47話 合流
登場人物の番号と種族
14209番(主人公)
14210番(狐獣人)
11054番(女エルフ)
13882番(人間・少女)
07241番(熊獣人)
08511番(女竜人)
通路の出口へと近づくに連れて、外からの白い光が強く差し込んできた。
それと同時に、鼓膜を激しく叩くのは金属同士が激しくぶつかり合う緊迫した音。
「外に出るぞ! 外の光に目が慣れるまでは派手に動き回るなよっ!」
松明を手にしたまま前を走る熊獣人から、大きく鋭い声で注意が飛ぶ。
松明が照らす暗闇に慣れきっていた俺たちは、その言葉を合図にまばゆい光の中へと飛び出した。
真上へと登り詰めた太陽の光が、容赦なく俺たちの視界を奪う。数秒だろうか、あるいは十数秒だろうか。あまりの眩しさに目の前が白く染まり、視界が完全に戻るまでの時間が酷く長く感じられた。
「やぁっ!!」
鋭い狐獣人の掛け声と共に、再び硬質な金属音が響く。
周囲から巻き起こる交戦音が耳に届く中、ようやく俺の目が光に馴染み、周囲の光景をはっきりと認識することができた。
「下ろすよ。足元に気をつけて」
俺は腕の中に抱きかかえていた第28班の魔法使い(10089番)を地面へとそっと下ろすと、すぐさま腰に差した細剣の柄に手をかけ、素早く周囲へと視線を走らせる。
視線の先では、第28班の四人が必死の防戦を繰り広げていた。俺たち第32班からは、既に狐獣人が彼らへと合流している。
彼らを取り囲んでいるのは、泥と土に汚れ、ボロボロになった衣服や激しく傷ついた錆びた鎧を身にまとった複数の骸骨――スケルトンの一群だった。骨の節々を軋ませながら、執拗に28班のメンバーへと襲いかかっている。
「おい、狐(14210番)! テメェどうにか出来ねぇのかよっ!」
「……うるさい人ですね。貴方のその手に握られている剣は、ただの飾りですか?」
ボロボロになり、くすんだ色をした鎧を身に纏う男が、必死の形相で狐獣人へと八つ当たり気味に文句をぶつけていた。それに対し、どこまでも冷徹な瞳で見下ろしながら言い返す狐獣人の声が、冷ややかに耳に届く。あの男が、第28班の『勇者』か。
「相手はスケルトンか……。兵士タイプ以外は武器を持っていないが、油断するなよ!」
「了解!」
「わ、分かりましたっ……!」
「うっしゃあ! いっちょ、派手にお披露目と行こうかっ!!」
熊獣人の鋭い指示に俺たちがそれぞれ応じる中、女竜人が巨大な大剣を肩に担ぎ直してその場で二度、トントンと軽くステップを踏んで足場の感触を確かめると、その唇を凶悪な笑みへと歪め、第28班と狐獣人を取り囲むスケルトン達を目がけて爆発的なスピードで駆け出した。
文字通り一瞬で敵陣へと肉薄した女竜人は、大剣を上段から一気に振り下ろす。
『ドゴン!』という、地鳴りのような爆音とともに、重い鉄の塊が地面を激しく粉砕した。
「11054番! スケルトンの周囲に、他に隠れている敵はいるか!!」
熊獣人が頭頂部の小さな耳を激しく動かしながら叫ぶ。
すると、通路の入口付近にそびえ立っていた大きな木の上へと跳んでいた女エルフが、音もなく飛び降りてきた。ストンと、まるで猫のように綺麗でしなやかな着地を決める。
「いいえ。スケルトン十体以外、付近に怪しい敵影はなし。……第28班の状況は、負傷者が二名。回復に専念しているのが『聖女』。14210番に文句を言っているのが『勇者』ね」
完全に戦闘モードへと切り替わった女エルフの口から、普段の間延びした声は消え失せていた。極めてキリッとした、冷静な分析が報告される。
「早めに彼らを助け出そう。13882番、身体強化をお願いできるかな?」
「は、はいっ!! 『フィジカル・ブースト』!」
俺は細剣を握る右手に力を込め、グッと気合を入れた。
少女から放たれた身体強化魔法が染み込んでくると、身体の内側から脈打つような力が湧き出てくる感覚がやってくる。よし、行ける。
そのまま一歩を踏み出し、28班を囲むスケルトンへと躍り出ようとしたその瞬間、俺の両肩が後ろから優しく掴まれた。
「14209番〜。あんまり、その剣の力は使わないようにね〜?」
振り返ると、そこには少しだけ心配そうな、いつもの間延びした声に戻った女エルフが佇んでいた。俺の武器の特性を見抜いている彼女の気遣いに小さく頷くと、今度は熊獣人が俺の背中をパチンと叩き、力強く頷いてみせた。
「第32班、これより第28班と合流、スケルトン掃討戦へと移行する!『グオオオオオオオッ!!!!』」
熊獣人はいつものように、戦場全体に響き渡る圧倒的な咆哮で行動指示を出した。
その凄まじい大音量に、第28班を取り囲んでいたスケルトンたちが一斉にガタガタと骨を鳴らし、俺たちの方へと空洞の眼窩を向け、一斉に駆け出してくる。
(まずは第28班をこの窮地から救出する。場合によっては、彼らだけでも先に撤退させるべきか……)
俺は頭の中で戦闘後のシミュレーションを巡らせながら、こちらへと迫りくるスケルトンの群れを、鋭く睨み据えた。
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