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第4-1話「番号は、巡る」
東へ。
山を、二つ、越えた。
ジェネシア創聖国。
谷を、塞ぐように、それは、立っていた。
――ダム。
高さ、二百六十メートル。
百年前から、そこに、ある。
人々は、その内側に、住んでいた。
壁の中に、部屋を、掘って。
水が、すぐ隣を、流れている。
壁の向こうで、常に、低い音が、鳴っていた。
国の名を、彼らは、こう呼んだ。
――マツヤの、腹の中。
マツヤとは、魚である。
百年前、洪水から、人を救ったと、伝えられている。
二人が、門をくぐったとき。
葬列と、すれ違った。
白い布に、包まれた、遺体。
その後ろを、人々が、歩いていた。
――泣いていなかった。
それどころか。
――笑っていた。
「――なぜ、笑っている」
若者が、訊いた。
司祭が、答えた。
「めでたいのです」
「めでたい?」
「はい」
「あの者の番号が、これで、空きます」
「――次の子が、生まれられます」
若者は、葬列を、見送った。
その後ろに。
妊婦が、一人、歩いていた。
彼女は、遺体に、向かって、頭を、下げていた。
――ありがとう、と。




