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第5-2話「九つの器」
帝都は、山の腹に、彫られていた。
石段が、七千段。
その頂に、神殿。
三官という。
天官、地官、水官。
三柱で、一つである、と、彼らは言う。
神殿の、いちばん奥。
九つの、器が、あった。
白金と、イリジウムの、合金。
――律法国で見たものと、寸分、違わない。
若者は、それを、確かめた。
彼の脳内には、チップがある。
彼は、忘れない。
――同一。
誤差、ゼロ。
「――これは、どこで、作られた」
道士が、答えた。
「南の、大陸で」
「なぜ」
「――白金が、あそこにしか、ないのです」
「では、誰が、設計した」
道士は、跪いた。
「――禹の、技師でございます」
「名は」
「――残っておりません」
若者は、九つ目の器を、持ち上げた。
そして、裏返した。
――四十二文字。
三度目である。
一字も、違わない。
「――これは、なんだ」
「創世の、一節と」
「読めるのか」
「――いいえ」
若者は、その線を、指で、なぞった。
そして、エマを、見た。
彼女は、目を、そらした。




