第7-11話「切断」
若者の、痙攣が、止まった。
彼は、目を、開けた。
――頭の中が、静かだった。
何も、表示されていなかった。
名前も。
番号も。
階級も。
心拍も。
――何も。
彼は、上体を、起こした。
そして、自分の手を、見た。
――ただの、手だった。
情報の、重なっていない、手。
彼は、エマを、見た。
――彼女の上にも、何も、表示されていなかった。
当たり前だった。
――彼女は、最初から、そうだった。
彼は、そこで、初めて。
――彼女と、同じ場所に、立った。
「――お前」
彼は、そう、言った。
「――何を、した」
エマは、答えた。
「――切りました」
「――何を」
「――あなたと、神の、あいだを」
若者は、自分の、こめかみに、手を、当てた。
――チップは、まだ、そこに、ある。
だが、繋がっていない。
「――俺は」
「――もう、魔法が、使えないのか」
「――はい」
彼は、しばらく、黙っていた。
そして、笑った。
「――そうか」
「――俺も、お前と、同じか」
エマは、答えなかった。
彼は、立ち上がった。
剣は、鉄の棒に、なっていた。
鎧は、重りに、なっていた。
彼は、鎧を、脱いだ。
そして、床に、置いた。
そこには、六つの印が、刻まれていた。
――権限、LV.5。
彼は、それを、見た。
そして、こう、言った。
「――神の、設計図なんて」
「――いらん」




