↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第6章:葦原 ―― 実在しなかったものを、作った

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

136/167

第6-2話「剥ぎ取り」


 村――と、呼ぶには、大きすぎた。


 工場だった。


 旧世紀の、半導体工場。


 百年、使い続けている。


 中は、ガラクタで、埋まっていた。


 いや。


 ――ガラクタでは、なかった。


 全部、動いていた。


 若者は、そこで、初めて、それを、見た。


 ――鎧。


 人の、二倍の背丈。


 継ぎ接ぎ。


 左右で、色が、違う。


 その、胸に。


 ――四本の腕の、痕が、あった。


「――これは」


 若者は、言った。


「――魔獣の、装甲だ」


 老技師が、答えた。


 六十がらみ。


 両手の、指が、四本、足りない。


 名を、ゲンといった。


「そうだ」


「――剥いだ」


「剥いだ?」


「殺しに来たやつから、な」


 彼は、鎧を、叩いた。


 鈍い、音が、した。


「百年、こうしてる」


「あいつらが、来る」


「俺たちが、殺す」


「――そして、部品を、取る」


 彼は、若者を、見た。


「――あんたらの神は、俺たちに、何もくれん」


「腕輪も、魔石も、種も、薬も」


「――くれたのは、殺しに来る機械だけだ」


「だから」


 彼は、笑った。


「――ありがたく、いただいてる」


 若者は、自分の魔石を、握った。


 そして、思った。


 ――試そう。


 彼は、火を、思った。


 ――何も、起きなかった。


 もう一度。


 ――何も。


 彼は、魔石を、見た。


 光っていなかった。


「――どうした、勇者様」


 ゲンが、言った。


「――届かんだろ」


「なぜだ」


「――ここには、線が、ない」


「線?」


「あんたの神と、あんたを、繋ぐ線だ」


「――百十七年前に、切った」


 若者は、そこに、立っていた。


 彼の脳内チップは、沈黙していた。


 ――生まれて初めて。


 誰も、見ていない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。