エピローグ
愛香が翔太になって、三ヶ月が過ぎた。
入れ替わりの元凶である翔太は、現在、五味になっている。
翔太の現状は特定した。あとは、元の体に戻させるだけだった。
でも、何もできなかった。翔太の体と五味の体では、腕力が違いすぎる。叩きのめして元の体に戻させようとしても、できなかった。
愛香は、もうすっかり諦めていた。
――私はもう、コイツとして生きていくしかない。
諦めるのは、そう難しくなかった。
愛香の体は、取り返しがつかないほどひどい使われ方をしていた。愛香自身が、自分の体に戻りたいと思えなくなるほどに。
学校内の色んな男が、愛香の体と寝ていた。
教師の中にも、愛香の体と寝た者がいるという。
今の愛香は、完全に股の緩い女として見られていた。真紀や小町、翼や優花よりもはるかに。口説けば簡単にヤれる女、と皆に認識されていた。
愛香は性欲が強い方だった。自分でも自覚していた。
けれど、不特定多数の男と寝たりせず、恋人以外と関係を持たなかった。すべて、将来のためだった。勝ち組と言える人生に導いてくれる男。そんな男と結婚するため、貞操観念の強い女を演じていた。絶えず襲ってくる性欲を抑えながら。
でも、偽物は、性欲を我慢しようとしない。欲求に身を任せて楽しんでいる。
今現在。偽物は、学校中の男に予定を訊かれている。今日はどうだ? 明日は空いてるか? 今日は俺だからな。
きっと、偽物のスケジュールは、男と寝る予定でいっぱいだろう。
放課後になった。
翔太になった愛香は、今日も、校舎裏でオナニーをさせられた。
愛香にオナニーをさせた奴等は、散々楽しんだ後、さっさと帰っていった。愛香を置き去りにして。
一人残された校舎裏で。
下半身裸のまま、地面に仰向けに倒れて。
愛香は、虚ろな目で呟いた。
「今度は、誰に抱かれるの?」
自分の体に問いかける。
もちろん、答えてくれる人はいない。
それでも。
粉々に砕けた、理想の将来を見つめながら。
愛香は、かすれた声で訊いた。
「私の知らないところで、私は、誰に抱かれてるの?」
――愛香が妊娠し、加えて、致命的な性病に罹った。
その事実が学校中に知れ渡ったのは、半年後のことだった。
(終)




