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地球まみれの宇宙人 ~体内ダンジョンに閉じ込められた最強侵略者が出ていってくれない~  作者: 鬼喜怪快


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15/29

15話 世界の裏側


 防星省・第6支部――

 毎週月曜日の定例ミーティング。


 この日のミーティングはいつもと趣向が違い、

 雷鳥副隊長が中心となり

 剛海副隊長と小隊長、

 あと数名の防星官だけが参加することとなった。


 重要なミーティングなのだとすぐに分かった。


 もちろん、

 笛は参加するように声がかかっていた。



 ミーティングの内容は、

 先日回収したベーダー星人の遺体に関してと——

 

 捕獲に成功した2体のベーダー星人に

 ついての話だった。

 

 

「研究班班長、調野《ちょうの》から報告を!」


「はい。

 先日回収したベーダー星人の死体と、

 捕獲したベーダー星人からわかったことですが、

 彼ら1体ずつの身体から複数の生物のDNAが

 検出されております。

 様々な生物が掛け合わされた生き物――

 我々はそう考えております」


「様々な生物が掛け合わされたとはなんだろう?

 1人の人間に、日本人、アメリカ人、フランス人などの

 DNAが混ざっている――

 といった考え方をすればいいのか?」


「いえ。

 地球人に、

 動物、昆虫、植物などが混ざっている――

 といった方が近いですね」


 

 全員が息を飲んだ。


 雷鳥は質問を続ける。


 

「神話などで出てくるキメラ……

 みたいなものか?」


「そうですね……

 地球の科学では

 絶対に混ざり合わせられないもの同士を、

 掛け合わせているように思われます」


「……」



 静まり返る中、調野は続けた。


 

「捕獲した2体のベーダー星人からは、

 片方が10種類、もう片方が8種類の

 DNAを検出しました」


「……どんな実験をすれば、

 そんなものが作れるんだ?」


「そしてここからの話がメインです。

 ベーダー星人のボスでありますが、

 彼に関しては24種のDNAが検出されております」


 

 ――沈黙が落ちる。


 

 そんな連中と、自分たちは戦っていた。


 そう考えれば、

 この沈黙も当然だった。


 

「捕獲した2体はどうしている?」


「2体は健康状態に問題ありません。

 しかし、

 相変わらず一言も発さずにおります」


「その2体は貴重な検体だ……

 生かしたまま、さまざまな情報を聞きとる。

 絶対に死なせてはいけない!」


「心得ております」


「遺体の研究を続けるんだ。

 わかったことがあればすぐに報告を――

 その結果は地球の……いや、

 この日本の貴重な力となるだろう」


「承知しました」


「我々は世界を信じない――

 2度と遅れをとったりなどするものか!

 この国は、この国のやり方で守り切る!」


 

 ベーダー星人のダンジョン発生時、

 日本は世界各国へ救援を要請した。


 しかし、

 手を差し伸べる国はひとつもなかった。


 そしてダンジョン攻略時、

 ベーダー星人のボスが放った言葉が、

 防星官たちをさらに震撼させた。


 

「一部の大国と呼ばれる地球の連中は、

 侵略者と結託し、人身売買や資源取引を

 行っている。

 そして宇宙の様々な情報を得ている。

 この場所に、我々ベーダー星人が現れることも

 世界の一部の連中は知っていたはずだ」


 その言葉が事実なら、

 一部の国は侵略者と裏で繋がり、

 すでに多くの情報や技術を得ていることになる。


 

 ——日本は、完全に出遅れている。


 

 世界協定では、

 宇宙人や侵略者との独自の交渉、

 及び捕虜として確保することは禁止されている。


 日本はこれまで、

 その決まりを馬鹿正直に守ってきた。


 だが——


 今回捕獲したベーダー星人は違う。


 彼らが持つ情報や技術は、

 この国に大きな変革をもたらすことになる。


 ——雷鳥は、そう睨んでいた。


 

 そんなミーティングの最中、

 笛の身体の中でブラッドが囁いた。


 

