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『アルストラーナ伝記』  作者: リアトト
帝国歴325年
117/152

『陰鬱なる初夏の訪れ』

帝国歴三百二十五年、六月下旬。 初夏の光芒が帝都ラーナの白磁の街並みを満たしていた。例年であれば、瑞々しい新緑の季節を抜け、陽光があでやかに街角を彩り、市場には果物の甘い香りと活気あふれる呼び声が響き渡る時分である。しかし、今年の初夏は違っていた。湿り気を含んだ南風は重く生温かく、人々の肌にまとわりついては、どこか忌まわしい硝煙の記憶を呼び覚ますかのようであった。

二ヶ月前、アルストラーナ帝国の南西の果て、辺境イメイルの地で起きた惨劇の波紋は、沈黙という名の重石となって帝都をじわじわと侵食していた。五万の大軍を率いて出陣した皇太子リアムの軍勢が、夜襲によって壊滅的な打撃を受け、撤退の途についたという不穏な噂は、風の便りのように街の闇を吹き抜けていたのである。

そしてこの日、二ヶ月におよぶ過酷な行軍の果てに、ついにその「撤退軍」が、帝都ラーナの城門へと姿を現した。


◇

「……来たぞ。皇太子殿下の御陣だ」

外郭門の櫓の上、乾いた槍を握りしめる衛兵長は、かすれ声で呟いた。かつて五万の大軍を送り出した際には、万雷の歓声と華やかな花々が空を舞っていた。だが今、門の向こうから近づいてくるのは、およそ歓喜とは程遠い、重苦しい足音と泥に塗れた鎧の擦れ合う音だけであった。

衛兵たちの視線の先、乾いた街道を歩む軍勢の姿があった。かつて黄金色に輝いていた帝国の軍旗はズタズタに引き裂かれ、黒く煤けて垂れ下がっている。兵たちの足取りは鉛のように重く、多くが血と汗の染みついた包帯を巻き、虚ろな目をして地を見つめていた。歴戦の勇将バルドゥインも、若き麒麟児ハリスも、そこにはいない。

「静かに……槍を立てよ。声を上げるな」

衛兵長は低く命じた。歓呼の叫びも、勝利のラッパも吹かれない。衛兵たちはただ、歯を食いしばり、胸の内にこみ上げる惨めさと深い哀悼の意を込めて、無言で槍を握り直した。


◇

街道の両脇に押し寄せた市民たちの間にも、恐ろしいほどの静寂が広がっていた。誰一人として声を出さない。子供たちは親の服の裾を強く握り締め、大人は口元を固く結んで敗残の兵たちを見つめていた。

「……殿下……」

群衆のどこかから、押し殺したような小さなすすり泣きが漏れた。市民たちが目にしたのは、高貴で輝かしかったはずの皇太子の、あまりにも凄絶なお姿であった。

皇太子リアムは、白馬の上に背筋を伸ばして跨がっていた。しかし、その顔は激戦と二ヶ月に及ぶ過酷な撤退戦で痩せこけ、消えぬ疲労が刻まれている。身に纏う甲冑は擦り傷と返り血の痕で黒ずみ、かつての可憐な若々しさは悲壮な決意と重い悔恨の色彩へと取って代わっていた。

リアムは、沿道の市民たちの視線を正面から受け止めていた。決して目を逸らそうとはしなかった。己の不徳と不意打ちによって失われた無数の命、遺族たちの無言の問いかけを、すべてその身に引き受けるかのように、蒼白な唇を強く噛み締めながら前だけを見つめて進んだ。


◇

重厚な石造りの帝国宮廷。玉座の間には、凍りつくような冷気が満ちていた。高窓から差し込む六月の陽光すら、この空間の重苦しさを和らげることはできない。

玉座に鎮座するのは、帝国皇帝イリアード。その深遠な瞳は深く沈み、彫像のように動かない。組まれた太い指先には力が込められ、圧倒的な圧迫感を放っている。バルドゥインという長年の腹心を失い、皇太子による不覚の敗北という屈辱を前に、皇帝の威厳は嵐の前夜のような静けさを孕んでいた。

「……リアムが、戻ったか」

皇帝の低く響く声には、感情の機微を一切挟まない冷徹さがあった。

その傍らに立つ皇后リゼリアは、優美な扇を胸元で固く握りしめていた。二ヶ月前、娘のシンシアから悲報を聞かされて以来、彼女はこの日を祈るような思いで待ち続けていた。息子の命が無事であったことへの深い安堵と、皇太子としての将来を揺るがす厳しい裁きへの恐怖が、その美しい胸を激しくかき乱している。

