10話 死闘
2話目!
「グオオオオ!!」
熊獣人が咆哮を上げ、ゴブリンのパンチを受け止める。
足を踏ん張り衝撃を耐えるが、後ろにズリズリと押し込まれていた。
「硬いっ、、、!」
狐獣人もあれから何度か短槍の大穂先をゴブリンに突き立てているが、左手に持った棍棒で弾かれたり当たったとしてもかすり傷程度のダメージしか与えられていない。
「こんなに攻撃してるのに有効打にならないなんて…」
女エルフがそう口にしながら弓を引き絞る。
その手に矢は握られていなかったが、
「マジックアロー!」
その声と共に弓を引き絞る右手にゆらゆらと陽炎のようなモヤを纏った半透明の矢が現れた。
「え…?嘘でしょ…。矢が安定、しない…っ」
女エルフはその状態でしばらく動かなかったが、深呼吸をすると矢を放った。
ゴブリンに当たった矢は貫通するでもなく水が無かったかのように弾けて消えていく。
「07241番!ダメだわ!魔力が安定しないの!13882番、次のバフかけれそう!?」
「ボクも魔法がちゃんと発動しなくて…!!ごめんなさい!」
女エルフの声に少女が謝りながら腰に下げた小袋から黄色と紫色の小石を取り出し腕輪にはめた。
「ロックウォール!ポイズンミスト!」
少女が魔法を発動すると、腕輪にはめた小石が砕け散る。
「やっぱり…だめ、、、でも、ボクが皆さんを支えなきゃ…!」
ゴブリン足元の土が質感を変え盛り上がる。
いきなり盛り上がって来た地面に驚きそのまま後ろに転んだゴブリンの顔に紫色の煙がまとわりつく。
「ゲギャッ!?」
ゴブリンは息苦しそうに喉元を抑えもがき出した。
「ぬぉおおおお!!!」
先に戦闘していたパーティーの生き残りの戦士がゴブリンに斬り掛かる。
ゴブリンは苦しみながら起き上がり、 大剣を避けると一瞬俺をチラと見るとこっちに目掛けて戦士を蹴飛ばした。
「うわあああぁ!?」
俺は蹴飛ばされた戦士を避けることも受け止めることもできず巻き込まれて数m転がる。
「ゲホッ!ガハッ!!ん?なんだ、、、これ、、」
身体に襲い掛かる衝撃が凄まじく咳き込みながら身体を起こすと、少しヌチャリとした感触のものが左手に触れ、それを見た。
(!?)
それは、先程逃走したことで刻印が爆発し処刑された勇者の肉片だった。
周囲を見ると足や手などの部位が散らばっている。
俺の方に蹴飛ばされた戦士は気を失っていた。
(女の人、、!?)
ヒレっぽい耳に腰から伸びる鱗に包まれた尾。
戦士は異種族の女性だった。
俺は立ち上がり、爆死した勇者の周辺を見て回った。
おそらく勇者が持っていた武器がどこかに落ちているだろうと思ったからだ。
武器はすぐに見つかった。
見た目はカッターナイフの刃のような線が入っている刀身の細剣だった。
俺はその細剣を掴むと持ち上げる。
手のひらにチクリとした痛みが走った。
(いてっ、さっき吹き飛んだ時に怪我したかな…)
俺は女戦士を少し安全な場所に運んで寝かせると、みんなの元に走った。
──────────────────
先程までゴブリンの顔を覆っていた煙は無くなり、狐獣人がゴブリンに肉薄していた。
ゴブリンの棍棒を槍で逸らし目の前まで行くと、そのまま顔を踏みつけ飛び上がる。
ゴブリンを転がせた岩壁は既に壊され、辺りに散らばっていた。
ゴブリンはその岩壁の欠片をひとつ拾い上げると、狐獣人に向けて投擲する。
「うぉおおお!」
熊獣人が大盾をゴブリンと狐獣人の間に投げるとそのまま走り、篭手についた爪でゴブリンを殴る。
狐獣人に投げられた欠片は大盾により防がれ、狐獣人はその大盾を足場に更に飛び上がると女エルフのそばに着地し、膝を着いた。
「盾で、防がれたのに、、、衝撃が抜けてきました…」
「あのゴブリン。どれだけ強いのかしらー?」
女エルフも大粒の汗をかきながら弓を二刀に分離すると狐獣人と入れ替わりでゴブリンに向けて走っていった。
俺はみんなの所に着くと少女と狐獣人から状況を聞き考えを巡らせる。
(07241番がなんとかみんなへの致命傷は避けているが1番ダメージが大きい。14210番は体力が底を尽きかけているし、13882番は魔法の効果が薄くあと数回使える程度。11054番は魔力が安定せず遠距離から近接に移行してゴブリンと戦闘中、か…)
俺が状況を頭の中で復唱していると狐獣人が声をかけてきた。
「14209番。その武器なんですか?」
「ゴブリンと先に戦っていたパーティーメンバーの遺品。みんなが戦っている時に逃げ出して、処刑されたんだ…さっき巻き込まれて吹っ飛んだ先で見つけた。」
俺はひとつ気合いを入れると震える足を叩きつけゴブリンに向けて走り出す。
目の前では女エルフがしなやかな動きでゴブリンの攻撃を避けながら熊獣人と連携を取って押さえ込んでいた。
だが、いよいよゴブリンからのヘイトを集め続けていた熊獣人が一瞬の隙を着いたゴブリンの攻撃で吹き飛ばされ一瞬攻撃への反応が遅れた女エルフも棍棒を完全に避けきれず、頭をかすりそのまま地面を転がった。
(間に合ええええ!!!!)
俺の願いは届き、ゴブリンに一撃入れることに成功した。
女エルフにトドメをさそうしていたゴブリンは俺を見ると、新しい玩具を与えられた子供のように笑い攻撃してきた。
「くっ!早すぎる!」
ゴブリンからの攻撃をなんとか避けると、みんなの体勢が整うまで時間稼ぎをすることに決めて、あちらこちらに動き回りとにかくゴブリンの注意を引くことにした。
(冷や汗が止まらねぇ)
ゴブリンは遊ぶようにわざと俺が攻撃を与えるような隙を見せては棍棒で攻撃してくる。
俺は棍棒に弾かれ痺れた右腕が徐々に熱を帯びてきていることを自覚した。
(くっそ!右手が痺れて感覚がねぇ!腕が熱い!!一瞬でも隙を作ってその間に!)
左手をズボンのポケットに突っ込むと緊急用に持っていた煙幕をゴブリンに向けて投げつける。
「グギャ!」
ゴブリンは煙幕を棍棒で破裂させると舞い上がる白い煙に驚き動きが止まった。
(今!!)
俺が走り出すのとほぼ同時に俺の右腕がさらに熱を帯びた。
視界の隅に映る少女が魔法を使うのが見え、身体が軽くなる。
狐獣人も槍を持って走って来ていた。
「でやあああ!!」
細剣を振りかぶると右手から凄まじい痛みが走り、細剣に刻まれた線が赤く光るとまるで獲物に噛み付く蛇のように刀身が伸びてゴブリンの目に突き刺さった。
偏頭痛でも書きたい衝動を抑えられなかった…
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