『ベーダー星人を2体、

 生け捕りにしたか……やはりな』


「今は話しかけないで……」


『俺の身体も気になるが……

 捕獲されている仲間に会いたい』


「無理よ……

 わたし程度じゃ勝手に入れない場所で

 監視されてるんだもん」


『会いたい……』


「無理だって!」


 

「虎落、どうした?」


 

 独り言を話していると思われたのか、

 氷河が不思議そうに尋ねてきた。


 

「なっ、なんでもない……です」


「また腹でも減って

 不機嫌になってるのかと思ったぜ。

 ファミレスでも行ってこいよ」


 一同爆笑――


 

「あははーっ」


 

 笛は笑顔を取り繕いながら、

 ブラッドと氷河への殺意だけを募らせていた。

 

 

 ――――――

 


「だから、仕事中は話しかけないでって

 言ってるでしょ!

 ベーダー星人ってバカなの!?」


「お前がいちいち反応しなければいいのだ。

 バカなのはお前ではないのか?」


「カッチーン!

 今の一言は許さないわよ!」


「なんだその効果音は?

 地球人は感情を音で表すのか……

 面白い、覚えておこう」


「あぁ!

 腹が立つ!

 どうしてこんなに腹が立つ奴が

 わたしの中で存在するのよ!」


 

 デスクに座りながら、苛立ちを隠せない笛。

 

 みんなが変なものを見るような目で

 見ている。


 その時——

  

 

「笛ちん」


「あぁん!」


「わたし……わたしだよ!」


 

 隣に木庭が立っていた。


 彼女は笛とブラッドの秘密を知る

 数少ない人物。

 

 もし周りにブラッドの真実を知られたら

 笛が研究対象にされることは免れない。

 

 木庭も友人としてそれだけは避けたい。

 

 その一心から、

 笛のことは誰にも告げず、

 秘密にしている。

 

 ただ―― 

 ブラッドの身体から取り出した輝く水を

 上官に未報告のまま紛失。


 そのうえ現在、

 その水を防星官の体内に

 投与した状況になっている。

 

 本件が明るみになると、

 木庭は一発解雇な上、 

 大犯罪者として時の人となる可能性を

 秘めている。

 

 そのため、

 自分を守るためにも笛を守らねばならない。


 何より、

 笛の経過観察はどうしても続けたい。

 

 友人でありながら、

 笛が信用しきっていない女――


 それが、木庭《きにわ》 奈留《なる》24歳だ。

  


「調野部長のマル秘報告書をハックして見てきた。

 DNAのこと、わたしには教えてくれなかったんだよ。

 ひどい上司よね、まったく!」


「あなたも隠し事いっぱいあるから

 責められないんじゃないの?」


「それ言っちゃう?

 まぁ、確かにそれはそうなんだけど……」


「で、何?」


「いやいや……呼んだの笛ちんだよ」


「あぁ、そうだったわね……」


 

 朝のミーティング後、

 笛は木庭に連絡をとっていた。

 その理由とは――


 

「うちの居候がね……

 捕獲してるベーダー星人と、

 自分の遺体を見たいって……」


「えぇ!」


「なんとか会わせてもらえないかしら?」


「むっ無理よ……。

 あそこ、すっごい厳重なんだよ!

 わたしなんかの顔じゃ、通してもらえないよ!」


「友達でしょ……?

 なんとかしてくれるよね?」


 

 笛の目は据わっていた。

 ブラッドが笛の身体の中から、

 ずーっと会わせろと言っているため

 ノイローゼ気味のようだ。


 その顔を見た木庭は、

 何かを察し——


 

「……頑張ってみる」


 

 とだけ呟いて、去っていった。




 

いつもお読みいただき、ありがとうございます!


笛とブラッドの騒がしい日々を、楽しんでいただけていますでしょうか?


物語はまだまだ続きます。

二人がこれからどんな騒動を巻き起こすのか、引き続きお楽しみいただければ嬉しいです。


少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると、大変励みになります。


今後ともよろしくお願いいたします!

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