三人、減らす」


 エマの、手が、止まった。


「――減らす?」


「そうだよ」


「どうやって」


 老婆は、初めて、顔を、上げた。


 そして、不思議そうな顔を、した。


「――どうやって、って」


「減るのさ」


「勝手にね」


 彼女は、鍋を、かき混ぜた。


「冬が来る。病が来る。獣が来る」


「三人、増えれば、三人、減る」


「――そういうふうに、なってる」


 彼女は、当たり前のことを、言うように、言った。


 誰も、それを、おかしいと、思っていなかった。


 若者は、鍋を、見ていた。


 彼の視界に、数字が、重なる。


 ――当該集落、在籍七十一名。


 ――前年比、プラス三。


 彼は、その数字を、しばらく、見ていた。


 そして、何も、言わなかった。


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