表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/59

52話 救出

登場人物の番号と種族

14209番(主人公)

14210番(狐獣人)

11054番(女エルフ)

13882番(人間・少女)

07241番(熊獣人)

08511番(女竜人)

 遠距離型スケルトンの一群を強行突破した俺たちは、第28班を避難させた大木へとたどり着いた。

「お願い! 彼を前に立たせないで!! このままじゃ死んじゃうわっ!」

「黙ってろっ! この骨ども相手に、動けるのは俺しかいねぇんだぞ! せめて壁の役目くらいやってみせろっ!」

 近づくにつれ、女性の悲鳴混じりの懇願と、男の荒々しい怒声が耳に飛び込んでくる。

「───これが、勇者だって……?」

 第28班を目視できる距離まで接近した俺の口から、驚愕と落胆の入り混じった言葉が漏れた。

 視界に入ったのは酷い光景だった。ボロボロの盾を持ったサイ獣人が、身体のあちこちから血を流し、フラフラになりながらも勇者を庇うようにスケルトンの攻撃を防ぎ続けている。

 

「どうして……どうして魔法が上手く発動しないのよっ!」

 満身創痍のサイ獣人に、悲鳴のような叫び声を上げながら聖女が回復魔法を唱えている。しかし、その手から放たれる光は弱々しい。

「お前も回復魔法ひとつまともに出せてねぇんだ! ナイフの一本でも持って、骨どもと戦った方がまだ役に立つぞっ!」

「……それなら勇者サマ、その手に持った聖剣で、目の前のスケルトンを早く片付けてくれないかな。さっきから再生されてばかりじゃないか」

 勇者が聖女へと罵声を浴びせ、それを見かねた魔法使いが冷徹な言葉を投げ返す。自分達の命の危機だというのに、彼らの連携は完全に崩壊していた。

「14209番。オレが知る勇者ってヤツは、どいつもあんな感じだ」

「私の世界の勇者は、あんなじゃなかったわね」

 俺の呟きに、女竜人が酷く冷めた視線を向けながら同意し、女エルフは戦闘モードを維持したまま、自身の世界の英雄を思い出すかのように呟いた。

「なんにせよ、あのままでは28班は全滅だ。早急に群れを排除せねば……」

「ですが、28班の近くにいる近接型スケルトン数体は、さらに『成長』を果たしているようです」

「あのままじゃ、みんな死んじゃいます……」

 空気を引き締めるように熊獣人が重々しく口を開き、狐獣人が観察して見えたものを告げる。少女は28班の姿を見て、悲しそうに眉をひそめた。

「一気に距離を詰めて、合流するしかないか」

「07241番。アイツらまでの道を開く役、オレに任せてくんねぇか?」

 爪付きガントレットシールドを構えた熊獣人に、女竜人が苛立ちを隠せない様子で提案した。

「……そんな顔で凄まれては、止める言葉も見つからないな。いいだろう、突破口を開くのは08511番に任せる。俺たちは全力で28班の救援に回るぞ」

 熊獣人は女竜人の怒りに満ちた表情を見て苦笑し、すぐに視線を引き締めた。

「感謝するぜ、07241番。全員、遅れんなよ……っ!!!」

 女竜人は僅かに表情を緩め、不敵に口元を歪めると、腰を深く落とした。強靭な尾を地面につけ、バネのようにしならせる。──次の瞬間、爆発と見紛うほどの爆音とともに、彼女の身体が前方へと弾け飛んだ。

「うぉおおおらあぁああっ!!!」

「続けっ!!!」

 女竜人の咆哮が戦場に轟く。熊獣人の鋭い指示に合わせ、俺たちは彼女の後ろを全速力で駆けた。

 

 前方を突き進む女竜人の破壊力は凄まじかった。彼女が通り過ぎた跡は、まるで台風が直撃したかのように骨の破片が撒き散らされている。女竜人は大剣を二刀へと分離させ、周囲のスケルトンを文字通り巻き込み、粉砕しながら突き進む。その執念に満ちた軌跡は、満身創痍のサイ獣人の元へと一直線に伸びていた。

 俺は彼女が蹴散らしたスケルトンの残骸を一瞥しながら走る。その時、激しく破壊されたはずの一体が、異常な速度で肉体を再構成していくのが目に入った。

 同時に、先ほど見えた「光る糸」の正体を鮮明に見ることができた。

(あれは……植物のツタだ! 光って見えたのは、表面の粘液が光を反射したからか……っ!?)

 

 確信を得るのとほぼ同時に、女竜人が第28班の元へと到達した。限界を迎えていたサイ獣人の身体が、安全な大木の洞の中へと引き入れられるのが見える。

 俺たちが合流するわずかな時間、女竜人は一人で木の周囲にいたスケルトンをことごとく壊滅させてみせた。

「28班はすぐに動く準備をしろ!! ここから離れる!!」

 合流直後、俺が放った遮二無二な怒号に、28班の面々は戸惑いの表情を浮かべた。しかし、俺の目を見た32班の仲間たちは何かを察し、即座に行動を開始する。動けない28班の負傷者に肩を貸し、あるいは背へと担ぎ上げた。

「てめぇ、いきなり現れて何言ってんだ!?」

「ここで死にたくなきゃ言う通りにしろ、クソ勇者っ!!」

 詰め寄ろうとしてきた28班の勇者の手を力任せに振り払い、怒鳴りつける。

「スケルトンの『本体』が分かった! みんなは28班を安全圏まで避難させたら、すぐに合流を!!」

 俺の言葉を合図に、仲間たちは地下通路へと向かって一斉に走り出した。

今回も読んで頂きありがとうございます!(´▽`)

読者の皆様に、楽しんで頂けたら幸いです。

数日以内に次回を投稿する予定です!


「面白かった」「次回も読みたい」と思われたら評価、ブックマークをお願いします!

感想もお待ちしてます!

皆様の反応をモチベーションにして頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