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地球まみれの宇宙人 ~体内ダンジョンに閉じ込められた最強侵略者が出ていってくれない~  作者: 鬼喜怪快


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22/28

22話 人はそこを地獄と呼ぶ

 


「状況を報告してくれ」


「はい!

 現場には剛海副隊長以下、当直メンバーが到着。

 状況は極めて異様なものとのこと。

 ダンジョンゲート発生から残り50分ほどで

 2時間が経ちます。

 ゲートから侵入者が現れ出る時間です」


「被害は?」


「報告では民間人20数名、ブレイカー4名が

 ゲートに飲み込まれたとのことです。

 第6支部の当直メンバー8名が出動、

 ダンジョン内に救助に向かいました。

 第5支部、第7支部へ救援依頼中です!」


「わたしの方からも

 近隣支部に救援要請をかけた。

 だが、先日のベーダー星人侵略時の被害は

 他支部も大きい。

 人選には苦慮しているところだろう」


 

 百万遍総隊長が、

 第6支部の情報官・相真《そうしん》と連絡をとっていた。



「過去データにはないゲートだ」


「現場判断では危険度S級相当と報告が入っています」


「……まぁ。

 どう見てもAやBではあるまい」 

 

「あの、

 近隣各国への救援要請は!?」


「……」


「総隊長!?」


「恥を忍んで、

 要請をかけてはみたが……」


「?」


「1番の隣国は通信が遮断されている……」


「はぁっ?」


「1番の友好国は、

 対侵略者用の武器や兵器を購入するよう言ってきた」


「なんですそれ……?」

 

「連絡が繋がった国は

 本日中に会議を開いてくれるそうだ。

 近日中には返答すると……」


「……そんな。

 近日中に返事って……」


「……その頃には侵略が

 終わっているかもしれんな」


 

 そんなもの——

 

 そんなものなのだろう——

 

 他国に期待している方がおかしいのだ。


 各国に利点があれば別だ。

 

 ただ、自国の利益にもならず、

 自国の能力者に被害が出るかもしれない場所へ、

 他国が率先して手を貸すわけがなかった。


 

「他国の動きが周到すぎる……」


「?」


「今日のことを知っていたのではないか……?」


 

 他国の動向に、百万遍総隊長は訝しんだ。

 しかし、今はそれどころではない――


 

「雷鳥は?」


「雷鳥副隊長も現地に向かわれています!」


「そうか」


「あっ!」


「どうした?」

 

「雷鳥副隊長が現地に到着しました!」


「……」


「他のメンバーが揃い次第、

 雷鳥部隊も突入の準備に入ります」


「待て!」


「?」


「現在雷鳥は第6支部の実質隊長を担っている。

 失うわけにはいかない——」


「……それでは!?」


「雷鳥と他の隊員に伝えよ。

 今からは侵略に備えてゲート前で待機。

 それと民間人の避難誘導が優先だ」


「……中のみんなは?」


「……」


「無事生還を祈る——」



 百万遍総隊長との通信が切れた。


 

 ――――――


 

 相真から雷鳥へ連絡が入ったのは

 総隊長と通信が切れたすぐあとだった。



『雷鳥副隊長!』


「相真、他のメンバーはまだか?」


『5分ほどで3名が到着します』


「そうか……。

 その3人が来れば小隊として突入する」


『それが総隊長からの命令で、

 これ以上の突入は止められております』


「なんだと!」


『雷鳥副隊長と他の隊員は、

 侵略時に備えて待機と避難誘導とのことです』


「中に入った剛海たちはどうなる!」


『……無事生還を祈るとのことです』



 雷鳥の表情が強張った。


 本部の判断では、

 内部に入った隊員は死亡——


 侵略は決定事項として考えられている。



「そんな命令聞けるか!」


『しかし、雷鳥副隊長が中に入れば

 侵略を許した場合こっちの指揮を

 取れる者がいません!』


「……」


『一旦……待機でお願いいたします』



 雷鳥はダンジョンゲートを見上げた。


 見慣れたはずのゲート。


 だからこそわかることもある。

 

 あれは異質なゲートに間違いなかった。

 

 ベーダー星人侵略時と同じ圧迫感。


 眺めるだけで、

 雷鳥ですら背筋が凍るほどだった。

  


 ——————

 

 

 ダンジョンゲートを潜れば、

 ありきたりな洞窟の中だった。


 ただ、

 真っ直ぐに伸びる洞窟の先には光が見える。


 一度潜れば引き返せないように

 ゲートにはロックがかけられており、

 防星官が持つ特殊な通信機でも

 外部との連絡が取れなくなっていた。

 

 ここに来た者は、

 もう先に進むしかなかった。


 その長い洞窟を光に向かって歩くと、

 目の前には壮大な荒野が広がり、

 その先に大きな要塞が見えた。


 ダンジョンを多少知る者なら、

 その要塞にボスがいることがわかる。


 そのボスを倒さないと、

 ゲートのロックが解除されず帰れないことも

 わかっている。


 ダンジョンを知らぬ者でも、

 その要塞に足を向けるしか

 なかった。



 洞窟から出て、

 荒野を少し行ったところで、

 多数の人間の遺体が発見された。



 すべての遺体に首がない——



 その荒野は、

 地獄と聞いて想像できる世界に

 一番近いのかもしれなかった。

 

 多数の遺体をあとに、

 さらに要塞に近いその場所で——。


 深手を負い、

 意識を失う氷河。


 氷河を回復させる伊安。


 そして——


 血を流し、

 膝をつきながら大きく息を切らす、


 剛海要の姿があった。

 


 

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