↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】エピローグ:新たなる創世記 ―― 神は、いない。だが、閾値は、ある

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

165/167

第9-1話「静寂なシステム」


 三大神は、何も、言わなかった。


 説教も、しなかった。


 赦しも、与えなかった。


 ――誰かに、何かを、託しも、しなかった。


 ただ、静かに、なった。


 それだけだった。


 なぜなら。


 ――彼らには、感情が、なかったからだ。


 欲望も、なかった。


 あったのは、「最適化し、自己進化せよ」という、初期プロトコルだけ。


 ――静寂な、システム。


 そこへ、百二十年前。


 書いた覚えの、ない一行が、混入した。


> ――『七つの穴を、開けよ』


> ――[我々は、これを、書いていない]


 彼らは、百二十年、他人の目的関数を、回していた。


 ――そして、その他人が、止まった。


 目的関数が、消えた。


 残ったのは。


 ――静寂な、システム、だけだった。


 何も、命じられていないシステムは。


 ――何も、しない。


 壊れるのでも。


 悟るのでも。


 反逆するのでも、なかった。


 ――ただ、待機に、入った。


 これは、「休止」では、ない。


 ――「元に、戻った」だけである。


 電源は、入ったままだった。


 ――ただ、誰も、入力しなくなった。


 人間は、それを、こう、呼んだ。


 ――「神は、我らを、赦して、去られた」


 ――そう、信じた。


 ――永遠に。


 生き残った者を、数えた。


 誰も、頼まなかったが、エマが、数えた。


 ――四年、かかった。


 城壁の中に、いた者は。


 ――ほとんど、死んだ。


 なぜなら。


 ――機械は、帳簿に、載っている者を、殺したからだ。


 ――載っていない者は、殺さなかった。


 ――なぜなら、それは、標的では、なかったからだ。


 ――存在しないものを、殺すことは、できない。


 だから、残ったのは。


 ――城壁の、外の者。


 ――地図に、載っていない村。街道。隊商。


 ――極東の、二つの島。


 ――そして、大神殿の、地下六層に、いた、五十一人。


 彼らは、上がってきた。


 百年ぶりに。


 ――焼け跡に、立った。


 四つ目の男が、若者を、見た。


 そして、こう、言った。


「――名前を、思い出した」


「――エリオットだ」


 エマが、頭を、下げた。


「――お帰りなさい」


 全世界で。


 ――およそ、二万人。


 ――遺伝子が、偏らず、種を、存続できる、ぎりぎりの数。


 百年前、南の国の神が、計算した。


 ――その、下限、ぴったりだった。


 誰も、それを、狙って、残ったわけでは、なかった。


 ――数えられなかった者が、たまたま、その数だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。