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地球まみれの宇宙人 ~体内ダンジョンに閉じ込められた最強侵略者が出ていってくれない~  作者: 鬼喜怪快


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14/32

14話 任務完了



 笛たち4人を無事にダンジョンから

 脱出させた剛海小隊。


 行きも帰りも、

 敵の存在は確認できなかった。



「間地《かんち》くん、

 君はどう判断する?」


「そうですね。

 ダンジョン内にいた時から、

 侵略者の生命反応は感じられませんでした。

 ミルチャ星人のボス駆除は

 完了していると思います」


「ミルチャ星人ではない侵略者の死体が

 山のようにあった。

 あれはどう考える?」


「……。

 申し訳ありません。

 情けない話なのですが、

 想像すらつきません」


 

 剛海からすれば、

 多くの謎が残されたままだった。


 しかし、

 この異様な状況下で

 部下が全員生き延びていてくれたことが

 何よりも嬉しかったのは事実。

 

 彼女は、

 状況確認よりも仲間の命を優先し、

 速やかな撤収を決断したのだった。



「陀折《たおれ》」


「はっ、はいっ!」


「ブレイキットでゲートの破壊を頼む」


「よろしいのですか!?

 もしボスがいたら、

 またゲートをこじ開けられて侵入を

 許すことになりますよ」


「……おそらく、

 このダンジョンにボスはもういないと思う」


「!」


「責任はわたしが持つ!」


「かしこまりました」

 


 ——————



 第6支部に戻ってから、

 氷河と影井は救急班の手によって

 速やかに回復治療を受け、

 無事意識を取り戻した。


 伊安に関しては、

 笛に腹を殴られた程度だったため

 ほぼ無傷の帰還となった。



 一方、笛は——


 ダントツの重症だった。


 全身に無数の傷があり、

 筋肉や腱の断裂も随所に確認された。


 五感共有を切った状態を

 長時間維持することは不可能なため、

 すでに身体のダメージは笛に伝わった。


 死んだフリのはずが、

 本当に死ぬほどの痛みを

 味わうことになったのだ。


 あまりの痛みに

 一瞬で意識を失うことができたことが、

 笛にとっては不幸中の幸いだった。



 ——————



 笛は全身に

 心地よい温かさを覚えて目が醒めた。



 この感覚は、

 回復を受けている時の感覚。


 笛は彼女の身体を

 回復させている者が誰か、

 一瞬で理解できた。



 ——伊安。



 あれほど痛かった患部から、

 痛みがまったく感じられない。



「伊安……」


「よかった。

 気がついたのね、笛」



 伊安は同期だが、

 笛たちより学年が1つ上に当たる。


 それもあって、

 笛たちの中でまとめ役となっている。



「伊安が回復についてくれてるだなんて

 ラッキーね。

 第6支部の回復官の中で

 細胞復元の丁寧さではTOP3に入るほどだものね」


「買い被り過ぎだよ」



 ふたりは顔を合わせて笑い合った。



「絶対に全滅だと思った……」


「うん……」


「笛にお腹を殴られるまでは……」


「……」



 あのダンジョンの中での真実は

 笛以外誰も知らない。


 コーアン星人は地球では未知の宇宙人だった。


 

「あの恐ろしい侵略者がミルチャ星人と

 同格の侵略者だって登録されたみたい」


「うん」

 

「侵略者同士の争いに

 第6支部が巻き込まれたものとして

 本部では纏められるって」


「そっか……」


「あいつらが手も足も出せないほどの

 力を持っていた侵略者だって説明しても

 誰も信じてくれない」


 

 それは当然のことだった。

 

 それならばどうしてみんな生き残れたのか?

 という話になるからだ。



「それは残念ね。

 でもみんな生きて帰って来られた……

 わたしはそれが一番だと思うよ」


「……わたしはね」


「?」


「わたしは……。

 笛が助けてくれたんじゃないかって

 思ってる」


「!」


「笛が……

 わたしのお腹殴るだなんて、

 あの時点から考えられない出来事だもん」


「あははっ。

 わたしも冷静じゃなかったから、

 全然覚えてないのよ。

 お腹殴ったのわたし?

 ごめんねぇ!」


「……」


「わたしも気を失っていたからさ。

 よくわからないけど、

 きっとあいつらはミルチャ星人と

 相討ちになったのよ」


「そんなの絶対に違う。

 ……と思う」


「でも、

 わたしは本当になにもしてないよ」


「……うん。

 ごめんね、変なこと言って。

 自分の中でどうしても

 理解できないことだったから、

 どうしても自分なりの答えが欲しかったの」


「ふふっ。

 伊安らしいね。

 分析官のわたしなんて、ほら——

 なんとか生き残れて

 あなたに回復されているほどなんだから」


「……だね」


「だよ」


「でも……」


「!?」


「笛はわたしの中の英雄……」


「?」


「そう思うのはわたしの勝手だしさ」


「英雄って……

 なんかすごいプレッシャーだよ」


「あなたほどの目は持っていないけど、

 同期で笛と流花《るか》は

 ずっと別格だと思ってたから……」


「それこそ買い被り過ぎだって」



 伊安は笛を回復させながら、

 手を握った。



「これはただの勘違いの独り言……」


「?」

 

「笛はきっとわたしたちの命の恩人。

 本当にありがとう」


「……独り言じゃ仕方ないよね。

 聞き流しておくか」



 ふたりは笑い合った。


 そして笛は伊安のおかげで、

 翌日には職務復帰できるくらいの

 回復を見せたのだった。



 ——————



 防星省・第6支部――

 毎週月曜日の定例ミーティングが行われていた。

 

 雷鳥副隊長が中心となって

 ミーティングは進められていく。


 その日の議題は、

 ミルチャ星人とコーアン星人のダンジョンに

 ついての話ではなく——


 先日の国家滅亡レベルのダンジョンで

 回収された、

 ベーダー星人の遺体の取り扱いと——

 

 極秘裏に捕獲に成功し、

 厳重な監視下に置かれている

 2体のベーダー星人についての話だった。

  


 

  

 

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