29話 拳を合わせて
登場人物の番号と種族
14209番(主人公)
14210番(狐獣人)
11054番(女エルフ)
13882番(人間・少女)
07241番(熊獣人)
08511番(女竜人)
宿を出た俺たちは、パーティーを二つに分けて行動を開始した。
「俺たちはさっそく王都の外へ狩りへ向かう。何が起きるか分からん世界だからな、お互い十分に気をつけよう」
熊獣人がそう言って俺たちの顔を見渡す。
「……ボ、ボクたちより、危険度ではそちらの方が上のような気がします……」
少女の控えめな指摘に、女竜人も腕を組んで頷いた。
「そうだぜ。単純な戦闘のリスクならそっちが上だ。油断せずに行けよ」
「うふふ。確かに危険度だけで見たらそうかもね〜。だ〜け〜ど〜、捜索班はあなた達三人しか戦える人がいないってこと、忘れないようにねぇ〜」
女エルフが人差し指を立てて、俺たちに釘を刺す。
「11054番(女エルフ)の言う通りだね。捜索班は俺たち三人しか戦闘要員がいない上に、俺たちはこの世界の魔力ってやつに身体が馴染みきってない。お互い万全じゃないんだ、無理だけはしないで行こう」
俺は「生きて戻ろう」という意味を込めて、右手の拳を前に突き出した。
すると、熊獣人がその意図を察したように、自身の大きな拳をゴツンと合わせてくれた。
「14209番の世界にも、この挨拶があるんだな?」
「07241番の世界と同じかは分からないけど、俺の世界では互いの健闘を称え合う時にやるんだ」
「あぁ。なら、全く同じだ」
俺と熊獣人のやり取りを見ていた皆も、それぞれに笑みを浮かべて拳を突き出し、中央で合わせる。
「では、皆さん気をつけて行きましょう」
狐獣人の静かな声を合図に、二つに別れた俺たちのパーティーは、それぞれ歩き出した。
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「エリクさん、おはようございます」
巨大ネズミのいた屋敷へと到着した俺、女竜人、少女の三人は、門の前で兵士たちに指示を出していたエリクさんに声をかけた。
「やぁ、待っていたよ!……おや? 他の三人はどうしたんだい?」
エリクさんは俺たちに気づいて手を挙げたが、人数が半分になっていることに気づいて辺りを見回した。
「他の三人は食料確保のために王都の外へ魔獣を狩りに行った。ここの生存者捜索は、オレたち三人が受け持つ」
女竜人が大剣の柄に手を置きながら答えると、エリクさんは納得したように数回頷いた。すぐに忙しなく動く兵士たちの中から、今回の捜索に同行する人員を呼び集める。
「この区画の地図を持ってきた。今日はまず西側――あの避難民たちが住んでいたエリアの捜索を行うよ。全員が避難できたとは限らないし、もしかしたらまだ隠れている人がいるかもしれない。慎重に、かつ迅速にこのエリアを調べよう。時間に余裕があれば東側にも足を伸ばしてみたい」
エリクさんは木箱の蓋を机代わりにし、避難民たちの住む区画の地図を広げた。そして指先でなぞりながら、本日の捜索範囲を示していく。
「……あの、ボクたちが先に建物の安全を確認していきますので、確認が終わった建物から兵士の皆さんに調べてもらう、というのはどうでしょうか……?」
俺と女竜人の後ろに隠れるように立っていた少女が、少し緊張した面持ちでエリクさんに提案した。
「いい案だな。オレたちが先行して安全を確保した建物には、入り口に目印の印をつけていく。兵士たちはそれを見て順に中を捜索していく、ってのはどうだ?」
女竜人が少女の提案を実戦向けに補強する。
エリクさんは「素晴らしい。配慮に感謝するよ。安全確保は君たちに一任する」と真剣な顔で応じると、すぐに部下たちへ伝達した。
それから十分ほど経った頃だろうか。今回動員されたおよそ三十人の兵士たちが、俺たちの前に整列した。
「それじゃあ第32班、頼んだよ!」
エリクさんの力強い声が響く。
その声を合図に、俺たちは静まり返った無人の街へと、生存者を求めて足を踏み出した。
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