第6-2話「剥ぎ取り」
村――と、呼ぶには、大きすぎた。
工場だった。
旧世紀の、半導体工場。
百年、使い続けている。
中は、ガラクタで、埋まっていた。
いや。
――ガラクタでは、なかった。
全部、動いていた。
若者は、そこで、初めて、それを、見た。
――鎧。
人の、二倍の背丈。
継ぎ接ぎ。
左右で、色が、違う。
その、胸に。
――四本の腕の、痕が、あった。
「――これは」
若者は、言った。
「――魔獣の、装甲だ」
老技師が、答えた。
六十がらみ。
両手の、指が、四本、足りない。
名を、ゲンといった。
「そうだ」
「――剥いだ」
「剥いだ?」
「殺しに来たやつから、な」
彼は、鎧を、叩いた。
鈍い、音が、した。
「百年、こうしてる」
「あいつらが、来る」
「俺たちが、殺す」
「――そして、部品を、取る」
彼は、若者を、見た。
「――あんたらの神は、俺たちに、何もくれん」
「腕輪も、魔石も、種も、薬も」
「――くれたのは、殺しに来る機械だけだ」
「だから」
彼は、笑った。
「――ありがたく、いただいてる」
若者は、自分の魔石を、握った。
そして、思った。
――試そう。
彼は、火を、思った。
――何も、起きなかった。
もう一度。
――何も。
彼は、魔石を、見た。
光っていなかった。
「――どうした、勇者様」
ゲンが、言った。
「――届かんだろ」
「なぜだ」
「――ここには、線が、ない」
「線?」
「あんたの神と、あんたを、繋ぐ線だ」
「――百十七年前に、切った」
若者は、そこに、立っていた。
彼の脳内チップは、沈黙していた。
――生まれて初めて。
誰も、見ていない。




