11話 死闘の決着
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俺の腕から血液検査の時と同じ血液が体内から抜き出されるような違和感を感じるのと同時に俺の頭の中は冴え渡っていた。
(よし!目までは流石に頑丈にできてないようだな)
俺は細剣をゴブリンから距離をとると「ズルルルルッ!!」と勢いよく伸びた細剣を引き抜き元に戻す。
細剣の刀身にはゴブリンの目玉が貫かれており、ゴブリンは煙幕の外からでもわかるほどに痛みで暴れていた。
(このゴブリンは自分の体を切り裂かれるような痛みを受けたことはないだろうしなぁ)
「14209番!このまま、続きますっ!!」
狐獣人が俺と入れ替わりで煙幕の中に入りゴブリンと戦闘する音が聞こえてきた。
「13882番!!物陰に避難させている生き残りの回復を!」
「は、はいっ」
少女に女戦士の回復の指示を飛ばし細剣を振るう。
ゴブリンが棍棒を振るう度に徐々に煙幕の煙が散っていき、ゴブリンと狐獣人の影が見えた。
「14210番!交代だ!そのまま07241番と11054番の保護たのめるか!?13882番の所まで連れて行ってくれ!」
「わかりっ!ました!」
狐獣人は棍棒をしゃがんで避けるとそのままゴブリンの脇を通り過ぎ2人の方へはしっていった。
「次は俺だ!」
「ゲギャッ!!」
俺の声に反応したゴブリンは失った左目から血を流しながらこちらを見るとかつての遊びのような余裕は消え失せ、憤怒の表情をしていた。
「遊びは終わりか?!」
細剣をゴブリンの棍棒を持つ右腕に向けて振るう。
ゴブリンは棍棒で下から打ち上げるようにして細剣を弾くと、左手を握りしめ殴りかかってくる。
(ここ!)
頭の中に「こう動けばいける!」という直感のような閃きが発生すると同時に、再び右腕に激痛が走り細剣の刀身がシャラシャラと音を立て伸びる。
そのまま右腕に細剣が巻き付くとギャリギャリと不快な感触が細剣越しに伝わってきた。
(右腕に絡んだ!)
「ギャ!?」
ゴブリンは殴るのをやめて右腕に絡んだ刀身を外そうとした。
その瞬間に俺は思いっきり引っ張り、細剣の等身を元に戻すイメージをする。
すると、ギャリギャリとした不快な感覚はゴリゴリとしたより不快な感覚に変わり、ドサリという音が聞こえると刀身は元に戻った。
「ギャ!ゲキャアアあああああぁ!!!!」
この戦いで聞いたこともない悲鳴が響き煙幕が晴れると、ゴブリンは右腕と左手の指を失い痛みに悶え苦しんでいた。
「あぁ……、嘘、、、だろ?」
後ろから声が聞こえた。
ゴブリンの方を警戒しながらチラと後ろを見やると女戦士が信じられないような目でこちらを見ていた。
「アンタ!まだ行けるか!!」
俺は女戦士に問いかけると「あ、あぁ!」という驚きが抜けきれない様子の返答が聞こえてきた。
「13882番!2人の様子は!?」
「え、えっと、2人とも無事です!あぁ!」
少女に熊獣人と女エルフのことを聞くと大声で報告をしてくれたあと驚きの声が聞こえた。
「くそ、気をやっちまうとは情けねぇ……」
「魔力が安定しない状態で戦うのは少し無謀だったかしらー?」
熊獣人と女エルフの声が聞こえてきた。
さっきの驚きはこの2人が目を覚ましたことに対するものだろう。
(よし、このパーティーの損失は無し!)
2人が無事だったことに安堵した瞬間。
「前!!!」
狐獣人の声が聞こえると同時に「ズドン!」と俺の腹にゴブリンの蹴りが入っていた。
俺が装備していた胴鎧が砕け、「ミシリ」という音が体内に響く。
(こいつから目を離して無かったはず!全然見え無かった!)
