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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第4章:創聖国 ―― 家畜は、絶滅を、許されない

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第4-1話「番号は、巡る」


 東へ。


 山を、二つ、越えた。


 ジェネシア創聖国。


 谷を、塞ぐように、それは、立っていた。


 ――ダム。


 高さ、二百六十メートル。


 百年前から、そこに、ある。


 人々は、その内側に、住んでいた。


 壁の中に、部屋を、掘って。


 水が、すぐ隣を、流れている。


 壁の向こうで、常に、低い音が、鳴っていた。


 国の名を、彼らは、こう呼んだ。


 ――マツヤの、腹の中。


 マツヤとは、魚である。


 百年前、洪水から、人を救ったと、伝えられている。


 二人が、門をくぐったとき。


 葬列と、すれ違った。


 白い布に、包まれた、遺体。


 その後ろを、人々が、歩いていた。


 ――泣いていなかった。


 それどころか。


 ――笑っていた。


「――なぜ、笑っている」


 若者が、訊いた。


 司祭が、答えた。


「めでたいのです」


「めでたい?」


「はい」


「あの者の番号が、これで、空きます」


「――次の子が、生まれられます」


 若者は、葬列を、見送った。


 その後ろに。


 妊婦が、一人、歩いていた。


 彼女は、遺体に、向かって、頭を、下げていた。


 ――ありがとう、と。


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