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13話 任務からの帰還

本日も更新しました。

 俺達は王都に向けて歩いていた。

「14209番、腕の感覚は戻りましたか?」

狐獣人は心配そうな顔で俺の腕をマッサージしながら聞いてきた。

「もう30分はマッサージしてくれてるだろ?ありがとう、もう大丈夫だ。」

俺は少し不満そうにしている狐獣人の頭をポンポンと撫でる。

「ボクたち、出会ったばかりなのに……、2人はとても、仲が良さそうですね」

「ホントの兄妹みたいに見えるわ〜」

俺の後ろを歩く少女の言葉に女エルフも賛同する。

「俺ら全員がピリピリするよりマシだ。それぞれにダメージはあるが1番身体にかかった負荷がデカイのは14209番だからな。14210番の心配もわかる」

1番前を歩くゴブリンの死体を担いだ熊獣人がこちらを振り向かずにそう言った。

 俺は左腰に下げた細剣の柄を左手で触る。

(こう触っても針を刺されるような痛みとかはないんだよな)

撫でたり軽く左手で柄を握ったりしてみても特になんの反応もない。

おそらく何かしらのトリガーになるものがあるのだろう。

思案に耽る俺に女竜人が話しかけてきた。

「なぁ、14209番。その細剣少し触らせてもらってもいいか?」

俺は「気をつけろよ」とだけ告げると間に合わせの鞘に入れた細剣を女竜人に渡す。

 俺はここで女竜人をしっかりと見た。

燃えるような赤と透き通るような水色の混ざりあったロングウルフ。

耳はヒレのようになっており、細剣を色んな角度から眺めている瞳は切れ長の赤い瞳で強気な印象を受ける。

両手の指は4本で腰からはしなやかな竜の尾が伸びていて硬そうな竜鱗に覆われ、逆関節の脚はとても鋭い爪が伸びていた。

(ゴブリンとの戦闘中はしっかり見る余裕なんてなかったが、女エルフとは別ベクトルの綺麗な顔をしてるよなぁ)

 そんなこと考えていると女竜人が訝しげな表情で俺を見た。

「そんなにオレを見てどうしたんだ?」

「14209番は、あたし達異種族を見慣れていないんです。」

狐獣人が尻尾をゆらゆらと振りながら女竜人に答える。

「ふーん、そんなヤツもいるんだな。細剣は返すよ。どうやら14209番じゃないと力を発揮できないみたいだ。」

 細剣を受け取り腰に下げると、遠くに野生動物のような影がみえた。

「なぁ、あの動物を狩って王都に持ち帰ったら少しは住民の食料の足しにならないかな?」

 俺は宿の飯を思い出してそんなことを言うと、女エルフが静かに弓を番えるとそのまま射る。

矢はまっすぐ飛んでいき動物の脳天に当たるとそのままドサリと倒れた。

「野生動物が王都に近いこの辺りにいたんだもの〜。狩りなんてきっとできてないわよね?」

女エルフはそう言うとウィンクをして動物を回収しに向かう。

「ボクも手伝います!」

 女エルフと少女が回収してきたのは大型のイノシシのような動物だった。

 視界には王都の門壁が見えていたからそのまま運び込むことにした。

「オレが持つよ。ゴブリン相手には何も出来なかったんだ。せめてこんくらいはやらせてくれ」

女竜人はそういうと軽々とイノシシもどきを持ち上げた。

「この世界の野生動物の名前も覚えなきゃな…、知らないことだらけだ」

 俺は1人ボヤくと狐獣人の方を見る。

(08511番のパーティーも背負い袋を持ってて助かった。せめて彼らの遺品だけでも回収出来たんだからな)

狐獣人が背負っている袋の中には、女竜人の亡くなった仲間の遺品を回収して詰めていた。

 その中に魔石が4つあるが、これは遺品回収中に女エルフが見つけたもので亡くなった勇者達の心臓が変質したものと思われ、処刑された勇者のものらしい魔石も見つかった。

(死んだ勇者の心臓は魔石になる、か。元の世界のドッグタグみたいなものなのかな)


「さぁ、到着だ。俺らは自分達の無事を喜ぼうじゃないか」

熊獣人の声で正面を見るともう門が目の前の所まで来ていた。

────────────

「第32班、任務達成報告のため帰還した!」

熊獣人が城壁の上にいる兵士に大声で叫ぶと門が開けられた。

 門を潜るとなぜか周りが騒がしく、遠目で俺たちを信じられないものを見るような目で見てくる人達や泣いている人達が見えた。

「彼等の反応に気を悪くしないでくれ。外に出た勇者がまた戻ってきたのは初めてのことなんだ」

 リブラの価値を教えてくれた人の良さそうな兵士が近くに来ていて話しかけてきた。

「さ、任務の報告を受けよう。こっちへ来てくれ」

人の良さそうな兵士の後ろをついて行くと、役所の受付のようなカウンターのある建物の中に入った。

「ここに達成証明部位と他に見つけたものがあれば提出してくれ。そのフォレスト・ボアはデカすぎるな。少し待ってくれ」

人の良さそうな兵士はそう言うとカウンターの奥に声をかけた。

 カウンターの奥からエプロンをした体格のいい男が数人現れると、狂喜乱舞しながら猪を持ち上げると奥に消えていった。

「ここに野生動物が運び込まれる日がくるなんてね。彼らは専門の解体士でここに城壁の外から動物が持ち込まれるのは初めてなんだ。この王国の中で家畜は育ててるけどそれでも数は少なくてね。動物は奥で解体されて街に肉が出回る仕組みさ」

奥を見つめる俺に人の良さそうな兵士が解説してくれる。

 狐獣人が勇者達の遺品をカウンターに載せるのを見ていた熊獣人が人の良さそうな兵士に声をかける。

「すまない、ゴブリンの討伐証明部位がどこを取ればいいのかわからなかったため全部持ってきたんだが……」

頭を鷲掴みにして持ち上げる熊獣人。

 ゴブリンの死体は切り落とされた右腕や指まで、全部持ってきていた。

「は、ははは、部位どころか全身持ってこられるとはね……。君たちは、こんなのと戦ってきたのか……」

人の良さそうな兵士は震える声でそういうと、その場にストンと腰を抜かし周囲の人達は悲鳴をあげた。

今回も読んで頂きありがとうございます!(´▽`)

読者の皆様に、楽しんで頂けたら幸いです。

数日以内に次回を投稿する予定です!


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