(生きて戻ってくれた……それだけで神に感謝したい。けれど、陛下のお怒りと宮廷の冷眼から、どうやってあの子を守ればよいのか……)

リゼリアは微かに濡れた瞳を隠すように、静かに扇を広げ、氷のような気品を繕った。宮廷の群臣たちの視線は、いまや帰還した皇太子へ向けられる鋭い刃となっておったからである。


◇

皇太子の帰還を迎える後宮の一角。そこには、相反する空気を纏った二人の女性と、幼子たちの姿があった。

昭訓エレノアは、生後七ヶ月になる皇孫子オリオンをその胸に強く抱きしめていた。幼子が発する柔らかく温かな匂いと、その小さな体温だけが、彼女の震える心を繋ぎ止めていた。エレノアの長睫毛からは涙が溢れ、いまにもこぼれ落ちそうであった。

「殿下……どうかご無事で……お怪我はありませんように……」

彼女は心の底からリアムの身を案じ、無事の帰還をただ祈り続けていた。たとえ戦に敗れ、世間から責め立てられようとも、エレノアにとってリアムは愛する夫であり、子の父であった。

一方で、少し離れた豪華な椅子に腰掛けたたずむのは、皇太子妃シルヴィアであった。彼女もまた、生後七ヶ月の我が子ソリスを抱いていたが、その表情にはエレノアのような情愛や乱れは一切なかった。シルヴィアとリアムの関係はかねてより冷え切っており、政略による婚姻の絆は氷のように固く冷たい。

シルヴィアは整った美しい顔に冷ややかな薄笑いを浮かべ、幼子の額を無感情にあやした。

「……負けて帰るくらいなら、いっそ誇り高く散ってくださればよろしかったのに」

吐き出された声は毒のように低く、冷酷であった。敗軍の将として戻る夫への蔑みと、自らの立場がこの敗北によって揺らぐことへの不快感が、その鋭い眼光に揺らめいていた。二人の我が子は同じ七ヶ月という月日を生きながら、その母たちの眼差しは完全に向かい合わぬ平行線を辿っていたのである。


◇

大平原の泥と決死の行軍を終え、皇太子リアムはついに玉座の間へと足を踏み入れた。

重厚な扉が開き、足音が響く。リアムは皇帝の前に至ると、重い甲冑の音を響かせて膝をつき、深く頭を垂れた。

「……父上。不徳なる息、リアム……ただいま帰還いたしました。バルドゥイン将軍、ハリス副将をはじめ、数多の忠勇なる将兵を失い、敗軍を率いて戻りましたること、死すとも足りぬ罪と存じます」

リアムの声はかすれていたが、その響きには言い訳を一切排除した覚悟が満ちていた。

玉座の皇帝イリアードは、じっと伏せる息子の姿を見下ろした。沈黙が玉座の間を支配する。長い、永遠とも思える静寂ののち、皇帝は重々しく口を開いた。

「……面を上げよ、リアム」

リアムが顔を上げると、その眼差しは真直ぐに父親の視線とぶつかり合った。傷つき、疲弊し、泥に塗れながらも、その瞳の中に宿る「生きて帝国を守り抜く」という焔は消えてはいなかった。

六月の濡れた風が高窓から吹き込み、宮廷の旗を微かに揺らす。イメイルの地獄を生き延び、命を背負って帰還した若き皇太子の前には、敗戦という過酷な試練と、さらに深まる宮廷の陰謀の渦が待ち受けていた。



《 登場人物一覧》


【皇家・セレスティア親王家】


• ルシア(ルシア・フォン・セレスティア / 巫女ルナ)

イリアードとセシリアの娘で転生者。

空間や物質の操作・修復・回復、空間跳躍など強大な異能と稀代の軍略を操る。

義賊『六棘の霜華』や『真理の光教団』の巫女「ルナ」として暗躍し、『聖ゲンドラス教国』の聖騎士団長を極秘裏に務め、裏から大陸の歴史を動かす。数年前に帝都の結界を破るために命を落としたが、のちに「シェルランテ」として転生・復活を果たした。宙の属性は冥王星。万物の属性は氷。


