第7-1話「祭り」
六か国の軍が、上陸した。
北の、粛清国。
南の、律法国。
西の、創聖国。
東の、帝国。
そして、ゴッド神聖国。
――五か国。
六か国目は、来なかった。
葦原は、軍を、出さなかった。
だが、誰も、それを、咎めなかった。
なぜなら。
――五か国で、二万人、いたからだ。
若者は、その数に、目を、疑った。
――二万。
管理された人類は、七拠点で、一万四千である。
二万は、いない。
「――どこから、来た」
彼は、ゴッド神聖国の、大神官に、訊いた。
大神官は、答えた。
「外部配置から」
「――外部配置?」
「はい」
「城壁の外の者を、集めました」
「――一万三千ほど」
若者は、動かなかった。
――柵。焼けた畑。痩せた子ども。
――帳簿に、載っている。
――守られていない。
その者たちが、いま、旗を、持って、立っている。
「――なぜ、来た」
彼は、一人の男に、訊いた。
その男は、こう、答えた。
「――勇者様が、お呼びだと」
「――それに」
男は、笑った。
「――勝てば、中に、入れて、いただけるそうで」
若者は、その顔を、見ていた。
そして、何も、言わなかった。
その夜。
軍は、島の南に、陣を、張った。
旗が、立った。
太鼓が、鳴った。
火が、焚かれた。
――笑い声が、上がった。
二万人が、酒を、飲み、歌い、踊った。
これから、戦だというのに。
若者は、その火を、丘の上から、見ていた。
エマが、隣に、立っていた。
「――祭りみたいですね」
彼女は、そう、言った。
若者は、答えなかった。
ゲンの、声が、耳に、残っていた。
――祭りだ。
――あんたは、騒ぎに、行くんだよ。




