5. 守るもの
5. 守るもの
一体どうしてこんなところにドラゴンがいるんですか!?しかもあの巨体、多分さっき大きな岩石が落ちてきたのはこいつの仕業なのです。しかしどうするですか?こんなの勝てるわけがないのです。
そんなことを考えていると突然ドラゴンが動き出したのです!まずいのです!ブレスを吐くつもりなのです!私は急いでいつものように対抗できる方法を意識を深いところまで潜り探す。そしてその本のページをめくる。
【ドラゴンを倒す方法~上級者編~】
1.強力な魔法攻撃を放つ
2.毒など状態異常にする
3.ドラゴンより強い武器を使う
4.ドラゴンの弱点を攻撃する
5.あとは気合い
6.そしてドラゴンを食べる
――そんな無茶苦茶な解決法あるわけないのです!! というかドラゴンって可食部あるんですか!?とにかく今は一目散に逃げるしかないのです!
しかし、巨大なドラゴンは地響きを鳴らしながら容赦なく迫ってきます。
「下がっておれアリーゼ!!『爆炎魔法・バーストジャベリン』!!」
ドゴォォォンッ!!
ロゼッタ様の小さな体から凄まじい魔力が迸り、圧縮された超高熱の炎の槍がドラゴンに向かって一直線に放たれたのです。
炎の槍はドラゴンの硬い眉間に直撃し、視界を真っ白に染め上げるほどの大爆発を起こしました。
しかし、あれだけの魔法を真っ向から受けてなお、あの規格外の巨体を倒し切るには至りません!
『ギィィシャアァァァァァァッッ!!』
直後、怒り狂ったドラゴンが鼓膜を破らんばかりの咆哮を上げると、その圧倒的な振動で鉱山全体がガラガラと崩落を始めたのです!
「今のうちに走るのじゃ!」
私たちは、背後から迫り来るドラゴンの恐ろしい咆哮と、頭上から降り注ぐ岩の雨をすり抜けながら、無我夢中で鉱山の入り口へと走りました。肺がちぎれそうになるほど駆け抜け、外の光を見た時の安堵感といったらありません。こうして私たちは、文字通り命からがら逃げ切ることに成功したのです。
マジカリア城へ転がり込むように戻り、息も絶え絶えに巨大ドラゴンの存在を報告すると、さすがのギルフォード様も顔色を変え、すぐさま精鋭の騎士団とギルドの凄腕冒険者たちを封鎖のために派遣してくれました。これであの鉱山からドラゴンが出てくることはないはずなのです。
それにしてもまさかドラゴンが出てくるなんて思いませんでした。しかもまだ他に仲間がいそうな感じだったのでこれからの調査が怖いのです。とりあえず今は無事に帰れたことに感謝するのでした。
私たちはとりあえず宿屋に戻ることにするのです。これからどうしましょうなのです。鉱山のドラゴンをなんとかしないと「ミスリル」発掘ができないのです。ミルディはお城で魔法鍛冶の修行中ですし……
「アリーゼ。少し行きたいところがあるんじゃが良いか?」
「ロゼッタ様?」
「……その……良ければアリーゼとフィオナも来るのじゃ」
顔を真っ赤にしてモジモジしながらそう言うロゼッタ様。私はもちろんですと返すのでした。それから私たち3人は宿屋を出て馬車に乗り都市の外れにある高台に向かったのです。
その高台は都市が一望できる場所だったのです。そしてそこには一つのお墓があるのです。
「お墓……なのです?」
「師匠。誰のお墓なの?」
「この墓はな……」
「それは私の大切な主君の墓なのです。ルナ=ノワール。まだ都市と呼ぶには小さかった集落を、魔法都市にまで発展させた創設者であり、私が仕えた女性です」
そう声が聞こえる方へ振り向くと、そこにはギルフォード様がいたのです。魔法都市を作ったルナ=ノワール様のお墓なのですね。
「なんじゃ。お主も来たのかギル坊」
「ロゼッタ様ならば、ルナ様に会いに来ると思っておりましたので。……私も賢者とはいえ、そろそろ天寿を迎える老体です。こうして生きているうちに、またロゼッタ様にお会いできて本当に良かった」
「そうか……。もう、そんなに途方もない時間が経ったのじゃな。……今まで、この街を一人でよく守り抜いて頑張ったの。ルナもきっと、誇りに思っておろう」
天寿。賢者の寿命は通常の人間の三倍近くあると本で読んだことがあります。そして、魔女の寿命はさらにその倍以上……。ギルフォード様は立派にこの魔法都市ルナノワールを守り続けてきたのですね。
彼らが背負ってきた果てしない時間に思いを馳せると、胸がギュッと締め付けられるのです。
そうして私たちはしばらくの間、魔法都市ルナノワールが一望できる、ルナ=ノワール様の眠る高台で静かに佇んでいるのでした。