• イリアード・フォン・セレスティア

セレスティア親王であり、アルストラーナ帝国軍の総大将。先帝アラリックの腹違いの弟。

「軍神」と称される冷徹かつ無双の武勇を持つ指揮官。愛娘ルシアを溺愛しており、彼女の危機には理性を失い「鬼神」と化す。のちに「大元帥」に就任。第15代アルストラーナ皇帝に即位した。


• セシリア・リヴィエール

イリアードの側室(貴妃)でルシアの母。「水明将軍」の称号と軍権を持つ。

念話や念動に加え、無から植物・花々を生み出す能力を持つ。ルシアの演出により、ノバージェの民を救う女神『紫苑のヴィオレット(月姫)』を演じた。

聖地エルサ・ルーメンでは初代『神託の聖母』となっている。宙の属性は太陽。万物の属性は花。


• リゼリア・リヴィエール

イリアードの正妃(皇后)で、リアムとシンシアの母。「水鏡将軍」の称号を持つ。

念話・念視・予知の異能を司り、ルシアの計画の意図を一瞬で見抜くよき理解者。

宙の属性は月。


• リアム・フォン・セレスティア

イリアードとリゼリアの息子でルシアの異母兄(のちに皇太子)。

16歳で初陣を飾り、混戦を切り裂いてグラッデェ皇帝ベグ・バールを捕縛した武功(実際は気絶したベグを縛り上げた)により最年少将軍に就任、聖剣アウレリウスを賜る。シンシアの兄。シェルランテとソリス、オリオンの父。


• シンシア・フォン・セレスティア

イリアードとリゼリアの次女(ルシアの異母妹)。異能を持たない「普通の女の子」として育ち、後宮でココロギの元へ通う。シェルランテを抱き上げた事により、異能の門が開かれて、覚醒を果たした。

『真光の巫女ルークス・ヴェリタス』の称号を持つ。

宙の属性は月。万物の属性は風。


・フェリス

シンシアが可愛がっている純白の鷹。シンシアの要望によって、ココロギが初めて念創によって制作した生命体。卵の状態で発現した為にシンシアが懐で温めて孵化した。シンシアを鳥と思っているか、自分は人間と思っているかのどちらかである。高慢で我儘で天邪鬼なので、制作者のココロギは失敗作だと思っているが、シンシアはこの貴公子然とした、変な鳥を気に入って可愛がっている。シンシアを守るために命を惜しまない特攻をする為に、ココロギにより試行錯誤した法具が、装着させられている。


・シェルランテ・フォン・アルストラーナ(白鷺姫)

皇太子リアムと皇太子妃シルヴィアの間に生まれた皇女。生まれた直後から強力な念動・念力を発散させ、ルシアの生まれ変わり(転生)としての記憶と意図を秘めている。誕生時に住まいの春宮にて白鷺が住み着いたことから白鷺姫と呼ばれるようになった。教団の称号は『導光の聖歌姫ディーヴァ・ルクス』。宙の属性は天王星。万物の属性は氷。


【親王家を取り巻く人々・一族】


• フレデリカ・リヴィエール

大一族リヴィエールの長老でイリアードの母(皇太后)。かつて先帝の『御前琴師』であった。街や宮殿を創り出せる突出した異能の持ち主オールラウンダーで、ルシアの最大の理解者。

宙の属性は土星。万物の属性は土。


• ベルナデット・リヴィエール

完璧主義者の侍女。20歳で結婚し旅立った後、リヴィエール本家に嫁ぎ、リヴィエール商会・リヴィエール銀行を総括するリヴィエール財団の理事として大陸全土をコントロールする。

宙の属性は金星。


• エミーナ・リヴィエール

セシリアとルシアに仕えた侍女。ルシアの空間跳躍を追える強大な異能を持ち、軍服を纏って戦場に赴き、決死隊の高速艦『ブラッド・エミーナ』にその名を残す。聖ゲンドラス教国にて『神託の聖母』として君臨している。

宙の属性は海王星。万物の属性は火。


• ロゼッタ・リヴィエール

リゼリアやセシリアに仕えた元侍女。


• ベルトト・リヴィエール

皇后リゼリアの側近であり、熟練の女官長。セシリアやルシア、リアムの世話をする完璧主義者。ベルナデットの妹で、リヴィエール一族の娘。


【聖ゲンドラス教国・真理の光教団】


• ゲンドラス・サイリュン(崔厳)

