第1-3話「外部配置」
北の村は、地図に、載っていなかった。
柵はあった。
畑もあった。
人が、七十人ほど、いた。
畑は、半分、焼けていた。
村長は、ヨナといった。
六十を過ぎた、痩せた男だった。
彼は、若者の鎧を見て、跪こうとした。
> ---「よせ」
若者は、村を、見回した。
彼の視界に、情報が、重なる。
――ヨナ。US-SV-3011。六十三歳。
彼は、驚いた。
番号が、ある。
「――あんたら、番号を、持っているのか」
「はい」
「神殿の、外なのに」
「はい」
「では、なぜ、城壁の中に、住まない」
ヨナは、うつむいた。
「――入れて、いただけません」
若者は、神に、問い合わせた。
> 【照会】
個体 US-SV-3011。
――外部配置。
在籍に、算入する。
保護対象からは、除外する。
――外部配置。
彼は、その言葉を、初めて、聞いた。
「どういうことだ」
> 【応答】
当拠点の収容能力は、有限である。
当拠点の目標残存数は、2,000である。
――現在の在籍は、2,000である。
超過分は、外部に、配置する。
外部配置個体は、在籍数に、算入される。
ゆえに、目標は、達成されている。
「――守らないのか」
> 【応答】
保護は、収容の付帯機能である。
外部配置個体は、収容されていない。
ゆえに、保護対象では、ない。
若者は、村を、見た。
七十人。
――全員、帳簿に、載っている。
――全員、守られていない。
畑が、焼けている。
彼らは、数えられている。
ただ、それだけだ。
「……勇者様」
ヨナが、言った。
「わたしどもは、神を、恨んでは、おりません」
「数えて、いただいて、おりますから」
「――帳簿に、載っていない者は、死んだことにも、なりませんので」
若者は、何も、言えなかった。
彼の隣に、帳簿に載っていない娘が、立っていた。




