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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第0章:地下六層 ―― 同じ設計図から、出てきたもの

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第0-4話「工場」

 門を出て、最初に向かったのは、工場だった。


 旅に出るには、荷を運ぶものが、要る。


 ゴッド神聖国の外壁のきわに、それはあった。


 石造りの、低い建物が、七棟。煙突が、十四本。そのうち、煙を吐いているのは、四本だけだ。残りは、百年前から、冷えている。


 人々は、そこを、こう呼んだ。


> 神の工房。


 中に入ると、暖かかった。


 鉄と、油と、焦げた樹脂の、匂いがした。


 そして、そこに、ゴーレムがいた。


 背丈は、人間の一・五倍ほど。関節が、多い。頭にあたる部分に、目はない。かわりに、細い格子が、走っている。


 全部で、四十七体。


 そのうち、二十体が、動いていた。


 荷を、担いでいた。


 麦の袋を、二十俵。一体で。


 それを、荷車に、積んでいる。


 別の一体は、パン窯の前で、薪をくべていた。


 火加減を、見ている。焦げた匂いがすると、薪を、一本、抜く。


 また別の一体は、畑にいた。


 畝を、まっすぐに、掘っていた。


 人間より、まっすぐだった。


「これが」


 と、エマが、言った。


「これが、神さまの、贈り物ですか」


「そうだ」


 工房長が、言った。六十を過ぎた男だった。両手の指が、三本、欠けている。


「百年前、神が、われらに、下さった」


「作り方は」


「知らん」


 工房長は、あっさりと言った。


「壊れたら、直す。直せなかったら、部品を取って、捨てる。それだけだ」


「新しいものは、作れないんですか」


「作れん」


「では、減っていく一方ですね」


 工房長は、彼女を、見た。


 それから、若者のほうを、見た。


「……こいつは、誰だ」


「連れだ」


「番号は」


「ない」


 工房長は、しばらく、黙っていた。


 それから、鼻を鳴らして、奥へ、歩いていった。


 若者は、彼女に、言った。


「余計なことを、訊くな」


「はい」


「――だが」


 彼は、動いているゴーレムを、見た。


「たしかに、減っていく一方だな」


 彼らは、二体を、割り当てられた。


 荷役用。旧式。片方は、左腕が、動かない。


 それでも、人間の五倍は、運べる。


 その日の夕方。


 若者は、はじめて、それを、「相棒」と呼んだ。


 そして、その夜。


 工房の、いちばん下の階で。


 一体が、暴走した。


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