『真理の光教団』の教祖であり『聖ゲンドラス教国』の教皇。ココロギとアレスの父。ルシアの下僕として神々しい威厳と沈黙で信者を平伏させ、表面上の統治を行う。


• ココロギ(ココロギ・サイリュン / 崔心木 / 四つ葉様)

教皇ゲンドラスの実子で、後宮の『四つ葉堂』の巫女。リヴィエール一族の血を引き、空間跳躍や護符生成の異能を持つが、極度のパニックや生理現象で暴走・誤作動させることが多い、気弱で優しい少女。のちに大水没の危機を救う。法具・神器の開発に優れており、失敗も多いが唯一無二のアイテムを生み出す。宙の属性は『大地(地球)』。万物の属性は木。


・ミタマ・サイリュン

アレンとエミーナの娘。ゲンドラスの孫娘。

ツルギとは双子の妹。

錦族名は崔御玉(さいおんぎょく)

ルシア(シェルランテ)が望んで生まれて来た、生命体。伝説の『紫苑のヴィオレッタ』がモデルとなっており、最も美しくて最も強い女性をイメージされている。『空斬水鏡』と『東雲煌竜』を両手に持って戦う姿はまさに戦乙女である。

宙の属性は水星。万物の属性は水である。


・ツルギ・サイリュン

アレンとエミーナの息子。ゲンドラスの孫。

ミタマとは双子の兄。

錦族名は崔剣(さいけん)

ルシア(シェルランテ)が望んで生まれて来た、生命体。亡国ダラーンの『国士』であり、『至高の騎士』。クラーク・ダナミヤの模倣体である。

聖ゲンドラス教国の聖騎士の理想的存在として、誕生した。その周囲と本人はその事実を知らない。

『竜鱗盾(りゅうりんじゅん)』を掲げ、何人にも負けず、屈せず戦う姿こそが、クラーク・ダナミヤ。そのものである。宙属性は土星。万物の属性は土である。



• ヴォルフラム・フェイ

アンチアルマ大聖堂の枢機卿。元・吟遊詩人かつ一騎当千の凄腕の剣士。ルシアたちと合流・共闘する冷徹な知識人。


• スライロ・ハリス

かつて滅亡したダラーン王国の元大臣(「至高の頭脳」)。ルシアの異能と我儘により、サンブリア大聖堂の司教に据えられる。


• カシアン・ヴァロア

かつての大遠征に失敗した元宦官(42歳の大提督)。敗戦後に名誉の戦死を装い、ルシアの手配によりシューコルン司教やオクタヴィア大聖堂司教を歴任。


• ジル・オテ(旧名:ジルグード):元オテゲン皇国第4王子。11年前に燕国を占拠(鳳山城を占領・籠城)するもルシアに敗北し、半ば強制的に改心させられて聖ゲンドラス教国の司教となる。


• ビー・スー

ディヌイヤ王国から随行した丸盾使いの青年。ディヌイヤ・ラーナ公国の司教。冷静沈着な判断力でルシアの護衛や参謀、ココロギの協力者を務める。


【アルストラーナ帝国皇室・他国関係者】


• アラリック

アルストラーナ帝国(オーレリア帝国)第14代皇帝。イリアードの腹違いの兄で、冷徹かつ厳格な支配者。弟イリアードを非常に好いており、彼を帝都に留めるために「大元帥」の職を新設・授与した。

『紫の憑依』を受けた皇后ロザリアに殺害された。


• シルヴィア・フォン・アルストラーナ

アラリックの第6皇女で、リアムの正妻(皇太子妃)。シェルランテの母。


• ルネッタ・リヴィエール

セシリアの実妹で、アラリック皇帝の徳妃(22歳)。帝都後宮の「翡翠宮」に住まう。

皇子イスファの母。『紫の憑依』を受けたイスファに噛み殺された。


• ロザリア

アラリックの皇后。没落したシュタインベルク家の出身。紫の異能(黒山羊結社・天信教の暗黒の力)に侵され狂気に陥る。


• イスファ

アラリックとルネッタの間に生まれた第4皇子(4歳)。絵が得意だったが、紫の異能に支配され惨劇を引き起こし、リアムに倒される。


• イスマ

アラリックとロザリアの間に生まれた第二皇子(皇太子、8歳)。異能に狂ったイスファに殺害される。


• アルベール&エレノア

セシリアとルネッタの両親。アルベールはリヴィエール商会ルミナリア支社長。


• ボロ・ディヌイヤ

南海の覇者であるディヌイヤ王国国王。圧倒的な威厳を持ち、ルシアと旧知の仲であり密約(通商条約)を結ぶ。


• アレス・マクウェン

セレスティア水軍の若き優秀な副官で、特攻艦『ブラッド・エミーナ』の元艦長。エミーナに想いを寄せる。ゲンドラス・サイリュンの息子である事が判明し、聖ゲンドラス教国にて聖騎士団長を務める。

