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語り継がれる第五の創世記  作者: たろう
【第三部】第3章:律法国 ―― 書けないことは、唱えられない

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第3-1話「城壁」


 海を、渡った。


 南へ、二十日。


 オルディア律法国。


 城壁が、見えた。


 高さ、三十メートル。


 厚さ、十メートル。


 ――百年、崩れていない。


 そして、その手前に。


 村が、あった。


 柵が、あった。


 畑が、あった。


 人が、いた。


 ――地図には、載っていない。


 若者は、立ち止まった。


 彼は、その景色を、知っていた。


 ――北で、見た。


 柵。焼けた畑。痩せた子ども。


 そして、城壁を、恨まない顔。


「――ここも、か」


 エマは、何も、言わなかった。


 城門で、二人は、番号を、確認された。


 エマには、番号が、ない。


 だが、この国の門番は、彼女を、通した。


「――番号がなくとも、よろしいのですか」


 エマが、訊いた。


 門番は、不思議そうな顔を、した。


「番号のない者は、外に、住む」


「中に、住まねば、よい」


「――律法に、そう、書いてある」


 彼は、そう言って、門を、開けた。


 北の国では、番号のない者は、焼かれる。


 南の国では、番号のない者は、外に置かれる。


 どちらが、優しいのかを、若者は、考えた。


 答えは、出なかった。



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