4. あなたも博識なのですね
4. あなたも博識なのですね
ふぅ。満腹なのです。ミルディも結局は色々言っていたけど、美味しくお肉を頬張っていたので良かったのです!というか、なんでこんな森の街道で倒れていたんですかね?
「そういえばミルディはなんでこんなところで倒れていたのです?」
「え。ああ……恥ずかしい話なんだけどさ、この森のロウム石を採取してたら夢中になっちゃってさ。いつの間にかポイズンビートルに囲まれてて何匹か倒したんだけど、最後に刺されちゃって。あはは」
「なるほどなのです。それなら次からは、頭に赤い角が生えている一回り大きな個体を、真っ先に叩き潰すといいのです。そいつが群れのリーダーなのですから、一匹仕留めれば他のポイズンビートルは逃げていくのですよ?」
「へぇ~……あっ。もしかして、それも本の知識?」
「もちろんなのです!」
私はふんすっと胸を張り、自慢げに言い放つ。また一つ、迷える子羊に生きる知恵を授けてしまったのです。やっぱり聖女たるもの、こうして知識で人々を救済しなくてはいけませんね!
「そう言えばアリーゼはなんでここに?」
「私はルベルタに向かう途中だったのです。今朝、カトリーナ教会を追い出されてしまったのです」
「え。追い出された?」
「はい。いつの間にか聖女の証である『聖痕』が消えてしまったのです!聖魔法が使えないならお前は聖女じゃない、なんて一方的に決めつけられて。しかも『異端の魔女』呼ばわりですよ!?長年、教会の雑務から裏方の仕事まで完璧にこなしてきたこの私を不当解雇するなんて……思い出すだけでも腹が立つのです!」
私が怒りに任せてまくし立てると、ミルディはふっと俯いて黙ってしまいました。あれ?私、少し愚痴りすぎましたかね……。少し不安になってくると突然顔を上げて真剣な表情になる。そして口を開く。
「そっか……大変だったんだね。アリーゼが聖女かどうかは関係なしに、あたしを助けてくれてありがとう」
そう言って、ミルディは笑顔を向けてくれました。なんだか照れくさいけれど、悪くない気分なのです。でも、今思い出しましたけど美味しいお肉のせいですっかり忘却していた『現在所持金ゼロ問題』を再び激しく警告してきました。そうです、これからどうしましょう!?
まぁそんなことを考えても仕方ないのです!旅は風のように気ままに。立ち止まらず前に進め。そう昔読んだ本に書いてあったのです。
「さて。そろそろ行くのです。ミルディもポイズンビートルに気をつけて鉱石集め頑張ってくださいなのです」
「あっ。あのさアリーゼ。行く当てあるの?良かったら今日はあたしのうちに来ない?助けてもらったし」
「え?いいのですか?」
「もちろん。それじゃルベルタに行こうか」
ここは多少強引だけども、誰かを助けて、ご馳走していただくしか無いみたいなのです!って思ってたのに、泊まらせてもらえるなんてこれは予想以上なのです。大聖女ディアナ様はやっぱり見てくれているんですね!ありがとうなのです!
こうしてルベルタに向かってミルディと共に向かって歩き始めると、再び分かれ道にぶつかる。
「えい!なのです……右です!」
「ちょっとちょっと!ルベルタは左だよ?というかもしかしてアリーゼ……カトリーナ教会からずっとこの方法で森の街道を歩いて来たの!?」
「はい。間違いなく本に書いてあったのですけど?」
「はぁ……そりゃ何時間も森の街道を歩くわけだよ。あのねアリーゼ……」
どうやら、あの由緒正しき『木の枝占い』は、初心者には少し難易度が高かったようだとミルディが教えてくれたのです。なんとカトリーナ教会からルベルタまでは、本来なら大人の足でたったの30分程度で着く距離だと聞いて、私は心底驚いたのです!
まさか、そんな実用的な地理の情報を知っているなんて。ミルディもまた、私に負けず劣らず博識なのですね!
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