アレス・サイリュン。錦族名は崔亜無さいあむ


• ヴァレリオ・フォン・ボルゲーゼ

72歳の老将で帝国太尉・征西将軍。ヴェロニカ砦にて敵将を討ち取る。


• リョウ・マルディ

ノバージェ共和国の有力金融家で最高執政官ドージェ。莫大な債務で国を支配したが、ルシアたちに倒される。


【敵対組織・その他の勢力】


• エスゲイ・バール

中央高原を支配するバール朝グラッデェ帝国の隻眼の覇王。ベグ・バールの父。前年5月に『六棘の霜華』ルシアによって暗殺された。


• ベグ・バール

エスゲイの次男で、バール朝グラッデェ帝国の皇帝。父の復讐のため50万の大軍を率いてアルストラーナへ侵攻するが、ルシアとリアムに敗れて捕縛される。


• カサル

エスゲイの弟で大将軍。領地を焦土化する暴挙を行うが、ヴィオに首を討たれる。


• カルヴァル

古都ラーナの天信教総主教。ルシアによって権威を失墜させられ降伏する。


• アルノルト

天信教の老総主教。虚無の終焉と「救世主の死」を望み、禍々しい禁忌の術式を行う。ルシアに討たれた。


• アルカディアス

帝国の影で暗躍する『黒山羊結社』の頂点であり、天信教の真の黒幕である初老の男。


《用語集一覧》


【地理・舞台・施設】


• アルストラーナ帝国(オーレリア帝国)

作中の舞台となる強大な大帝国。


• セレスティア親王国

アルストラーナ帝国領内の親王国で、イリアードが治める領地。


• アクアパレス

セレスティア親王領の首都。「水の都」と呼ばれ、運河網が縦横無尽に走る。


• フロスト・ヴァイス城

アクアパレス内にある城で、親王府の拠点(居城)。離宮や本城、広大な庭園を備える。


• 常緑宮じょうりょくきゅう

フロスト・ヴァイス城内にある本宮で、親王妃リゼリアが滞在する居室。


• ルシア宮

生後6ヶ月のルシアが異能(念創)によって無意識に生み出した、ガラスと白大理石でできた幻想的な小宮殿。


• 蓮花宮れんかきゅう

アクアパレス内にあるフレデリカの居宮。フレデリカの異能によって作られた大輪の蓮が咲く幻想的な宮殿。


• 花の都ルミナリア

300年間戦火を免れてきた花と芸術の都市でセシリアの故郷。表面上の繁栄の裏で深刻な貧富の格差が固定化している。


• エレスティアル山

ルミナリア郊外にある単峰。見栄えの良さから『聖なる山』扱いされ、聖地巡礼に活用される。


• エレスティアル大聖堂

ルミナリアの西にある城を買い取り、ルシアの資金と指示によって改造された「真理の光教団」の本山。


• 帝都ラーナ(白亜宮)

古代文明の発祥地でありアルストラーナ帝国の首都。中央に皇帝の居城である壮麗な「白亜宮」が聳え立つ。


• 翡翠宮ひすいきゅう

帝都ラーナの後宮にて。フレデリカ、ルネッタの居館であった所。イリアードが生まれ育った所でもある。リゼリア、セシリアが宮女見習いとして10歳から15歳頃まで過ごした。


• ガザルカガンド

中央高原におけるグラッデェ遊牧民族の本拠地・交易都市。ガザルカガンド会戦により陥落・焼亡する。


• アシュウェスト

大運河とアシュロン川が交差する物流・交易の要衝。裏社会の「五大商人」が牛耳っており、水底には大洪水で沈んだ天信教の大聖堂が眠る。


• アルヴェリア

かつて未曽有の水害・大洪水によって沈み、長年不毛の湿地帯となっていた禁忌の地。


• ディヌイヤ王国

南洋の果てに存在する、独自の巨石文化と褐色の肌の民を持つ王国。


• シューコルン

大陸中の富や高級香辛料、絹が集まる有数の港湾都市。「金と欲望が渦巻く自由の都」で、南洋・西海貿易の重要拠点。当時4歳のルシアとセレスティア水軍により、帝国領に編入された。現在、ブランガ・オデュヌの支配下にある。


