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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第1章:城壁の外 ―― 帳簿に、載っている。ただし、守られていない

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第1-4話「獣では、ない」


 それは、その夜に、来た。


 鐘は、なかった。


 誰かが、鍋を、叩いた。


 ――三体。


 背丈は、人間の二倍。


 関節が、多い。


 腕が、四本。


 片方が、鎌のように、削り出されている。


 若者は、それを、知っていた。


 ――地下五層で、見た。


 村人は、逃げなかった。


 逃げる場所が、ない。


 彼らは、家の中に入り、戸を、閉めた。


 ――それだけだった。


 若者は、道の真ん中に、立った。


 剣を、抜いた。


 そして、思った。


 ――一体目。


 空気が、鳴った。


 最初の一体の、膝が、砕けた。


 ――二体目。


 二体目の腕が、落ちた。


 ――三体目。


 三体目が、鎌を、振り下ろした。


 若者は、それを、剣で、受けなかった。


 半歩、退いた。


 鎌が、地面を、抉った。


 ――その一瞬に、彼は、胸に、剣を、突き入れた。


 三体とも、止まった。


 二十二秒。


 詠唱は、一度も、していない。


 村人が、戸を、開けた。


 誰も、声を、上げなかった。


 ただ、遠くから、見ていた。


 若者は、倒れたものの、腹を、剣で、割いた。


 ――中を、見た。


 そこに、あったのは、内臓では、なかった。


 板が、あった。


 黒い。


 細い線が、走っている。


 彼は、それを、引き抜いた。


 ――そして、気づいた。


 彼は、それを、見たことが、ある。


 神殿の、工房で。


 荷を運び、畑を耕し、パン窯を焚いていた、あのゴーレムの、胸の中に。


 ――同じ、板が、入っていた。


「……同じだ」


「え?」


 エマが、近づいてきた。


 若者は、その板を、彼女に、見せた。


「同じ顔を、してる」


「――工房の、あいつらと」


 彼は、荷を担いだ、自分のゴーレムを、見た。


 二体は、道の脇に、立って、待っていた。


 左腕の動かないほうが、荷が、傾かないように、体を、傾けていた。


 若者は、長いこと、それを、見ていた。


 村人の一人が、そばに、来た。


 少年だった。十歳ほど。


 トビ、といった。


> ---「勇者さま」


「なんだ」


「それ、なんですか」


 若者は、答えなかった。


 答えを、持っていなかった。



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