「ガハッ!!」
俺はそのまま後ろに吹き飛び頭から瓦礫へとぶつかりそうになる。
「フゥン!!」
熊獣人が俺を受け止め、
「風よ!」
女エルフが脂汗を流しながら風を起こし、
「ヒール!ブースト!!」
少女が俺に向け回復魔法を使ってくれた。
吹き飛んだ俺の勢いは完全に殺され、腹部の激痛も引いていく。
「皆、ありがとう……いてて」
3人に感謝し、熊獣人に支えながら立ち上がる。
「14209番!大丈夫?!ですか!?」
ゴブリンの方から狐獣人の声が聞こえる。
時間稼ぎをしてくれていたようだ。
狐獣人に「ああ!」と返事をして俺はゴブリンの元へ走る。
「ゴブリン、動き鈍いです!」
狐獣人の隣に並ぶとゴブリンの状態を教えてくれた。
言葉通り、俺に蹴りを入れた時が最速だった気がする。
ゴブリンを注視すると指の無くなった左手で右腕を抑えているがダラダラと血は流れ続けており、少しフラフラしているように見える。
「俺がもう一度当たる。相手の動きは11054番、妨害できそうか?」
熊獣人が盾を構えながら言い、女エルフに問いかける。
「んー、傷口に矢を当てれればなんとかってかしらね〜?たださっき攻撃を避け損ねた時に衝撃で矢筒が落ちちゃって、ゴブリンの向こう側にあるのよねぇ……」
女エルフが渋い顔をしていると、狐獣人が言うのと同時に走る。
「あたしが、取ってきます」
狐獣人の動きに合わせるように熊獣人が動く。
「グオオオ!」
熊獣人の雄叫びにゴブリンが引き付けられる。
ゴブリンは残った左腕を熊獣人に叩きつけるが、
「させねぇ!」
俺が熊獣人の後ろから細剣を振り刀身を伸ばす。
(俺の意思に合わせるように動いてくれるが、クソ!右腕が熱いっ、頭もクラクラしてきた……)
刀身を伸ばす毎に腕が熱を持ち激痛と共に血が抜かれるような感覚に陥り、貧血のような状態になっているように感じる。
ゴブリンは刀身を目視すると流石に警戒したか距離を取ろうとする。
「11054番!取ってくださいっ!!」
狐獣人の声とともに女エルフに矢筒が投げられる。
女エルフはそれを受け取るとすぐに矢を取り出し、弓にした二刀に番え引き絞るとゴブリンに向け放つ。
「ウインド!」
少女が魔法を放ち、矢の速度をさらにあげる。
矢は距離を取るために飛び上がったゴブリンの失われた左目に深く突き刺さった。
「うらぁ!!」
息を潜めて動いていた女戦士がゴブリンに斬り掛かる。
ゴブリンは反射的に左腕で女戦士の攻撃を防ぐ。
「どおおおっせえええいいいっ!!!」
熊獣人も大盾を振りかぶると縁で叩くように振り下ろす。
「ギャ!!」
ゴブリンは口で大盾の刃を防いだ。
「14209番!!今だ!」
熊獣人の声で俺も力を振り絞り細剣を振るう。
(こいつで仕留めるっ!!!)
「ズグン」と細剣の持ち手が脈動したような感覚がすると、今までよりもさらに早く刀身が伸びてゴブリンの僅かに開いた口に入り込む。
「ぜあああああ!!!」
俺は右腕の痛みに耐えるように左手で抑えて雄叫びをあげた。
細剣は俺の意思を組むように口の中から頭蓋の方へ内側を切り刻みながら伸びてやがてゴブリンの顔から血がドバっと溢れた。
「動きが、、止まった?」
女戦士が呟きに皆がゴブリンを注視する。
ゴブリンは全身から力が抜けていて女戦士の大剣を防いだ右腕も、大盾の刃を防いだ口もだらんとしていた。
「ぐっ!せぇい!」
俺は痛み耐えながら細剣を元に戻す。
ゴブリンはその場にドサリと倒れ、俺たちの任務状況が更新されたのか視界に任務画面が表示される。
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任務
王都近郊の草原でゴブリンを倒す
達成条件:1体
現在 :1体
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俺たちは任務を達成したようだ。
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