• ノバージェ共和国

複数の島々からなる海の民の国。

古くから漁業、海運、海上貿易の発達が起こり、

共和政と金融業が飛び抜けて発展してきた。

金融・債務取引で繁栄していたが、ルシアの策略により、ハイパーインフレを起こし「裕福なる貧困」に陥り、5歳のルシア率いる、たった200名のセレスティア兵によって、首都ストロロホルムが陥落。聖ゲンドラス教国」へと生まれ変わった。


【組織・勢力】


• 真理の光教団

貧民や被搾取層を救済する名目でルシアが創設した新興宗教。教義の主軸は自力本願であるが、人間の持つ他力本願を巧みに引き込む信仰要素を組み込んでおり、瞬く間に民間に広まって行った。

裏で莫大な富と資金を回収・循環させるポンプの役割を果たしており、礼拝に訪れた信者には、嘆きの壁と真実の岩にてパンと宝石が与えられる。ルシアの考えではあらゆる宝石が無価値に近くなるまで、

この経済ロジックは有効としている。


• 四つ葉のクローバー

聖ゲンドラス教国および真理の光教団のシンボルで、ルシアが率いる組織の象徴。信仰・希望・慈愛・真理の四つが一つに合わさることで、初めて「完全なる光(聖なる庇護)」が完成するとされている。


• 六棘の霜華ろっきょくのそうか

『六棘の霜華』の紋は寒気にまみれた際、ガラスに浮かび上がる花のような結晶。『寒さ故に咲く花』として、人の悲哀を喜びや幸せに変える象徴とルシアが考えた。義賊の活動や民主に代わり、暗殺する際にこの紋を用いる。

雪と霜の結晶を刺繍したフード付きローブを纏う神出鬼没の義賊。ルシアとヴィオの仮の姿。


• バール朝グラッデェ帝国

騎馬民族グラッデェの征服者ベグ・バールが打ち立てた、中央高原を支配する帝国。


• 黒山羊結社くろやぎけっしゃ

三つの目を持つ黒山羊の銀紋章を掲げ、古代の「原始の力」や呪詛を用いて帝国の影で暗躍する狂信的な秘密組織。リヴィエールの端くれ達が関わっており、天信教の黒幕でもある。


• 天信教

アルノルトやカルヴァルが属する宗教組織。

有史以前から大陸の広範囲に浸透している宗教。


• リヴィエール商会

一族が運営する巨大な商業組織。教団が回収した資金を専属取引で吸い上げ、正規の税として帝国国庫へ還元する仕組みを担う。


・リヴィエール銀行

帝国の中央銀行の役割を兼務する。不景気や財政破綻は富の滞留によって起きる為に、再分配と回収の役割を担っている。


・リヴィエール財団

一族の商業組織と銀行を束ねる中核組織。

リヴィエール本家が理事会を担い運営している。



【血統・能力】


• リヴィエールの血(異能)

リヴィエール一族に発現する超常の力。瞬間移動(空間跳躍)、念動、念視、予知、治癒、無からの生成(念創)など多岐にわたる。


• 念創ねんそう

無から有を生み出し、記憶やイメージ通りの物質や衣服、建造物を瞬時に創造・構成する異能。

異能者の文化水準で物が作られるので、核爆弾やドローンなど想像の出来ない物は作れない。

活版印刷、蒸気機関、薬莢式大砲などは、設計図段階。


【武器・アイテム・特殊設定】


• 短錫杖 / 長柄の錫杖(仕込み剣)

