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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第3章:律法国 ―― 書けないことは、唱えられない

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第3-2話「女神」


 城内は、階層で、できていた。


 文字どおり、階層である。


 丘の上に、神殿。


 その下に、上層。中層。下層。


 上層の者は、下層に、降りない。


 下層の者は、上層に、上がれない。


 階段には、門が、ある。


 門には、魔石の、読み取り機が、ある。


 権限が、足りなければ、開かない。


 若者は、LV.5である。


 すべての門が、開いた。


 エマは、通れなかった。


 彼女は、下層に、残った。


 下層の、辻に。


 石が、あった。


 膝ほどの、平たい石。


 ――百年、そこに、ある。


 表面に、線が、刻まれていた。


 直線と、曲線。


 意味は、わからない。


 人々は、そこに、花を、置いていた。


「これは、なんですか」


 エマが、老女に、訊いた。


「女神の、御手の印だよ」


「女神?」


「タンディ様さ」


 老女は、拝んだ。


「百年前、この地に、降りられた」


「そして、われらに、言葉を、下さった」


「どんな言葉ですか」


 老女は、少し、困った顔を、した。


「――憶えてないよ」


「憶えていない?」


「そういうもんさ」


「大事なことは、書かない」


「書けば、盗られる」


 彼女は、そう言って、笑った。


「――そう、教わったよ」


 エマは、その石を、見た。


 線は、風化していた。


 ――読めなかった。


 彼女に読める文字は、二十四しか、ない。


 この線は、そのどれでも、なかった。



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