• ルシアとヴィオが携える武器。短錫杖は金環がついた打撃用法具。

• 長柄の錫杖は、柄を捻ると長剣が抜け、柄と石突き部分が強固な鞘となる両手生殺の仕込み杖。


・破邪顕正はじゃけんしょう

『神託の聖母』エミーナの錫杖。ココロギとセシリアが協力して、聖剣アウレリアスと黄金の獅子剣、両方を模して制作した錫杖。四つ葉の象徴らしく緑色のオーラを放つ。


・光華法錫こうかほうしゃく

貴妃セシリアの錫杖。ココロギが黄金の獅子剣を模して製作した錫杖。


・旭日神劫きょくじつじんこう

ココロギの錫杖。ココロギの宙属性が『大地(地球)』の属性であるため、『太陽』の属性でなくても強力な力を発揮できるよう、法華法錫を魔改造した錫杖。

太陽光を集光し倍化して照射する為に、地上にある物質すべてを炭化・気化させてしまう。杖頭が四つ葉の形をしている為に大きなハエ叩きか。布団叩きに見える。


・朧三日月おぼろみかづき

月華の錫杖。シンシアの錫杖。ココロギの失敗作で旭日神劫を作った際に、

属性が真逆の月属性に極振りしてしまって完成した錫杖。未知の武器・神器であるが、

月属性のシンシアと非常に相性が良く、攻守共に多彩な現象を発生させることが確認されている。ただし、シンシアの戦闘時の美意識の為にストロング&アグレッシブなミタマとの手合いでは負けてしまう場面も多い。ただしシンシアの美意識に見合って、この錫杖を振り抜くと光の塵が四散して大変美しく幻想的な光景が見る事が出来る。

この錫杖に人体が叩かれると、血も出さず光の屑と共に雲散霧消する。


・空斬水鏡くうざんすいきょう

ミタマのクリスタルロッドの短錫杖。当初、風属性のシンシアがこの錫杖を愛用していたが、東雲煌竜の完成と朧三日月の完成(?)を経て、ミタマが使う事となった。

ミタマ自身は水属性であるが、東雲煌竜と合わせて、どんな属性の敵にも対応できるようになった。両手生殺で使用し、繋ぎ合わせると長柄の東雲水鏡となる。


・東雲煌竜しののめこうりゅう

火属性のクリスタルロッド。ミタマとツルギが使用している。


・東雲杓子しののめじゃくし

シェルランテが東雲煌竜を見て、ココロギに作ってもらったクリスタルロッド。

一見、幼女が喜びそうな、光るだけのクリスタルロッドに見えるが、秘密がありそうである。


・竜鱗盾りゅうりんじゅん

殉教したビー・スーが愛用していた丸盾を、ココロギが改良した盾。

念を込めた翡翠を無数に埋め込んであり、それが龍の鱗に見える。

最強の盾を目指して作られた。


・雷丸

『恐ろしき危機が訪れた時の為の雷丸いかづちまる』

通称『雷丸らいまる』

思い切り吹くと雷攻撃できる笛。


• 聖剣アウレリウス

オーレリア皇帝直属の伝説的な名剣。真の英雄としてリアムに授与される。


• 黄金の獅子剣

大元帥イリアードが携える大刀。真の力を解放すると眩い黄金の闘気を噴出させる。


• 神秘札・護符

ココロギやルシアが異能の力でその場で作る紙片。受け取った者の悩みを解決する注意書きや治癒・保護の奇跡をもたらす。


• 紫炎石しえんせき

黒山羊結社が人工的に生み出した物質。強力な結界の展開や他者への精神憑依を可能にする。


• 心木こころぎ

『真理の光教団』の教義において、世界や生命の魂をつなぎ止め、心(感情・意思)を巡らせる大樹・世界樹を指す言葉。


• ブラッド・エミーナ

セレスティア水軍の新鋭高速艦。3本の斜めマストと高い機動性を持ち、特攻隊長エミーナの名が冠されている。


• 紫苑のヴィオレット(月姫)

100年前に姿を消したとされる帝国の伝説の影。


• 月下氷人(la personne de glace sous la lune)

古書に記載されていた「人と人、国と国との縁を結ぶ仲人」を意味する概念・計画。



• 聖都クリスタルヘイム

聖ゲンドラス教国の首都。ディヴァイン湖と霊峰セイクリッド山の麓に、

碁盤の目状に築かれた超巨大都市。



【その他・技・術】


・神隔膜ディヴァイン・シェル・メンブレン

ココロギが編み出した異能の技。

シェルランテに『味噌玉子粥』作っている時に、玉子を割っていながら着想した。

聖なる力で包み込み縛り上げる技である。

これにて魔王ブランガ・オデュヌと皇帝イリアードを仕留めた。


・真闇月蝕

シンシアの錫杖『朧三日月』の技。

絶対的な暗闇をもたらす技。





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